The Heros

鈴木蓮

Episode2.その名はガーディアンズ(脚本)

The Heros

鈴木蓮

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〇コックピット
シャドウ「んっん・・・」
シャドウ「は!おい!皆無事か!?」
  暗闇の中、シャドウは一人目を覚ました。
  どうやら、運が良かったのか死んではいない様であった。
  体もまだ温かい、足もちゃんとある。
リアン・ジュール「んん・・」
リアン・ジュール「あれ!?あの後、どうなったの?」
シャドウ「ど、どうやら逃げ切れたみたいだな」
  周囲に敵の気配はしない。
  静かで静寂に包まれている。
  静か過ぎて、鳥の囀りで聞こえる程であった。
  その言葉に思わずリアは安堵の声を漏らした。
リアン・ジュール「はぁ、良かった〜」
アリス「本当だよ、死ぬかと思ったぜ・・・」
武川蒼一郎「まぁ、逃げられたなら儲けものやな」
グレンディ・ロメルデュアル「そうね、良かった」

〇塔のある都市外観
  世界は正に平和であった。
  戦争など起こる訳もなく、人々は互いに技術進歩を続け、優れたテクノロジーを手に入れていた。
  この一つの先進した街である「ロックウェール」もその高い技術進歩を続けていた街の一つであった。
アウレア・サムダック「こうして、私達は進化していく未来の為にさらなる高みへと進まなければなりません!!」
  そこに現れたのは、数台の戦車。
  見ただけでまるで威圧している様な迫力がある。
アウレア・サムダック「この様にして、街の防衛にもこう言った自動操縦式の戦車等を導入し、有人では守りきれない事を減らすことが出来ます!!」
  このロックウェールと言う街。
  最早、街と言うよりは一つの国家の様な場所であった。
  進みに進んだ高い技術力により、経済力や軍事力共に、その力は一国家と肩を並べる程だった。
アウレア・サムダック「これからも希望の街、ロックウェールをよろしくお願いします!!」
  彼女の一声に、周囲彼女の話を聞いていた観衆達は歓声の声を上げる。
  彼女の話は大衆達には好評の様であった。
アウレア・サムダック(良かった、上手くいった!!)
  アウレアは、観衆達に手を振りながらその場を後にしようとした。
アウレア・サムダック「うぁ!?な、何!?」
  刹那、アウレアの近くを何かが超高速で駆け抜けた。
  次の瞬間、飛んできた何かはメラメラと燃え上がる炎へと姿を変貌させる。
アウレア・サムダック「や、ヤバ!」
アウレア・サムダック「思わず、アウレアは身を屈めてその場に蹲る」
謎の生命体「ウルガァァァァァァァ!!」
  炎が炎に宿り、盛んにそして業火の如く燃え盛っている。
アウレア・サムダック「ええ!?何これぇ?」
  自分でも身に覚えがない存在にアウレアは思わず腰を抜かしてしまい、地面にへたり込んでしまう。
警備員「アウレアさん、下がって下さい!」
  警備員の一人がアウレアの前に立ち、すぐさま拳銃を引き抜く。
  引き金に指をかけて、警備員は拳銃の引き金を引こうとする。
謎の生命体「ウルアァァァ!!」
警備員「うぁぁぁぁ!」
  謎の生命体が腕を強く振るう。
  ただ腕を強く振るっただけだった。
  しかしそれだけで、炎は濁流の様にして荒れ狂い、剣の如く鋭くなり警備員の男を斬り裂いた。
アウレア・サムダック「ちょっと!!大丈夫!?」
  しかし男性から返事が返ってくる事はない。
アウレア・サムダック(そ、そんな・・・・・・!!)
謎の生命体「グルぅアゥ!」
  謎の生命体は、体から湧き上がる炎を身に纏いながら、アウレアに近寄って来る。
  まだ触れてもいないのに、炎の熱さが直に伝わって来るのが分かる。
  スーツ越しでも、鉄を溶かす程の熱さがあると理解出来た。
アウレア・サムダック「だ、誰か・・・助け・・・」
  助けの声を口から漏らした瞬間。

