メタリアルストーリー

相賀マコト

エピソード6(脚本)

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〇草原

〇けもの道
アイリ「2匹そっちにいったわ」
ニル「了解!」
  アイリの脇をすり抜けて、2匹のラウルがニルのもとへと駆(か)けていく。
  ニルは自身に向かってくる2体を睨(にら)みつけ、鉄剣を構えた。
ニル「——!」
  ほとんど同時に飛びかかってきたのを、そのまま流れるような剣筋でなぎ倒す。
ニル「アイリ、こっちは片付いたよ!」
  ニルが振り返ると、すでにアイリも戦闘を終え双剣を鞘(さや)に納めるところだった。
アイリ「まっ、こんな雑魚(ザコ)何体いても関係ないわね」
  伸びをしながら呟(つぶや)くアイリを見て、ニルは安心したように息を吐き出す。
ニル「いきなり中級クエストなんて、少し身構えてたけど考えすぎだったのかな」
アイリ「・・・そういうのをフラグって言うのよ」
  ガルルルルルル・・・
アイリ「ほら、噂をすればお出ましね」
  野太い唸(うな)り声がしたかと思うと、前方の茂みが大きく揺れる。
  そこから姿を現したのは、ラウルによく似た、しかし大きさは軽くその4倍はありそうなギアーズだった。
アイリ「じゃ、ニル! ちゃっちゃとよろしくね」
ニル「・・・・・・」

〇黒
  ——1時間前——

〇けもの道
  パーティを組んでから数日後、クエストを受けた二人は再びラパークの森を訪れていた。
アイリ「今回のクエストは、ラウルガ1匹の討伐ね」
ニル「ラウルガ?」
アイリ「ええ、ラウルの群れのボスをラウルガって言うの」
ニル「でも、ラウルって見習い試験になるくらいだから、そこまで強いわけではないんだよね?」
ニル「そのボスなら初級くらいのクエストなんじゃないの?」
アイリ「まあ、普通のラウルガなら初級程度ね」
アイリ「でも今回のラウルガは、ただのラウルガじゃないの」
アイリ「ラパークの森の最深部で最近発見されたラウルガよ」
アイリ「おそらく何十年かは生きているはずだから、通常のラウルガよりずっと強いはず」
ニル「ふうん・・・」
ニル「まあでも、アイリは上級なわけだし、余裕だよね」
アイリ「ええ」
アイリ「でも今回は、ニルにひとりで倒してもらうわ」
ニル「えっ!? なんで!?」
アイリ「アンタの戦い方を見ておこうと思ってね」
アイリ「パーティメンバーがどんな動きをするのか把握しておかないと連携はとれないものよ」
ニル「まあそうなのかもしれないけど・・・」
アイリ「ニルなら万が一はないと思うけど、もしものときは私が助けに入るわ」
  軽い調子で言うアイリに、ニルは思わず苦笑いを浮かべた。

〇けもの道
  ニルが一歩踏み出すと、ラウルガの唸(うな)りはいっそう威圧感を増した。
  唾(つば)を飲み込み、さらに一歩距離を詰める。
  ラウルガは地鳴りのような雄叫(おたけ)びを上げると、ニルへと突進した。
ニル「っ・・・」
  とっさに左右に転がって避ける。
  ニルは体勢を整えるとともに、ぐっ、と握る指に力を込めた。
  ラウルガはその巨体に似合わない俊敏な動きで追撃を仕掛けてくる。
  鋭利な爪や牙で迫ってくるラウルガに、ニルは防戦一方だった。
ニル(一撃が重い・・・まともにくらうとキツイな)
ニル(ましてやあの巨体、普通のラウルと同じように倒すのは難しそうだ)
ニル(さて、どうしたものか・・・)
  そして、思いのほか苦戦するニルに、アイリは苛立(いらだ)ちを隠せずにいた。
アイリ(ああもう、なにしてんの!)
アイリ(たしかに相手はそれなりに強いけど、アンタのあの力があれば・・・)
  痺(しび)れを切らしたアイリが叫ぶ。
アイリ「なにしてんのよ! 早くその腕使いなさいよ!」
ニル「!」
  声に反応したニルが、一瞬アイリを見る。
  しかしすぐにラウルガに視線を戻すと、再び剣を構えた。
アイリ(なんで・・・)
  繰り返し飛びかかってくるラウルガをいなし続けるニル。
  しかし、ついに防御が間に合わず、ラウルガの突進がもろに当たる。
ニル「——っ!!」
  地面に転がるニル。それを目がけて、ラウルガが跳躍した。
アイリ「っ、やば・・・」
  アイリが助太刀に入ろうと剣を抜く。

〇けもの道
ニル「グッ、」
  ガアアアアアアッ!!
  しかし今にもニルが押し潰されそうになった瞬間、ラウルガは動きを止めた。
ニル「はあっ、はあっ・・・」
  目を見開いた状態でニルは荒い息を吐く。
  まっすぐ伸ばされた鉄剣がラウルガのコアに刺さり、機械の身体(からだ)を突き破っていた。
  鈍い音を立て、巨体が地面に倒れ込む。
ニル「あっ・・・ぶなかったー・・・」
  ぱちぱちと数回まばたきをする。
  もしもあと数センチでもずれていたら、動かなくなったのはニルのほうだっただろう。
  ニルは立ち上がり、アイリのもとへ戻る。
ニル「いやー、なんとか倒せてよかったよ」
アイリ「・・・・・・」
ニル「ってあれ、アイリ・・・怒ってる?」
アイリ「なんでもないわよ! ほらっ、いくわよ!」
ニル「う、うん・・・」

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