サブリミナル・リアリティ

jloo(ジロー)

【第十話】新しい世界(脚本)

サブリミナル・リアリティ

jloo(ジロー)

今すぐ読む

サブリミナル・リアリティ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇養護施設の庭
志田聖「ここは・・・・・・」
志田聖「ここは、死後の世界なのか」
久景千里「違うわね。私たちは、死んだわけじゃ無いもの」

〇空
久景千里「ほら、見える? 空」
志田聖「空が、どうかしたか」
久景千里「こんなにも、澄んでいて美しい」
久景千里「鳥の声も、吹きすさむ風の音さえも旋律を奏でている」
久景千里「こんな、世界」

〇養護施設の庭
志田聖「そう言えば、空なんて最近見たことも無かったな」
久景千里「案外、気づかないものよね」
志田聖「でも、不思議だよな。こんな空だって、俺たちの脳の中で作り上げられたものなんだから」
久景千里「ええ、所詮は電気信号。脳が作り上げた、幻に過ぎない」
久景千里「なら、世界は美しく無いのかしら」
志田聖「どうだろうな。誰もが、美しいとは感じないかもしれない」
久景千里「そうね。美しいと感じるのは、私の感想だもの」
久景千里「そして、それが私の限界でもある」
志田聖「限界・・・・・・?」
久景千里「私が変えられるのは、私の中の世界だけ」
久景千里「世界中で起こる争いも、環境危機も・・・・・・どれだって、世界の外の話でしか無い」
志田聖「そう言えば、そうだな。ニュースで見聞きはしても、それは世界の外側を知ったことにはならない」
久景千里「悲劇は、何処にでも起こり得るわ。小さなことから、大きなことまで」
久景千里「私が、その全てを解決することなんて出来ない」
志田聖「世界を変える、力があってもか」
久景千里「そうよ。私の世界は、私のものだから」
志田聖「俺たちが、生きた意味って何だったんだろうな」
久景千里「きっと、それは歩むこと。ただ、それだけだったんじゃないかな」
久景千里「そして、その隣には確かに貴方が居た」
久景千里「貴方の存在を、私は確かに感じていたの」
志田聖「俺も、千里の笑顔に支えられてきた」

〇空
志田聖「もうそろそろ、この時間も終わりか」
久景千里「ええ、終わりが近づいてきたみたい」
久景千里「ありがとう、最後の時まで私と一緒に居てくれて」
久景千里「おやすみなさい、聖君」

〇渋谷駅前
  第十話『新しい世界』

〇警察署の食堂
ドロシー・R・ランドール「ちょっと、ジャクソン! 水をこぼさないでよ、かかったじゃない」
ロバート・A・ジャクソン「わりー、つい手が滑って」
ドロシー・R・ランドール「ついって・・・・・・あんた、わざとやったわね」
ラナ・D・ヘルナンデス「No! 喧嘩は駄目ですよ、二人とも」
ドロシー・R・ランドール「喧嘩じゃ無いわよ、向こうが一方的にやってきたんだから」
ロバート・A・ジャクソン「おお、怖い! 言葉の暴力だって、立派な犯罪だぜ」
ドロシー・R・ランドール「こいつ、むかつく! 一発、殴ってやろうかしら」
ロバート・A・ジャクソン「ちょ、それは問答無用で牢屋行きだから」
クリストファー・W・ジーク「お前ら、また喧嘩してんのか・・・・・・」
「ボス・・・・・・!!」
ドロシー・R・ランドール「いや、違うんですよ。この騒ぎは、ジャクソンが・・・・・・」
クリストファー・W・ジーク「二人とも、後で始末書を書かせるからな。覚えておけ」
「えー、そんなぁ」
ラナ・D・ヘルナンデス「喧嘩両成敗といったところですね、めでたしめでたし」

〇綺麗な会議室
明田正十郎「おぉ・・・・・・良いじゃないか、君の案。採用だ」
明田正十郎「ええっと、会社の名前は何だったっけ」
久景隼人「イコライザーです」
明田正十郎「そうだったな」
明田正十郎「しかし、君の会社の製品はどれも魅力的だな」
明田正十郎「何というか、人情味に溢れている。そういうところも、気に入ったよ」
久景隼人「ありがとうございます。そのような言葉をかけて頂いて、光栄です」
明田正十郎「特にこの、全自動卵割り機なんて最高じゃないか」
明田正十郎「私も、卵を割るのに苦労していてね。個人的に、買わせて貰うつもりだよ」
久景隼人「それは、良かった」
久景隼人「それでは、こちらの製品なんかもお気に召して頂けるかと」
明田正十郎「うぉおおおおおお! 何だ、これは」
明田正十郎「画期的な、製品じゃないか! ノーベル賞ものだよ、君」

〇渋谷駅前
  世界に、笑顔が満ちている。
  このありふれた世界で、人は歩み続けるのだ。
  それぞれの、意志を抱いて・・・・・・。

成分キーワード

ページTOPへ