恋に落ちたスライム

在曰ミグランス人

第1話 恋に落ちたスライム(脚本)

恋に落ちたスライム

在曰ミグランス人

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恋に落ちたスライム
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〇花模様
  あなたの願いは何ですか?
  愛する人と結ばれる事?
  強くなる事?
  自分の国を手に入れる事?
  それとも?

〇けもの道
ゴリラ「そ〜れウホッ!」
ライム「⋯⋯」
ライム「⋯⋯」
ゴリラ「やっぱりスライムはよく跳ねるウホ!」
オオカミ「楽しいね!」
ライム「⋯⋯」
「おい。やめろよ」
ゴリラ「ダチ⋯⋯」
オオカミ「オレ達は遊んでるだけだよ」
ゴリラ「ライムも楽しいウホ?」
ライム「⋯⋯うん」
ダチ「あのなぁ⋯⋯」
ライム「いいよ、ダチ⋯⋯」
ダチ「ライム⋯⋯」
ゴリラ「な〜んか白けちゃったウホ」
ダチ「お前らなぁ!」
オオカミ「ダチは真面目すぎ」
ゴリラ「ライムもイヤならイヤって言うウホ」
オオカミ「そうだよ」
ダチ「⋯⋯」

〇ファンタジー世界
ライム「いつ見てもカッコいいなぁ⋯⋯」
ライム「誰が住んでいるんだろう?」
ライム「どんな生活をしているんだろう?」
ライム「きっと⋯⋯」
ライム「ココとは全然違うんだろうなぁ⋯⋯」

〇霧の立ち込める森
ライム(ジメジメして良い天気⋯⋯)
ライム(散歩日和だ)
ライム「ひぃっ!?」
ライム「なになになになになに?」
ライム「ってハルキゲニアかよっ!」
ライム「びっくりさせんなっ!」
ライム「でも何で急に⋯⋯」
「はあぁああああああああっ!!」

〇霧の立ち込める森
ライム(あれは何だろう?)
ライム(エルフじゃないし⋯⋯)
ライム(ドワーフでもない)
ライム(まさか!? ニンゲン!?)
ライム「あわあわあわあわ⋯⋯」

〇霧の立ち込める森
リン「んもう! しつこいわねっ!」
リン「ふんっ!」
リン「ふぅ⋯⋯」
リン「これで全部?」
「あわあわあわあわ⋯⋯」
リン「まだいるの?」
ライム「ごめんなさい⋯⋯」
リン「ス、スライム⋯⋯?」
ライム「許してください⋯⋯」
ライム「殺さないでください⋯⋯」
ライム「好きなだけ、ぷにぷにして良いですから」
ライム「だから⋯⋯」
リン「⋯⋯」
ライム「死んじゃった⋯⋯?」
「う⋯⋯ んん⋯⋯」
ライム「熱い⋯⋯」
ライム「え、え〜と⋯⋯」

〇水中
(なぁに? これ⋯⋯)
リン(ひんやりして気持ち良い⋯⋯)
リン(とても落ち着く匂い⋯⋯)
リン(不思議な感覚だわ⋯⋯)
リン(⋯⋯)
リン(でも、ちょっと⋯⋯ 重たい⋯⋯?)

〇森の中
ライム「痛いな! 何するんだ!?」
リン「な、ななななな何してんの?」
ライム「熱くなってから、冷ましてたんじゃないか!」
リン「熱く?」
リン(そうか⋯⋯ 雨の中で動き回ってたから⋯⋯)
リン「た、食べるつもりだった⋯⋯」
リン「とかじゃないわよね?」
ライム「ニンゲンなんか食べるかーー!」
ライム「ぼくらは草食だよ」
ライム「ニンゲンと一緒にしないでほしいな」
リン「人間もスライムは食べないわよ⋯⋯」
リン「う〜ん⋯⋯」
リン「まあ兎に角、助けてくれたんだよね?」
リン「ありがとう」
ライム「聞いてたのと違う」
リン「何が?」
ライム「ニンゲンは醜くて、凶暴で、愚かだって」
リン「そりゃそんな人もいるかもだけど⋯⋯」
ライム「君はとてもキレイだね」
リン「やだもう!」
ライム「凶暴なのは合ってた⋯⋯」
リン「助けてもらったし、何かお礼をしないと」
リン「スライムが喜ぶ事って何?」
ライム「喜ぶ?」
ライム「ん〜とね⋯⋯」
「リン様!」
リヴァル「やっと見つけた⋯⋯」
リン「リヴァル⋯⋯」
リヴァル「随分探したんですよ」
リヴァル「さあ、帰りましょう」
リン「離して! 触らないで!」
リヴァル「いい加減にしなさい!」
リヴァル「お転婆にもほどがある」
リヴァル「一体こんな所まで来て何を⋯⋯」
リン「そんなの私の勝手でしょ!」
リヴァル「少しは立場を考えてください」
リヴァル「貴女は⋯⋯」
ライム「あ、あの⋯⋯」
ライム「嫌がってるみたいなんで⋯⋯」
ライム「止めた方が⋯⋯」
リヴァル「スライム?」
リン「待って!」
リヴァル「リン様?」
リン「悪い魔物じゃないわ」
リヴァル「ですが⋯⋯」
リン「帰れば良いんでしょ?」
リヴァル「え? あ、はい⋯⋯」
リン「⋯⋯」
リン「⋯⋯じゃあね」
リン「本当にありがとう」
リヴァル「⋯⋯」
ライム「⋯⋯」

