3 天使たちの日常(脚本)
〇華やかな裏庭
あゆか「ふあぁ〜〜〜・・・昨日は大変だったね」
るり「うん。まだ身体痛いし・・・ そういえば、きなこちゃん朝ごはん食べてから見てないよね?」
「お〜〜〜い」
あゆか「ん?」
ガブリエル「二人とも、おはよ〜〜⭐︎ 今から三人でティーパーティーするんだ! 二人も参加しようよ」
ラファエル「あれ・・・?きなこちゃんは一緒じゃないんだね」
あゆか「おはよ〜 ・・・そーなんだぁ・・・最近毎朝この時間になるといなくなっちゃってて・・・」
るり「でもいつも元気に戻ってくるから、まずいことではないのかなって思うんだけど・・・」
ガブリエル「ちゃんと戻ってくるんだったらいいじゃん! きっと自由な時間がほしいんだよ⭐︎ それに、この世界は安全だからね!大丈夫だよ」
るり「それも・・・そうね。 私たち、ちょっと過保護すぎなのかもね」
あゆか「そっかぁ・・・きなこちゃんも、どんどん大人になっていってるね! あゆか、悲しいよ〜〜もっと過保護したいよ〜」
るり「なんで泣いてるの・・・ ほら、久しぶりにモラクスさんもいるし、私たちも一緒しようよ」
モラクス「・・・あゆか・・・泣いてますか・・・?」
あゆか「グスっ。 大丈夫だよ〜モラクスちゃん。 あっ、マドレーヌ美味しそう!」
モラクス「マドレーヌは・・・私と・・・ラファエルで・・・焼きました・・・みんなの・・・口に合えば・・・嬉しいです」
るり「ラファエルさん、お料理得意だもんね。すごく良い匂い♪ 私もお菓子は作ってたけど、マドレーヌは焼いたことなかったな〜」
ガブリエル「早く座って早く座って〜!私さき食べちゃうよ〜?」
あゆか「あっ!無くなっちゃう!!いそげ〜〜」
るり「あはは♪」
〇神殿の門
きなこ「ー上手にできたので、先生に褒められたんです。「きなこさんはすごいね」って」
ウリエル「良かったですね」
きなこ「あと、前はお母さんにも褒められました♪ この前卵焼きを一緒に作ったんですけど・・・」
きなこ「あっごめんなさい!私ばっかりお喋りしてしまって・・・」
ウリエル「いえいえ。聞き入っておりました」
きなこ「ウリエルさん、すごく聞いてくれるから、とってもお話ししやすくて・・・ 私も、そんな人になりたいです」
ウリエル「おや、喜ばしいですね」
きなこ「私、大人な女性になりたいんです。あゆかさんやるりさんよりも、もっと頼ってもらえるような・・・いつも迷惑かけてばかりだから」
きなこ「どうすれば、ウリエルさんのような大人になれますか?」
ウリエル「どんなものでも、大切にすることは、良い心がけだと思いますよ」
ウリエル「そろそろ、別のお役目がございますので、私は戻ります。きなこ様も、どうか中へ・・・」
きなこ「分かりました!今日もお話、とても楽しかったです!明日は、ミカエルさんやルシファーさんのことについて教えて下さい・・・!」
ウリエル「はい。ではまた」
きなこ(こっそり、着いて行ってもいいのかな・・・? ウリエルさんのこと、もっとたくさん知りたい・・・)
ベリアル「あら、あなたがきなこっていう子?」
きなこ「えっ・・・?!どうして名前を・・・」
ベリアル「ウリエルから聞いたのよ。きなこちゃんっていう可愛らしい子がいるって。 それにしても・・・」
きなこ「・・・・・・!!」
ガバッ
ベリアル「なんて可愛い子なの〜!!?」
きなこ「く、苦しッ・・・!」
ベリアル「あぁ、名前も名乗っていないのに驚かせちゃったわね。 私はベリアルというのよ。 きなこちゃん・・・名前も可愛らしい響きねぇ」
きなこ「えっと・・・ベリアルさん、どうして、ここへ・・・?」
