Episode1.新たなる戦い(脚本)
〇宇宙船の部屋
シャドウ「さて、また岩の除去作業なんだが...」
武川蒼一郎「おや隊長殿。どないしたんや?」
正義の戦士、聞こえは良いかもしれない
しかしその実態は理想とはかけ離れているものだ。
シャドウ「あれ、見てよ」
〇宇宙空間
グレンディ・ロメルデュアル「おーい、これで4つ目!」
リアン・ジュール「あら、もうそんなに?」
グレンディ・ロメルデュアル「これ使ってドカンだ!」
今やっているのは岩の除去。
補給路や武器の輸送の邪魔にならない様にする為の作業だ。
グレンディ・ロメルデュアル「これで!」
リアン・ジュール「ちょ!危ない!」
本来なら、正義の戦士達ともある者が岩の除去作業なんてやらないと思うだろう。
アリス「気を付けな、爆弾なんて使うもんじゃない!」
作業用大型カッターを装備するアリスが、咄嗟に二人を守る。
彼女の振るったカッターは落ちてきた岩を完璧に退ける事に成功した。
グレンディ・ロメルデュアル「あ、アリスさん。ごめんなさい・・・」
リアン・ジュール「アリスさん、ありがとう」
咄嗟の判断にリアはアリスに礼を言う。
アリス「別にいいさ、リア。 グレン、お前も気を付けろよ?」
グレンディ・ロメルデュアル「はい、努力します」
爆発、そして岩が有象無象に転がっていく。
仮にもこれで正義の戦士だ。
やっている事は全くそうとは言えないが。
リアン・ジュール「はぁ、早くお風呂に入りたい・・・」
アリス「本当だよ、こんな雑用みたいな仕事ばっか押し付けやがって!」
グレンディ・ロメルデュアル「シャドウ?こっちは終わったよ」
グレンは通信機器を取り出すと、リーダーであるシャドウに連絡を入れる。
シャドウ「そっちは終わったか」
グレンディ・ロメルデュアル「ええ、何とかね」
リアン・ジュール「大変だったのよ?」
軽く雑談を挟み、シャドウは周囲を確認
する。
シャドウ「よし、あらかた片付いたな」
リアン・ジュール「もう船に戻っていいかしら?」
シャドウ「ああ、構わな・・・・・・」
シャドウ「な、何だこの光は!?」
アリス「おい、これヤバいヤツじゃねぇのか!?」
武川蒼一郎「いかんさかい!皆離れるんや!!」
突然光る謎の閃光。
まるで目を焼き切る程の眩しく眩い光だった。
アリス「な、何だこれ!?」
武川蒼一郎「シャドウ、これは・・・?」
シャドウ「な、何だこれ?」
シャドウ「まさか『生成体』・・・?」
謎の閃光が光ると同時に、五人の前には宝石の様な大きく光り輝く石があった。
五人はその石を囲む様にして見つめる。
リアン・ジュール「生成体って・・・」
武川蒼一郎「無尽蔵に、半永久的にエネルギーを生み出し続ける謎のアイテム・・・」
シャドウ「昔の戦争でも『コイツ』を巡って戦争が起こった・・・」
アリス「な、何でそんなもんがここに!?」
リアン・ジュール「分からないよ、生成体は解析されてない事が多いんだから!!」
シャドウ「だが、コイツを奴らに悪用されれば、また戦争が起こる事になる!!」
シャドウは、躊躇いなく生成体を掴んだ。
グレンディ・ロメルデュアル「ま、まさか持って帰る気?」
シャドウ「そうするしかないだろ、放置って訳にもいかない・・・」
武川蒼一郎「ほな、さっさと運びますか」
〇黒背景
暗闇に包まれる大きな部屋の中。
S「反応を検知、これは。生成体かと・・・」
Berserker「それって本当か?」
無機質な声で答える女性を前に、もう一人の女性はやや高圧的な声で答える。
S「照合した所、データに間違いは存在しません」
Berserker「はぁ、またそれかよ。てめぇはやっぱり信用出来ないな」
二人の女は口悪げに会話を行っていた。
S「勝手に信用出来ないとか言いやがって! 随分と好き勝手に!」
Berserker「なっ!改造兵の分際で!」
思わず、飛び付こうとするが。
Attacker「はいはい二人共、そこまで」
Caster「何してるの、狂戦士。身内同士で争うなって前も言ったでしょ?」
闇の波がBerserkerを強く襲う。
Berserkerは思わず、後ろに下がった。
S「Caster様、戻られましたか?」
Berserker「聞いてくれよ!コイツが!」
S「いいえ、原因は貴方です」
Caster「はいはい、いい加減にしろ」
諌める様にして、Casterは二人を静止させる。
S「ご命令なら・・・」
Berserker「今回は下がるわ」
そう言って、互いに二人は口で言い合う事も武器を向け合って争う様な事もしなかった。
