Episode3.生成体を巡って(脚本)
〇小劇場の舞台
シャドウ「ど、どうも〜」
街の皆さんに紹介したいと言われたシャドウ一行。
結局の所、アウレアからの断る事は出来なかった。
その結果、シャドウ達は民衆の多くにその姿を晒す事となった。
アウレア・サムダック「皆さん、この方達がこの街のピンチをそして私達の危機を救ってくれたヒーロー達です」
偽りのない満面の笑みで、アウレアは上機嫌に話し、シャドウ達の事を強く褒め称える。
カメラマンや、民衆達はそんな彼らに強い興味を見せ、何度も何度もシャッターを切った。
リアン・ジュール「えへへ、どうも〜」
グレンディ・ロメルデュアル(何だろう、凄く嬉しい・・・)
アリス「何か眩しいなぁ〜」
武川蒼一郎「いやぁ、どうもどうも」
元々、岩の除去作業等をやっていたのが基本だった為、あまり称賛される事になれていないシャドウ達は僅かに戸惑ってしまった。
アリスに至っては、カメラのフラッシュが眩しいと言ってしまっている始末だ。
アウレア・サムダック「それでは、我々はこの街を救った英雄であるシャドウさん達とこれからも親睦を深めていこうと思います!」
アウレア・サムダック「それでは、誓いとして握手を交わしたいと思います!」
そう言って、シャドウの横で話していたアウレアはシャドウの方に向き直り、そっと左手を差し出す。
シャドウ「こちらこそ・・・」
そう言って、チームを代表としてシャドウはアウレアの手を取るのだった。
〇宇宙船の部屋
シャドウ「よ、ようやく解放された・・・」
リアン・ジュール「あの後も、沢山インタビューされたからねぇ・・・」
数時間が経過して、ようやくシャドウ達は不時着してしまった自分達の艦に戻って来た。
シャドウ「あんま人前ってのは慣れんな・・・」
リアン・ジュール「今までそんな事なかったからね・・・」
二人の言う通りだ。
このガーディアンズに入ってから、大体このチーム・シャドウのメンバーは日の目を浴びた事はない。
要するに日陰者。
注目される様な事は何もしてこなかった。
アリス「岩退けてたオレらがこんな風に喜ばれるなんてよぉ・・・」
シャドウ「やはり、そう言う体質になってしまっているのだろうか・・・?」
岩を退けていた正義の戦士達が、突如として街の危機を救った。
偶然と言うべきか、もしくは彼らの実力が高かったのか。
リアン・ジュール「ま、感謝されたし悪い気はしないけどね!!」
シャドウ「ま・・・そうだな・・・」
リアの何気ない一言で、場は和んだらしい。
〇飛空戦艦
高高度、雲海の様な景色が眼下に迫る中。
空には飛行するMaster Mind達の飛空艇があった。
サージェント本部とも言っても良い飛空艇のデッキに、Master Mindは一人静かに立っていた。
常人からすれば、冬に吹く風よりも更に冷たいかもしれない風。
しかし、Master Mindからすれば逆に心地よいぐらいの風だった。
Master Mind「はぁ〜風が気持ち良い・・・」
Caster「確かに。良い具合だな・・・」
一人、風の心地よさに触れていると何処かからCasterが、Master Mindと同じ様にデッキに現れた。
Master Mind「ああ、Caster。僕と一緒に風でも浴びる?」
戦いで見せた残虐な姿とは違い、Master Mindは変な程に落ち着いた風貌であった。
落ち着いた声、焦りの見えない表情、内心を読み取る事が出来ない姿。
正に黒幕と呼ぶに相応しい。
Caster「浴びるなら、風じゃなくて一緒に水浴びでも・・!!」
ロマンチックな雰囲気?
Casterのお誘いは成功するのか・・・?
