〇大きい交差点
　　そりゃ、出たくない思ったよ
　　また休日出勤かよって
　　けどさ‥‥

〇大きい交差点
「大丈夫ですか!?聞こえますか!?」
「ダメだ、意識がないっ」
「そこのあなた、救急車お願いします！」
「AED取って来ます！」
　　『予定があるなら無理しなくていいよ』
　　『独身で、親は元気なんだよね』
　　『いいかげん、就職しないの？』
　　‥‥俺の人生
「もうすぐで救急車、来ますから！ 頑張って!!」
　　冴えない人生だったな‥‥

〇小さいコンビニ
　　なぜだ
　　俺は確かに死んだはずだ
　　事故死という形だが、
　　図らずも休日出勤をまぬがれたのに
　　なぜ目の前に
　　コンビニ（生前の仕事場）が‥‥
　　いくら身近な存在でも
　　死後の世界にまで存在しないでくれ

〇コンビニのレジ
しがない元コンビニ店員（とりあえず、この状況を知りたい）
「らっしゃいませー」
しがない元コンビニ店員（何処から声が‥‥？）
しがない元コンビニ店員（他に店員は‥‥）

〇コンビニの雑誌コーナー

〇コンビニの店内

〇コンビニのレジ
　　他店員おらず
　　客は女性客（美人）１人‥‥
しがない元コンビニ店員「あのう、すみません‥‥」
しがない元コンビニ店員「すみませーん、ちょっといいですか！」
店員さん「何してんの、お客さん」
店員さん「声かけるなら、怠慢店員よりも あっちの美亡人でしょ♪」
店員さん「別に話しかけても変じゃないっしょ こんな状況だし」
店員さん「絶好のチャンス♪ 逃すともったいないよ、お客さん」

〇コンビニの店内
しがない元コンビニ店員「それができるなら、苦労しないですよ‥‥」
しがない元コンビニ店員「俺のような陰キャオタが 声かけるなんざ、畏れ多い‥‥」
しがない元コンビニ店員「たとえ向こうが失礼だと思ってなくても」
しがない元コンビニ店員「俺には、美人は未知の生物」
しがない元コンビニ店員「無作法若者の方がまだ 扱い慣れてるんすよ、こっちは──」

〇コンビニのレジ
しがない元コンビニ店員「何か‥‥？」
店員さん「嘘じゃないけど」
店員さん「本心を隠すのに、こなれてる」
店員さん「欺瞞だねぇ」
店員さん「自己欺瞞の人生、 そりゃ、冴えないわ♪」
しがない元コンビニ店員「なっ‥‥!?」
店員さん「いいの？そんな冴えない人生 ずーーーーーっと続けんの？」
店員さん「来世でも」
しがない元コンビニ店員「何を言って‥‥!?」
店員さん「ここは『後生コンビニ』」
店員さん「死後の世界であり、 生まれ変わるための場所であり」
店員さん「死者が、来世への願いを叶える」
店員さん「前世と来世の通過ポイント」
　　500円分だけ、だけど♪
　　低いな