〇コックピット
シャドウ「よし、電力も復旧した!!」
アリス「レーダーも回復した。これで周囲環境も確認出来る!」
グレンディ・ロメルデュアル「ちょっと索敵してみるよ」
  艦が不時着してしまっていたので、暫くは機能が止まっていたが、無事に復旧した様であった。
  早速、周囲環境を観察する為にグレンは索敵レーダーを作動させる。
  サーチを終えた瞬間、グレンの表情が凶変する。
グレンディ・ロメルデュアル「サージェントの反応はないけど、敵性存在を確認!!」
シャドウ「な、何だって!?」
  敵性存在の確認に、シャドウは驚きの声を上げる。
リアン・ジュール「ちょっとそれってヤバくない!!」
  リアもシャドウと同じ様にして、驚きの声と表情を見せる。
グレンディ・ロメルデュアル「しかも、敵性存在の近くには普通の人間もいるみたい!! 取り敢えず、モニターに映すよ!!」
シャドウ「これは・・・!!」
  そこには、異形の姿の怪物が映っていた。
  体におびただしい程の炎を纏わせ、奇声とも捉えられる程の絶叫を上げる悪魔の様な異形の怪物が。
シャドウ「これは放っておけん!出動するぞ!」
  ガーディアンズの仕事は人々の平和と安全を守る事。
  その言葉を胸に秘めるシャドウはすぐに艦外に出て、救出に向かおうとする。
リアン・ジュール「待って!私とグレンは武器持ってないんだよ?」
グレンディ・ロメルデュアル「流石に丸腰で行くのは・・・」
  二人の言う通りだ。
  確かにリアとグレンは正規のガーディアンズの一員だ。
  しかし、戦闘を行う為の専用武器は持っていない。
  理由は簡単だ、落ちこぼれだったから。
シャドウ「ええぃ、それなら「ウェポンスキャニング」だ!」
「ウェポンスキャニングを確認! これより、リアン・ジュールとグレンディ・ロメルデュラルの武器をスキャンします」
  「ウェポンスキャニング」
  端的に言えば、周囲環境に存在している武器を自動検知し、本人に合わせて武器をカスタムしてくれる。
  武器を持たぬ者の為に使われるシステムだ。
  これを使用すれば、すぐに自分専用の武器が出来上がる。
「スキャン開始!」
「リアン・ジュール 「レールガン」」
リアン・ジュール「レールガン!結構ミリタリーね!」
「グレンディ・ロメルデュアル 「ボウガン」」
グレンディ・ロメルデュアル「私にぴったり!」
  ウェポンスキャニングにより、リアはレールガンを。
  グレンはボウガンを手に入れた。
シャドウ「よし、これで行けるな?」
グレンディ・ロメルデュアル「勿論よ!」
リアン・ジュール「皆を助けに行きましょう!」
アリス「俺らの事も忘れんじゃねぇぞ?」
武川蒼一郎「まぁ、付き合ってやりますよ・・・」
  アリスと蒼一郎も、シャドウの意見に賛同していた。
  それぞれ二人は己の武器である刀と槍を握る。
シャドウ「よし、チーム・シャドウ出撃!!」

