読切(脚本)
〇雪山の山荘
──北欧
──フィンランド
今年もクリスマスがやってきた
子どもの頃からサンタとトナカイはひとつ屋根の下、一緒に育つ
一緒に育った絆の力でトナカイは空を飛ぶのだ
2人はまさに修二と彰・・・・・・
いや、阿佐ヶ谷姉妹のように固い絆で結ばれている!!
サンタ「今年もプレゼント配りオジサン始めますかっと・・・・・・」
サンタ「うわっ、無意識でマスカットってダジャレ言っちゃった」
サンタ「この爆笑ギャグ、トナカイにも教えてやろ」
サンタ「おーいトナカイ!」
サンタ「爆笑ギャグの時間だぞー」
サンタ「仕事もあるぞー」
サンタ「おーい」
サンタ「・・・・・・あれ?」
サンタ「トナカイ、部屋入るぞー」
〇小さな小屋
サンタ「アイツいないな」
サンタ「ん?」
サンタ「手紙かよ、なんだよ」
サンタへ
サヨナラ
――トナカイ
サンタ「えぇ?」
サンタ「サヨナラ!?」
サンタ「トナカイが仕事飛んだァ!!」
サンタ「おいおいおい」
サンタ「配れませんでしたで済む訳ないぞ」
サンタ「どうすんだ、子どもたちの夢!」
サンタ「責任持って仕事するのがプロだろうがトナカイの奴!!」
サンタ「チクショ、とりあえず協会に電話だ電話」
サンタ協会電話係「はい、サンタクロース協会です」
サンタ「え!? 色と形が卑猥過ぎませんか!?」
サンタ協会電話係「電話なので色も形も無いと思いますが・・・・・・」
サンタ「あ、すみません 幻覚でした」
サンタ「あの、トナカイが飛んでしまったのですが、どうすれば良いでしょうか?」
サンタ協会電話係「トナカイが飛んだなら良かったじゃないですか」
サンタ「良くないですよ! 仕事飛ばれたこっちの身にもなって下さい」
サンタ協会電話係「あ、そっちの飛ぶでしたか・・・・・・」
サンタ協会電話係「協会としましてはできる事はありません 配れなかった場合は損害賠償もあるのでご注意ください」
サンタ「何もしてくれないんですか!?」
サンタ協会電話係「我々はウー〇ーイーツと配達員のような関係ですので・・・・・・」
サンタ「配達員のトラブルには知らぬ存ぜぬってことですか!?」
サンタ協会電話係「責任を持って仕事してください プロでしょう?」
サンタ協会電話係「では、失礼します」
ツーツーツー・・・・・・
サンタ「どうしよ・・・・・・」
〇川に架かる橋
サンタ「とりあえず飛行機で日本まで来たものの」
サンタ「これから皆にどう配れば......」
サンタ「タクシーに乗って配るお金もないし」
「邪魔だ邪魔だ!!」
ウマ「ボーっと突っ立ってんじゃねーよ!」
サンタ「うわっすみません」
ウマ「俺を止めるな!!」
サンタ「あの、お馬さん」
ウマ「今止めるなって言ったよな!?」
サンタ「私サンタをしておりまして、トナカイが飛んでしまいまして」
ウマ「飛んだなら良かったじゃねーか」
サンタ「仕事を飛ばれまして・・・・・・」
ウマ「あー・・・・・・」
サンタ「今夜手伝っていただけませんか?」
ウマ「いくら払えるんだ」
サンタ「あの、ボランティアになってはしまうんですが」
ウマ「舐めてんのか!? 俺はプロだぞ!!」
サンタ「そこをなんとか! 配れないと廃業しちまうんです!!」
ウマ「うるせぇ! 俺の知ったことか」
サンタ「そんなぁ」
ウマ「俺はこれから競馬があんだよ」
サンタ「どの馬に賭けるんですか?」
ウマ「俺が走るんだよ!」
サンタ「競走馬さんでしたか」
ウマ「絶対勝つから見てろ!」
ウマ「俺が勝てば100倍だぜ」
ウマ「そのお金があれば配達料も払えるかもなぁ!!」
馬は颯爽と競馬場へ走った
サンタ「金の亡者が!!!!!」