Master Mind「おや、もう皆集まってるのか?」
そこに現れたのは・・・。
〇宇宙船の部屋
Master Mind「聞いたよ、まさか生成体の反応があったとは・・・」
S「見解では間違いなく、かと」
Caster「どうする?奪っちゃう?」
Attacker「いや、様子見てからの方が・・・」
Berserker「全部ぶっ壊せばいいんだよ!」
堅実に様子を見ようとしているAttackerとは対照的に、Berserkerは愛用している武器を取り出す。
愛用しているマシンガンに切れ味鋭いナイフだ。
Master Mind「あはは、元気だね」
Caster「本当に、アンタは・・・」
Master Mind「それじゃ、行きますか」
〇宇宙船の部屋
シャドウ「と、言う訳で・・・」
リアン・ジュール「運んで来たはいいけど・・・」
アリス「どうしたものかねぇ・・・」
結局成り行きで、シャドウ達は偶然岩の中から発見した生成体を自分達の船の
中に持って帰って来てしまった。
シャドウ「取り敢えず、本部に連絡を入れよう」
リアン・ジュール「そうね、そっちの方が良いよね」
シャドウは通信用モニターを使用し、ガーディアンズ本部に連絡を入れようとする。
シャドウ「本部!こちらチーム・シャドウ 応答を!」
突然、艦内に大きな警報音が鳴り響く。──
アリス「け、警報!?」
グレンディ・ロメルデュアル「ちょ、皆、外!外!」
グレンの呼びかけに全員はガラス越しに船の外を一斉に見つめる。
アリス「な、襲撃!?」
シャドウ「まずい、サージェントか!!」
アリス「しかも、めちゃくちゃデカい船でお出迎えだ!!」
外には一隻の軍艦の様な要塞が停滞していた。
黒く塗られ、まるで自分達の命を奪おうと語り掛けてきている様だ。
リアン・ジュール「何でよ!?まだ一話なのに!」
武川蒼一郎「言うとる場合ちゃうで!きっと奴さんの目的は生成体や!!」
狼狽えているリア達とは異なり、蒼一郎は冷静に状況を把握し、シャドウはすぐに指示を出した。
シャドウ「リアとグレンは生成体を防衛システムを使って守れ!」
グレンディ・ロメルデュアル「シャドウは!?」
シャドウ「ここで奴らを迎撃する!蒼一郎、アリス頼める?」
アリス「言われなくとやってやるよ!!」
武川蒼一郎「背中は任せんさい」
リアとグレンは生成体を防衛する為に艦内の違う場所に移動し、三人はこの場所でサージェントの迎撃を開始する。
シャドウ「来るなら来い!!」
〇宇宙戦艦の甲板
Master Mind「意外と侵入は楽だったな・・・」
余裕げのある言葉を見せながら、Master Mindはシャドウ達の艦の内部に侵入していた。
Master Mind「取り敢えず、生成体を探すとするか・・・」
アリス「まさか、手に入れられるとでも?」
怖気付く様な事もなく、アリスは先行してMaster Mindの前に立ち、道を塞ぐ様にして立ち尽くす。
Master Mind「雑兵、誰の許可で我の前に立っている?」
アリス「知らねぇよ!!生成体は渡さん!」
アリスは躊躇う事なく、自分が得物としている槍を取り出し、その刃の矛先をMaster Mindに向ける。
Master Mind「刃を向けるなら、それ相応の覚悟は出来ているのだな?」
Master Mindも同様に自分が得物としている長剣を取り出す。
アリス「死しても果てないぜ、オレは・・・!!」
アリスは両手で槍を握る締めると、そのままMaster Mindに向かって一人突っ込んだ。
アリス「うぉぉぉ!!」
しかし一瞬の不意を突かれ、アリスは僅かに吹き飛ばされた。
アリス「ぐくぅっぅ!!」
Master Mind「腕前はそれなり、と言った所か・・・」
武川蒼一郎「下がりんさい!!」
アリスが戦っているのを見て、蒼一郎とシャドウが同じ様に交戦する。
蒼一郎も普段はあまり抜刀しない刀を抜刀し、Master Mindに斬りかかる。
シャドウ「仲間はやらせない!!」
シャドウも、自分の愛用している剣を取り出すとMaster Mindに向かって躊躇う事なく突っ込んだ。
Master Mind「雑兵共、素直に渡せば楽に殺していたと言うのに・・・」
シャドウ「悪いが、悪用されるなんて真っ平だ!」
Master Mind「ふっ・・・」
真剣になってMaster Mindを見つめるシャドウ達とは異なり、Master Mindは不敵に笑みを見せる。
シャドウ(ま、まだ余裕があるのか・・・?)