Master Mind「・・・・・・」
Master Mind「やめてくれ・・・」
Caster「はいはい、知ってましたよ・・・」
案の定、失敗だった。
次の機会を伺おう。
Master Mind「冗談は程々に・・・」
Caster「私が悪かったです、ごめんなさい・・・これでいい?」
Master Mind「別にいいさ、気にするな」
Caster「所で、本題なんだけど・・・」
先程までの少しふざけていた雰囲気が突然として消える。
Casterは急に真面目な表情を浮かべ、Master Mindに本題の話を始める。
Master Mind「話してくれ・・・」
Caster「生成体は、あの艦ごとワープした。勿論、ガーディアンズの奴らも生きてる・・・」
Master Mind「ワープした先は・・・?」
Caster「先進国と肩を並べる程に成長を遂げた中立の街「ロックウェール」ここにガーディアンズのチームがいるらしい」
S「一応、炎を主軸とする生命体を実験的に送り込みましたが・・・」
Berserker「殺られちまったらしいぜ」
あまり良い知らせとは言えない報告であった。
Sが送り込んだ生命体は撃破され、逃げ込まれたのは先進国と肩を並べる程の技術を持つ街だった。
その言葉に、Master Mindは顎に手を当てて、僅かな時間考える。
Master Mind「まぁ、いい・・・全て上手く行くとは最初から思っていない」
すんなりと生成体を手に入れられるとは思っていない。
腐ってもガーディアンズだ。
一筋縄では普通にいかないものだ。
Master Mind「少し一人で考えるよ。何か良い案が思い付くかもしれないし・・・」
それだけ言い残し、Master Mindは一人、風吹くデッキから去っていった。
今は一人で考えるべきだと、Master Mindは感じていた。
誰とも話さず、一人で静かに・・・。
Berserker「なぁS。このままふんぞり返ってる訳にもいかねぇし、この際全員で街に突っ込むか?」
突如として、BerserkerがSに対して特攻しないかと言う。
右手に銃を持ち、バトルジャンキーとしての姿を晒しながら。
S「悪くねぇと思うけどよ、相手の戦力アンタは分かってんの?」
Berserker「知らねぇよ」
S「もう少ししっかりと考えてください」
Berserker「まぁた、アンタはそれか・・・」
S「これが普通なので・・・」
三重人格である彼女にとって、性格における普通など存在しないのだが・・・。
一応メインとなっている人格は、今の様な冷静で極端に落ち着いた人格らしいが。
Attacker「何をそんなに悲しんでいるのかな、少女達!?」
少しばかり不安な雰囲気になりかけていたBerserkerとSであったが、Attackerが突然会話に入って来た。
入り方は半場、強引に会話に割って入る様な形であったが・・・。
Berserker「どうしたんだよ、Attacker」
Attacker「いや、暇だったし。一人も寂しいものだから」
Attacker「Caster様とMaster Mind様は部屋に戻ったし、デッキにいるお前らと話そうかと・・・」
Berserker「それで、何を話したいんだ?」
S「出来るのなら、何か気を引く様な話を・・・」
Attacker「最近、新しい仲間出来たんだよね!!」
Berserker「はぁ!?聞いてねぇぞ!?」
S「驚きです・・・!」
〇実験ルーム
シャドウ「さて、これで・・・」
リアン・ジュール「封印完了ね・・・」
チーム・シャドウに向けて宛てがわれた艦。
その艦内には、色々な機能を備えた部屋が用意されている。
ここは、その中で重要なアイテムやアーティファクト等を保管する為の実験室だ。
少し前に、偶然岩の中から見つかった生成体。
存在を悟られない様にする為にも、シャドウ達は実験室の中に生成体を隠していた。
シャドウ「よし、この中なら大丈夫だろう・・・」
リアン・ジュール「ええ、そうね」
実験室の中には一つの専用強化ガラスによって守られた大型のカプセルがある。
人一人ぐらいなら簡単に収容出来る程の大きさで、しかも絶対に壊れない。
(フラグ?)
その硬さは理論上なら、至近距離で爆発が起ころうとも平気な程らしい。
シャドウ「よし、後は自動で見張ってくれるらしいし。戻るか・・・」
リアン・ジュール「お腹減ったし、ご飯にしようっと!!」
シャドウ「着いていくか・・・」
ご飯を食べに行くと、意気揚々に言うリア。
シャドウは、リアの言葉に同情を見せて、そのまま彼女の背中を追った。
〇宇宙船の部屋
シャドウ「ふぅ、やっと一息入れられるな・・・」
リアと共に食事を終えたシャドウは、そのまま自室に戻っていた。
シャドウ(生成体・・・・・・。 奴らは、また奪いに来るのだろうか・・・)
眠る為のベットに項垂れる様にして、シャドウは座り込む。
その表情は、まるで何かを考える人の様であった。
シャドウ(姉さん、次はいつ会えるだろうか・・・)
唯一の家族に、シャドウは思いを馳せる。
シャドウ「少し、寝るか・・・」
シャドウはそのまま座っていたベットに寝転がる。
そしてそのまま、静かに眠りに落ちたのだった。