ウマ「いや、俺に賭けろってことだよ!!」
ウマ「分かれよ!!」
サンタ「なんだ、そういう事か」
サンタ「ありがとうお馬さん」
サンタ「・・・・・・俺、全部賭けるよ」
〇クリスマスツリーのある広場
サンタ「二度と馬を信用しない!!」
サンタ「服まで賭けたから寒いぜチクショウ」
サンタ「終わりだな クリスマスも」
サンタ「俺も・・・・・・」
バタッ
シカ「人が倒れてるわ!」
シカ「大丈夫ですか!?」
サンタ「腹ぁ減って駄目だ」
サンタ「アレ、トナカイ?」
シカ「いえ、トナカイのコスプレをした鹿です」
サンタ「そうか、旨そうだな」
サンタ「いただきます」
シカ「食べないで下さい!」
サンタ「待てぇ!」
〇クリスマスツリーのある広場
シカ「来ないでぇ!」
サンタ「追い詰めたぜ・・・・・・」
トナカイ「やめろぉ」
トナカイ「彼女に手を出すな」
シカ「トッくん・・・・・・」
サンタ「トナカイ・・・・・・?」
トナカイ「サンタ・・・・・・?」
サンタ「お前、仕事飛んでこんなところで女とイチャコラしてたんか!!!!」
トナカイ「いや、ち、違うんだ」
サンタ「何が違うんだよ!!」
サンタ「彼女にトナカイのコスプレまでさせて!!」
トナカイ「子どもが産まれるんだ」
トナカイ「だから年一の仕事じゃもうやってけないんだ」
サンタ「なるほど・・・・・・」
サンタ「いや、今日の仕事は飛ぶなよ」
トナカイ「産まれそうだったから仕方ないだろ」
サンタ「ちゃんと言えよ」
トナカイ「それはほんとごめん」
シカ「私が急かしたから・・・・・・」
トナカイ「別にお前のせいじゃねーよ」
サンタ「お前らのせいだよ」
サンタ「お前らのせいでサンタ終了だよ」
サンタ「全財産失っちまったよ!!!!!」
トナカイ「それは競馬のせいだろ」
サンタ「どうしてくれんだよぉ」
シカ「ねぇ、トッくん」
トナカイ「なんだよ」
シカ「行って」
シカ「プレゼント配りに行って!」
トナカイ「配りに行けって言われてもよ」
トナカイ「こいつプレゼント持ってねーだろ!!」
トナカイ「全部すっちまったんだろ!?」
サンタ「ああ、全部すっちまったよ」
サンタ「でも、プレゼントは子どもたちの夢だからな」
サンタ「ここにあるぜ」
トナカイ「腐ってもサンタだな」
サンタ「売ったら横領で捕まりそうだし・・・・・・」
トナカイ「腐ってんな〜」
サンタ「でもサンタ服は売っちまったよ」
サンタ「今年はもう無理だ・・・・・・」
トナカイ「サンタ服売ってる安い店、知ってるぜ」
サンタ「ほ、本当か!?」
トナカイ「ったく、ほっとけない奴だぜ」
サンタ「いや一回ほっといただろ」
トナカイ「えへっ、良い感じに締めさせてくれよ」
サンタ「しょうがない奴だぜ」
トナカイ「一緒に行くぞ!!」
サンタ「メリークリスマスしますか」
2人は走る────
激安の殿堂へ────
「馬なんか信用しない」ってところで、噴き出しました!笑
やっぱり負けちゃったんですね。
なんだかサンタさんがひどいめに遭ってましたが、ラストはいい感じになりましたね。
ストーリーのテンポがスムーズに運び、とっても面白かったです。ウマさんとの会話で絶対勝ってやるなんて言ってますが、案の定ギャンブルでスッテしまいましたね。
こんばんは。福山詩と申します
本当に素敵な作品でした。感想を書きたかったのですが、誤ってネタバレ通報というものを押してしまいました。本当に申し訳ありません。
公式様にメールをし、誤りだとお伝えしておりますが、何かご迷惑があれば本当にすみません。
何かありましたらご連絡下さい
Twitter @utaspoon