ベリアル「たまたまね、通りかかっただけよ〜♡ それよりきなこちゃん、ウリエルを追いかけようとしてる?」
きなこ「えっ!! えっと、だ、ダメでしょうか・・・?」
ベリアル「きなこちゃん、上目遣いは反則よ・・・?立ちくらみを起こすところだったわ」
ベリアル「ダメというより・・・ 簡単に言うときなこちゃんにはまだ早いわ、あの光景」
きなこ「ウリエルさんも先程言ってました・・・私が見たら気分悪くするかもって・・・」
ベリアル「きなこちゃん、血とかたくさん見れないでしょう? あとね、見ちゃったら・・・ウリエルのこと、嫌いになっちゃうかも♪」
きなこ「えっ!!ウリエルさん、何してるんでしょうか・・・? まさか、地獄で罪を犯した人たちにたくさん叱ってるとか・・・?」
ベリアル(あ、ダメだわ。この子・・・純粋すぎて・・・ 私が死んじゃう)
ベリアル「さぁ、もうこのお話は終わり! お姉さんはきなこちゃんのお話がたくさん聞きたいわ♪ 別のところ行きましょ」
きなこ「え〜〜ッ いいですけど・・・」
〇城の回廊
ご姉妹で鍛錬を・・・すごい戦いだ・・・
ミカエル「・・・姉上様、お疲れ様」
ルシファー「ああ、お疲れさん。いい鍛錬だった」
ミカエル(私の憧れる姉上様・・・見事な剣捌きだったわ。私も、早く姉上様のように強くならなくちゃ)
ルシファー(詠唱スピード、範囲・・・どれをとってもミカエルはすげぇ力を持ってる。自慢の妹だ)
サリエル「ミカエル様、ルシファー様。鍛錬中失礼します。 よろしければ、私も鍛錬に入れて頂けませんか?」
ミカエル「サリエル、いいわよ。私はまだ時間あるから、相手をしてあげる」
ルシファー「うちもいいけど、 お前、鍛錬しすぎも良くねぇぞ?今度うちのオススメの飯屋連れてってやる」
サリエル「・・・ご忠告ありがとうございます。 ですが、私は大丈夫です。お気持ちだけ受け取らせて頂きます」
ミカエル「本当に真面目ねぇ、サリエル。お誘いは、あまり断ると誘われなくなるわよ?」
ルシファー「まあまあ、いいじゃねーか。ほら、サリエルもう武器構えてるぞ」
ミカエル「うふふ♪ サリエルとの鍛錬、久しぶりでワクワクするわ」
サリエル「よろしくお願いします!」
〇華やかな広場
ガブリエル「うえぇぇぇん・・・」
ラファエル「ガブリエル、ど、どうしたの・・・?草むしり・・・?」
ガブリエル「聞いてよ〜 神様に頼まれてた大切な書類、間違えて水でぐしゃぐしゃにしちゃって・・・」
ガブリエル「その罰として草むしりだって〜 しかも魔法でズルしたらダメって」
ラファエル「そ、そうだったんだね・・・私も、お手伝いしてあげたいけれど、今からきなこちゃんとの練習があるから・・・ごめんね」
きなこ「あの、私は、またあとででもいいですので、ガブリエルさんお手伝いしませんか・・・?」
ガブリエル「えー??きなこちゃん・・・・・・!!」
ラファエル「きなこちゃんがいいなら・・・! ガブリエル、私たちもお手伝いするね♪」
ガブリエル「うわーん、二人とも、ありがとう!!女神さまーー!」
ラファエル「一人でしていたら、こんなに広いお庭いつ終わるか分からないし、腰も痛めちゃうしね・・・♪」
ガブリエル「じゃあ、私はここをするから、二人はあっちの方お願い!!」
「はーい♪」
〇華やかな広場
ガブリエル「ふい〜〜〜♪終わったーーー!! みんなほんとにありがとー!!!」
ラファエル「お庭、綺麗になってお花たちもきっと喜んでるね・・・♪」
きなこ「草むしり、私初めてやりましたがとても楽しかったです!」
神「綺麗になったか。ガブリエル」
ガブリエル「わっ!ビックリしたー!! はいっ、二人が手伝ってくれたんです⭐︎」
神「そうか。 あの書類だが、ラファエルが手直ししてくれたのだ。 しっかり感謝するのだぞ」