〇塔のある都市外観
アウレア・サムダック「誰か・・・助け・・・」
  炎が自らの体に燃え移ろうとしていた時、何処かからか、斬撃が振り下ろされた。
アウレア・サムダック「え・・・!?」
  振り下ろされた斬撃により、アウレアの後一歩手前まで迫っていた謎の生命体は後ろに引き下がった。
謎の生命体「ギャウ!?」
  突然の出来事、アウレアは思わず口が開いてしまう。
  驚きの表情を浮かべたまま尻餅をつき、アウレアは周囲を確認する。
アウレア・サムダック「え、何!?」
  そこに現れたのは・・・。
  ピンチの場に颯爽として登場したのは五人の戦士達だった。
シャドウ「皆さん、もう大丈夫ですよ!」
  颯爽として、アウレアを守る為に現れたのはシャドウ達であった。
シャドウ「さぁ、かかってこい!」
謎の生命体「ウルゥガァァァァ!!」
  耳を引き裂く程の雄叫びを上げながら、謎の生命体は、敵を前にするシャドウの近くに走って突っ込んで来る。
シャドウ「このぉぉぉぉぉ!!」
  たとえ、灼熱の炎を纏っていようとも、シャドウは怯む事なく手に持った剣を振るう。
  戦闘用スーツ越しでも、灼熱の炎の熱さは伝わって来るが、シャドウは炎程度で怯む事はなかった。
アウレア・サムダック「あ、貴方達は一体・・・?」
アリス「心配すんな、助けに来たんだよ。 あんたも早くここを離れな」
  アリスは落ち着いた表情で、まだ焦りの表情を見せているアウレアに優しく語り掛ける。
アウレア・サムダック「ダメです!!まだ、息子が。 私の息子のザックがここにいるんです!!」
アリス「な、何だって!?」
  アリスが、アウレアの指差す先を見つめる。
ザック「あっち!!何だよこれ〜!?」
  謎の生命体が纏う炎がありとあらゆるものに燃え広がり、炎はどんどんと広がっていった。
  そして、その延々と広がろうとしている炎の中にアウレアの息子であるザックが取り残されていた。
ザック「誰か助けてくれ〜!!」
  一人の少年は、炎に怯えながら助けの声を上げる。
  しかし炎はメラメラと燃え盛り、少年の声は無情にもかき消されてしまう。
アリス「待ってろ、今助けてやる!!」
アリス「こんくらい!!」
  炎が燃え盛っていた所で、彼女にとっては些細な問題だ。
アリス「たぁぁ!!」
  アリスは勢い良くジャンプすると壁伝いに掴まり、這う勢いで走り出した。
アリス「よっと!!」
  壁伝いを駆け抜けたアリスは、一人炎の中に取り残されていたザックの元に駆け付けた。
ザック「え?誰・・・?」
アリス「やぁ少年。もう大丈夫だ!!」
アリス「さ、ここから出るぞ!!」
ザック「うぁ!?」
  アリスは左腕で、ザックの事を持ち上げるとそのまま彼を抱き上げる。
  アリスにだっこされたザックは、素直に彼女の服を掴む。
アリス「行くぞ!!手ぇ離すな!!」
ザック「う、うん!」
  ザックはアリスに抱きかかえられ、絶対に離さない様、強く彼女の体を掴む。
アリス「よぉし、脱出完了!」
  炎の壁を乗り越え、アリスはザックの救出に成功した。
  すぐにアリスはザックを抱きかかえたまま、アウレアの元へ直行する。
アウレア・サムダック「ザック!!」
ザック「お母さん!!」
  母子は再会を果たし、アウレアはすぐさまザックを抱き上げる。
アリス「ほら、早く行きな」
アウレア・サムダック「すいません、本当に本当にありがとうございます!!」
ザック「お姉ちゃん、ありがとう!!」
リアン・ジュール「よかった、助けられて」
アリス「ああ、本当に・・・」
シャドウ「二人共!お喋りする暇があるなら、援護を!!」
アリス「ああ、そうだったそうだった!!」
リアン・ジュール「後ろは任せて!!」