シャドウ達は警戒し、絶えず武器の矛先をMaster Mindに向ける。
Master Mind「初めてにしては上々だ。では、また会おう・・・」
シャドウ「な、消えた!?」
武川蒼一郎「気味悪い奴やなぁ・・・」
「緊急!!所属不明艦からの攻撃を確認!!」
シャドウ「え!マジかよ!?」
叫ぶ様にして鳴り響く音声システムが、艦内に残るシャドウ達の耳に入る。
武川蒼一郎「いかんな、早く操縦室に!!」
〇コックピット
リアン・ジュール「ヤバ、損傷率が上がってきてる!!」
「損傷率上昇!! 損傷率16%!!」
艦内に、まるで急かす様にしてアナウンスが鳴り響き、リアは思わず狼狽する。
グレンディ・ロメルデュアル「生成体を守りながら、船まで守らないとだなんて・・・キツイね」
生成体の防衛、そして艦の防衛まで行うのは骨が折れそうであった。
リアン・ジュール「もぅ!やられっぱなしなんて嫌よ!こっちも攻撃してやる!」
リアも負けじと、ボタンやらレバーを押したり引いたりして、この艦に搭載されている砲門を展開する。
リアン・ジュール「当たりなさいよ!」
グレンディ・ロメルデュアル「ちょっと、当たってない。逆に当てられてる!!」
シャドウ「マズイな、このままだと艦ごと皆お陀仏だ!」
リアン・ジュール「どうする、シャドウ?」
グレンディ・ロメルデュアル「このまま攻撃続ける?」
シャドウは一度歯噛みすると、突然艦を操作する為の操縦席に座り込んだ。
本来なら、この艦は自動操縦である為、有人で操縦する必要性は存在しないのだが。
シャドウ「操縦をオートからマニュアルに切り替える!行けるとこまで行って、ワープ機能を使って逃げるぞ!」
そう叫ぶと、シャドウは操縦席に座ると同時に操縦桿を強く両手で握り締めた。
シャドウ「アリス!ワープシステムをONに!!」
アリス「任せろ!! 起動まで、後十秒!!」
シャドウ「全員何かに掴まってろ! 絶対に離れるな!」
アナウンス「起動まで、3・・・2・・・1・・・0」
「The Heros」は、ファンタジーの世界観を舞台にした、正義の戦士と悪の組織の戦いを描いた作品です。物語の展開がスリリングで、非常に面白いと感じました。また、登場人物たちの個性や、友情、仲間意識が描かれていて、感情移入しやすく、非常に心温まる物語でした。作品のセリフや描写も、非常に細かく、丁寧に描かれており、シーンの臨場感が非常に高かったです。全体的に、非常に魅力的で、一度読み始めると、止まらなくなる作品だと感じました。
世界観とキャラクターに力を入れられていて読み応え抜群でした🌟
これは名作な予感...続きが楽しみです☺️
ガーディアンズもサージェントも、メンバーそれぞれのビジュアルとキャラクターがバラエティに富んでいて粒揃いで読み応えがありました。敵側の英語名が、maste rmind「首謀者、黒幕」berserker「猛戦士」attacker「攻撃者」caster「魔術師」など、それぞれの役割を想起させる単語なのもユニークですね。私のイチオシはやっぱり日本刀を装備する蒼一郎かなあ。