ガブリエル「えっ!?ラファエルが?」
ラファエル「お友達だから・・・お節介だったかな・・・?」
ガブリエル「ラファエル〜〜!!」
神「懲りたら、紙を粗末にしてはいかんぞ。 神だけに」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
神「よし、帰るぞ」
ガブリエル「はーい!!」
〇城の回廊
ルシファー「・・・・・・・・・」
ルシファー「おぉ、来たか」
アモン「そろそろね・・・ルシファー」
アモン「あの子は、連れて行くのでしょ?」
ルシファー「あぁ、あゆかはこっち側にするつもりだ。 ・・・だが、作戦はもう少し待つ」
アモン「・・・そう。 まぁ、兵力もまだ足りないものね」
ルシファー「ああ。少しでも強化していっとかねーとな。 ・・・勝てねぇだろ」
〇湖畔
ラファエル「きなこちゃん、最近は弓も本当に上手になってるし、もう私の教えることはないと思う。 だから今日は、治癒魔法を教えるね」
きなこ「治癒魔法・・・!みなさんの傷を治せる、ということですか?」
ラファエル「うん。でも、きなこちゃんは私たちと違って人の子。 覚えられるかは分からないけど・・・ やってみる?」
きなこ「はい・・・!!頑張ります!」
ラファエル「分かった。 じゃあ、まずは全身のエネルギーを感知するようにして・・・」
〇養護施設の庭
ガブリエル「・・・もうバッチリだね⭐︎筋力もしっかりしてるし!」
るり「上達できたのは、ここまで一生懸命教えてくれたからよ。 ・・・分かりにくいところも多々あったけど」
ガブリエル「えー?まぁいいや、上手くなってるわけだし⭐︎」
ガブリエル「じゃ次は、近づかない敵に使える技、 ビームっていうのを教えるね⭐︎」
るり「えっビーム・・・?なんか怖そう」
ガブリエル「そんなことないよ〜 ただ体力いっぱい使っちゃうから、あんまり撃てないけどねー」
モラクス「・・・・・・」
ガブリエル「うわぁ!!ビックリしたーー ってモラクスじゃん、ノックぐらいしてよ〜」
るり「ノックもなにも、ドア無いけどね・・・」
モラクス「二人とも・・・おはようございます・・・ ラファエル・・・いなかったから・・・見にきました」
ガブリエル「ラファエルは今きなこちゃんと湖の方で鍛錬してるんじゃない?」
モラクス「そうですか・・・」
ガブリエル「うん。でも見てっていいよ⭐︎ 今ビームの撃ち方教えてるとこ」
るり「あれ、そういえばモラクスさんはどんな武器使うの?聞いたことなかった」
モラクス「私は・・・マシンガンというものを・・・用いて・・・戦います」
るり「うわぁ・・・!かっこいいね」
ガブリエル「モラクス腕を振り回したりするの苦手だもんね⭐︎ 銃も難しそうだけど」
モラクス「弾の補充が遅れると・・・攻撃されるし・・・ちゃんと・・・狙わないと・・・当たりません・・・難しい」
るり「海外ドラマで銃撃ってる人かっこいいなぁって思ってたけど、やっぱり難しいのね」
ガブリエル「カイガイドラマ?それも地上界で流行ってるもの?」
るり「そうよ。機会があれば見せてあげる」
ガブリエル「わーい⭐︎ って、お喋りしてる場合じゃないや。るり、ビーム教えるね!」
るり「うん。いつ始まるんだろ〜って思ってた」
モラクス「・・・ワクワク」
〇大樹の下
ルシファー「悪魔は基本的に光が苦手だが、うちとミカエルがよく使用する炎を弱点とする奴もいる」
ルシファー「今度は、剣に炎を纏わせる練習をするぞ」
あゆか「炎ですね!分かりました! よろしくお願いしますっ」
ルシファー「そんな固まらなくていい、そんな難しいことじゃねぇ。 どれ、お前の大剣貸してみろ」