〇黒

〇ファンタジー世界
ライム「はぁ⋯⋯」

〇けもの道
ライム「はぁ⋯⋯」
オオカミ「よお! ライム」
ゴリラ「ウホウホ! ライム!」
オオカミ「どうしたんだ?」
ゴリラ「無視するなんて、ライムのくせに生意気ウホ」
ダチ「オッス!」
ライム「⋯⋯」
ダチ「ライム?」
ダチ「あ、ハルキゲニアだ」
ライム「んえ!?」
ダチ「嘘だよ」
ライム「何だ⋯⋯ ダチか⋯⋯」
ダチ「何だ、じゃないだろ」
ダチ「どうしたんだよ。上の空で」
ライム「うん。実はね⋯⋯」

〇けもの道
ライム「⋯⋯てな事があって」
ダチ「ニンゲンと悪魔族がねぇ⋯⋯」
ダチ「それで?」
ダチ「どうしてお前はそんな風になっちゃったの?」
ライム「それが⋯⋯ わからないんだ⋯⋯」
ライム「あれから、あのニンゲンの事が頭から離れなくて⋯⋯」
ダチ「そりゃ魔法なんか撃たれそうになったら怖いよな」
ライム「オスの方じゃない」
ライム「彼女の事を考えると、夜も眠れなくて⋯⋯」
ライム「食事も喉を通らないし⋯⋯」
ライム「ぼく、病気なのかなぁ⋯⋯」
ダチ「お前それは⋯⋯」
????「恋とちゃうか〜?」
ライム「コイって何?」
オオカミ「こりゃ傑作だ」
ゴリラ「ラブラブライムちゃんウホ〜」
ベス「なになにぃ〜? 恋バナ?」
ダチ「そうなんだよ」
ダチ「こいつ、ニンゲンのメスに惚れちゃったみたいでさ」
ベス「えぇ〜 何ソレ〜」
ベス「あんな、ぷにぷにしてない生き物なんて、どこが良いのぉ〜」
ベス「信じらんな〜い」
ベス「それで、どんなコなの?」
(いや、聞くのかよ⋯⋯)
ライム「え〜と、頭から毛が生えてて⋯⋯」
ライム「身体から手と足が伸びてて⋯⋯」
ベス「名前は?」
ライム「リン、って呼ばれてたなぁ⋯⋯」
ベス「それ、あのお城のお姫様じゃない?」
ライム「あの城? お姫様?」
ダチ「お前がいつも眺めてる、あの城だよ」
ライム「⋯⋯」
ライム「あれ、ニンゲンが住んでるの?」
ダチ「そうだよ。何がいると思ってたんだよ」
ライム「⋯⋯」
ライム「さあ?」

〇ファンタジー世界

〇城の廊下
「リン様!」
リン「だ〜か〜らぁ〜」
リン「もう平気だってば!」
リヴァル「いけません」
リヴァル「御身に何かあったらどうするのですか?」
リヴァル「貴女の身体は貴女一人のものではない」
リン「私の身体は私のものよ」
リン「それに鍛えてるから平気」
リヴァル「腕っぷしの強い女性なんて、誰も貰ってくれませんよ?」
リン「好都合だわ」
リン「恋愛なんて興味ない」
リン「まして政略結婚なんて絶対ゴメンだわ」
リン「私より強いなら話は別だけど」
リヴァル「貴女に敵う人間なんて、どの国にもいませんよ」
リン「でしょうね。安心だわ」
リヴァル「強くなりたいならせめて」
リヴァル「格闘などお辞めになって、魔法を学んでください」
リヴァル「宮廷魔術師の中でもナンバーワンである⋯⋯」
リヴァル「私が手解きして差し上げますよ」
リン「結構よ」
リヴァル「⋯⋯」
リヴァル(ちっ⋯⋯ じゃじゃ馬が⋯⋯)
リヴァル(まあ良い)
リヴァル(この国は必ず手に入れてみせる⋯⋯)