〇塔のある都市外観
謎の生命体「ウルガァァァァァァァア!!」
シャドウ「野郎!」
  シャドウは怯む事なく、近接戦闘を謎の生命体と繰り広げる。
リアン・ジュール「これで、仕留める!!」
  リアが新装備であるレールガンを発射する。
謎の生命体「グルぅぅぅ!?」
  レールガンの射撃を受けて、謎の生命体は僅かに怯んだ。
  まるで今までにない様な攻撃を受けたかの様な反応だ。
謎の生命体「アグルウァァァァァァァァ!!」
  だが、彼女の攻撃は謎の生命体のヘイトを集める事となってしまう。
  先程まで、シャドウと戦闘を行っていた謎の生命体だったが、リアからの攻撃を受けた瞬間。
  シャドウとの戦闘を放棄して、リアに目掛けて突っ込んで来たのだ。
リアン・ジュール「えぇ!?私なの!!」
  謎の生命体はリアに目掛けて、一直線に突っ込んで来る。
シャドウ「リア!逃げろ!!」
  武器がレールガンのみで近接戦闘用の装備を持っていないリア。
  リアはシャドウに促されて、焦りながら後ろにバックステップするしか出来なかった。
  刹那、空を切り裂く勢いで謎の生命体に向けて矢が発射された。
謎の生命体「ウァヴ!?」
シャドウ「い、今のは!?」
  それなりに離れた位置で、狙撃ポイントを既に確保していたグレンはスコープ付きのボウガンを構えていた。
グレンディ・ロメルデュアル「シャドウ、リア。狙撃は任せて!!」
  グレンは、通信機器を用いてシャドウに通信を送る。
リアン・ジュール「ナイス、お陰で助かったわ!!」
シャドウ「よし、一気に畳み掛ける!」
リアン・ジュール「任せて!!」
  シャドウは剣を両手で握り締めると、胴を切断する為に一人先行する。
シャドウ「まだだ!!」
謎の生命体「ウルヴィゥ!?」
  シャドウの放つ八連撃の斬撃が、謎の生命体の姿勢を僅かに崩した。
  勿論、この隙をシャドウは見逃す事はなかった。
  シャドウは止める事なく、更に斬撃を振るう。
シャドウ「今だ!リア、アリス!」
リアン・ジュール「いっけぇぇぇ!!」
アリス「はぁぁぁぁ!!」
謎の生命体「グギゥガァァァ・・・・・・」
  シャドウの剣を、リアのレールガンを、アリスの槍を身に浴びた謎の生命体は、攻撃を受けたと同時に地面に倒れる。
  炎が灯火を消す様にして、謎の生命体は纏っていた炎を消し、徐々に衰弱していく。
シャドウ「安らかに眠れよ・・・」
アリス「恨まないでくれよな・・・」
  死して、炎が燃え尽きた時。
  謎の生命体は灰へと帰り、落ちた灰はそのまま吹く風に飛ばされていった・・・。
民衆「スゲー!勝ちやがったぞ!」
民衆「ヒーローだ!マジもんのヒーローだろ!」
民衆「彼らはきっとこの街の「守護者」だ!」
武川蒼一郎「どうやら、勝ったみたいやな」
シャドウ「ああ、完勝だ」
リアン・ジュール「私達の大勝利だね!!」
グレンディ・ロメルデュアル「街の人達も救えたし・・・」
アリス「これは、完璧な勝ちだな!!」
  五人で睦まじく勝利を分かち合っていた。
  そして分かち合っていた所、安全を確認したのか、一人の人物が五人の元に近寄って来た。
アウレア・サムダック「すいません、大丈夫ですか?」
  安全を確認して、彼らの元に近付いて来たのは、先程シャドウ達が助けたアウレアだった。
シャドウ「はい、大丈夫です。後、周辺も安全を確認しています!」
アウレア・サムダック「よかったぁ〜」
  安全が確認された事で、アウレアは安堵の表情を浮かべた。
アウレア・サムダック「あの、一ついいですか?」
  一段落ついた所で、アウレアはシャドウに一声かけた。
アウレア・サムダック「街の皆さんに、貴方達の事を紹介してもよろしいでしょうか!?」
シャドウ「えぇ!?」

次のエピソード:Episode3.生成体を巡って

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