あゆか「はいっ」
あゆか「うわぁっ!!!?ほんとに燃えてる!!」
ルシファー「念じるだけでこうなる。真面目に練習すれば、あゆかもカッコよくなるぞ」
あゆか「私も、出来るようになりたいです!! ルシファーさん、頑張ります」
ルシファー「うし、 じゃあまずは・・・」
〇貴族の部屋
あゆか「でね〜〜、夕方ぐらいにやっと小さな炎ができたんだ〜♪」
きなこ「おめでとうございます。私も、みなさんのお役に立てる治療の魔法を教えて頂きました♪」
るり「二人とも、新しい技覚えたかんじなのね。 私も今日、ビームの撃ち方を教えて貰ったわ」
あゆか「魔法って私たちでも使えるんだね。すごいよね!」
るり「ええ。魔法もマスターしたら、私たち帰れるのかな?」
あゆか「う〜ん、どうだろ?帰れるといいね」
きなこ「あゆかさんと、るりさんが一緒なら私はいくらでも頑張ります♪」
るり「きなこちゃん・・・」
あゆか「きなこちゃん、帰ったらご両親にこのお話したら楽しそうだよね♪」
るり「あゆか、天界行ってたなんて、信じるわけがないでしょう・・・?」
あゆか「はははー・・・そうだよね〜」
きなこ「最初は寂しかったけど、今はすごく楽しいです。お母さんとお父さんには会いたいけど、ここでの出会いも、大事な経験だと思います」
あゆか「しっかりしてるね・・・! そうだよね、大事な経験だよね!」
るり「きなこちゃんが元気なら、私たちもそれだけで元気になれるみたい。 明日からも、みんなで頑張ろ」
あゆか「うん!」
〇炎
地獄にて
うわあああああああああーーーッッ!!!!
ギャアァァァァァァーーーーッ!!!!
「か、か、神よーーーッお助けをーー!!!! あづい、あづい、うわああああーッッッ!!」
悪魔「あ、あれは・・・ や、奴がきたぞーッッッ!!」
う、ウリエルだーーーッッ!!!!
悪魔「き、貴様も・・・悪魔だ!!」
ウリエル「・・・躾が必要なようだな」
悪魔「ガッ!!?」
悪魔「ちく・・・しょう、足が・・・!!」
ウリエル「そうか、全身の皮を剥いで炎にぶち込めば大人しくなるのか」
悪魔「ひ、ひぃ・・・・・・!!やめ・・・ ギャアアアアアアアアア!!!!」
ウリエル「苦しいか?お前は人間にもこうしていたな」
悪魔「いてーよォ・・・いてーよォ・・・」
悪魔「ひぃ、こっちくんじゃねぇ・・・!」
ウリエル「さぁ、湯浴みの時間だ」
悪魔「アアアアアアアアアアア・・・!!!!!」
悪魔「恐ろしい・・・!! クソ・・・あの時殺られなければ、オレ達はまだ自由だったんだ」
「ウリエル様、死んだ罪人達はどうされますか」
ウリエル「転がせておいて構いません。そのうち消えるでしょう」
「はっ」
〇華やかな裏庭
ウリエル「ふぅ・・・」
ベリアル「あ〜あ、血塗れじゃない。今日は多かったのね」
ウリエル「お疲れ様でございます。 そうですね、本日はかなりいました。ですので寝静まられた時間帯に戻ろうかと・・・」
ウリエル「きなこ様にこの姿をお見せしてしまってはいけませんから・・・」
ベリアル「やっぱり気になっちゃうのね。そっくりだもの」
ウリエル「・・・・・・・・・はい」
ベリアル「まぁあなただから心配は無いでしょうけど、変な気だけは起こさないでよ?」
ウリエル「心得ております」
ウリエル「・・・では、着替えてまいります。一旦これで失礼──」
ベリアル「ちょっと待って。 もし私が、この世界から出ていくって言ったら、どうする?」
ウリエル「それを、なぜ私にお聞きなさるのでしょうか」
ベリアル「ふふ、そっけないのねぇ。昔からの付き合いなのに。 着替え終わったら、また私のところに来てちょうだい」
ウリエル「かしこまりました」