〇ファンタジー世界
ライム(リン⋯⋯)
ライム(ニンゲンのお姫様かぁ⋯⋯)
ライム(もう一度会いたいな⋯⋯)
ライム(でも、どうやって会いにいけば良いんだろう?)
ライム(それに、会ってどうするんだ?)
ライム「⋯⋯」
ライム(⋯⋯わからない)
ライム(でも⋯⋯)
ライム(会いたいな)
ライム「うん。そうだ⋯⋯」
ライム「会いたい⋯⋯」
ライム「もう一度リンに会いたい!」

〇森の中の沼
モリオサ「駄目」
ライム「えぇ⋯⋯」
ライム「な、なにゆえ⋯⋯」
モリオサ「掟だから」
モリオサ「今どきの若いもんは、すぐに森を出たいと言うが⋯⋯」
モリオサ「人間の世界は、お前が思っている以上に危険なのだよ」
ライム「で、でも⋯⋯」
モリオサ「森から出たら、スライムなどあっという間に狩られてしまう」
モリオサ「お前にその覚悟があるのか?」
ライム「うぅ⋯⋯」
モリオサ「そもそもスライムと人間が、一緒になれると思っているのか?」
ライム「だ、ダメなの?」
オオカミ「恋愛は同じ種族じゃないと」
ゴリラ「仮にOKだとしても」
ゴリラ「お前、弱いし」
ゴリラ「イケメンでもないし」
ゴリラ「カネも持ってないし」
ライム「い、いけめん? かね?」
オオカミ「駄目だこりゃ⋯⋯」

〇ファンタジー世界
ライム「そっか⋯⋯」
ライム「ぼくは弱い」
ライム「カッコ良くもない」
ライム「おカネってやつも持ってない」
ライム「それじゃダメなんだ⋯⋯」
ライム「リンには会えないんだ⋯⋯」
ライム「会っちゃいけないんだ⋯⋯」
ライム「⋯⋯」
ライム「なんでっ!?」
ライム「なんでダメなのっ!?」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!」

〇けもの道
ゴリラ「無茶ウホ」
オオカミ「お前じゃ無理だ」
ベス「ありえな〜い」
  わかったよ⋯⋯
ヘビ「止めておけ」
トリ「きっと後悔する」
ゴリラ「無理ウホ」
オオカミ「無理だ」
ベス「ム〜リ」
「無理!」
「お前には出来ない」
  そう。ぼくには無理だ⋯⋯

〇けもの道
リン「何考えてるの?」
リン「勘違いしないでね?」
リン「どうして私が?」
  ごめん。そうだよね⋯⋯
ライム「ぼくはただのスライムだよ」
ライム「ニンゲンを好きになったって意味ないよ」
ライム「フラれるに決まってる」
ライム「気持ち悪いって言われる」
ライム「怖いよ」
ライム「怖い」
ライム「怖い」
  怖い⋯⋯

〇黒
  ⋯⋯でも

〇森の中
  リンと一緒にいると⋯⋯
  素直になれたんだ⋯⋯
  本当の自分、って気がした。
  世界が輝いて⋯⋯
  カラフルに見えたんだ⋯⋯

〇洋館のバルコニー
リン「ん⋯⋯」

〇森の中の沼
モリオサ「え? だから駄目だって⋯⋯」
ライム「イヤだーーーーーーっ!」

〇けもの道

〇けもの道

〇けもの道

〇森の中

〇森の中
ライム「会えるかな?」
ライム「いや⋯⋯」
ライム「会うんだ」
  乱暴で、ムチャクチャだけど⋯⋯
ライム「会いたい!」
  優しくて、自由な、
ライム「ぼくは会うんだ!!」
  リンの事が好きだから!!

〇草原の道

次のエピソード:第2話 聖樹の花

コメント

  • 始終可愛らしいスライムが秀逸です。シンプルなストーリーながら、主人公の愛らしさが魅力となって、愛情を持ってライムの行動を追うことができます。キャラ絵と文章がうまくハマると、ここまで可愛らしく表現できるのかと、正直感心しております。
    また個人的にですが、タイトルの「恋に落ちたスライム」、わかりやすく、字数も丁度よく、とても語呂が良い。今回のコンテスト出品作で最優秀なタイトルだと思っております

  • 主人公が可愛くてかっこいい....!

  • ライムかわいい〜💕
    ライムの立ち絵と比べるとモリオサがすごい強そうなスライムに見えました笑

    続きが楽しみです✨️
    そしてハルキゲニアへの執着はいったい・・・www

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