魔法少女 あおはる×あいろにぃ!

筒ヶ奈久

#2 初対面ですョ!(脚本)

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筒ヶ奈久

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〇渋谷駅前
  ──ここは、某市(それがし)という街。
  人口がそこそこある、いわゆる地方都市である。
  中心街にある、少しでも都会感を出したがったが為に設置されたと思われるテレビモニタから、アナウンサーの声がする。
  『──次のニュースです』
  「今日未明、宇宙から飛来したと思われる極小の隕石らしき物体が落下したとの発表がありました」
  「国際科学機構による分析では、大気圏に突入した際に細かく破片が分散し、そのまま落下した、との結果が出ており──」

〇山の中
杜 みさお「──よーっし!探すぞ隕石ぃ!ゲットだ名声ぃ! 未確認物体捜索名誉隊長のみさお様のお通りだぁー!」
  某市の山中を喧しく・・・否、元気はつらつと歩く少女。
  彼女が、杜みさおである。
杜 みさお「昨日の夜の落下物・・・ぜーったいこの山ん中に落ちたと思うんだよね〜! ロマン、ロマン、宇宙の浪漫ー!」
杜 みさお「──あれ、これってまさか・・・!」
  みさおは、地面に大きな穴を見つけた。
  もしや・・・!
  彼女は直感のまま、穴を掘り進める事にした。
  取り出したるは・・・
杜 みさお「我が相棒!スクーパー4世!! お前の力を見せてみろ! おりゃおりゃおりゃー!!」
  ホームセンターで買ってきたばかりのシャベルを使って、猛烈な勢いで地面を掘っていく。
  すると・・・
ハンティン「ぅううう・・・ッ! い、痛え・・・!首が、ぁあぁっ・・・!」
杜 みさお「す、スズメ・・・? 何かちっこいリュック背負ってるし。 ってかコイツ、喋ってる・・・?」
ハンティン「コイツってなんだよ初対面の癖に・・・ あイタタぁ・・・!もう・・・! カンペキむち打ちだわこれ・・・!」
  穴から出てきたのは、ハンティンである。
  彼は人間界へやってきたのはいいものの、大気圏からの落下のショックで埋没。
  おまけにむち打ち状態という、かなりひどいコンディションであった。
杜 みさお「──ひどいケガだなぁ・・・! よしっ、重役登校のついでにどっかの病院に預けてもらうとするか!」
ハンティン「おいおい待て待て・・・ なんかさっきから順応性やたらあるみたいだけどさ、普通驚くだろ、もっと!」
杜 みさお「──へ?何が?」
ハンティン「人間界には"喋るスズメ"いないだろ、フツー! そこら辺さ、驚かないのか!? 「鳥が喋ったぁ!」・・・みたいな感じでさぁ!」
杜 みさお「いや別に? ──って、痛くないのか?そんな喋ってて。喋るのにも首の筋肉使うだろ?」
ハンティン「いやそんな使わねえって・・・大体俺はスズメじゃなくてだなあ・・・ ──アレ!?」
ハンティン「い、痛く・・・ない・・・!?」
杜 みさお「ん?どした?」
ハンティン「なんか・・・痛くなくなったんですけども」
杜 みさお「おう、良かったな。 これで心置きなく──ヘドバンできるぞ!」
ハンティン「いや逆戻りさせようとすんな! お前、絶対人生で1度も首痛めた事ないだろ!」
ハンティン(何故、痛みが引いたんだ・・・!? そうか、もしやこの人間には、魔法少女の素質があるのでは?)
ハンティン(自覚なしに魔法を使える、天賦の才タイプかもしれないな・・・ それで今、俺の負傷が癒やされた・・・)
ハンティン(仕事は正直やめたいが・・・! 生活のためだ・・・、仕方あるまいて!)
ハンティン「お前に頼みがある! ──魔法少女に、なってはくれないか?」
  すると、その言葉を聞いたみさおの顔から、笑顔が、さっと失われた。
杜 みさお「やっぱり、か・・・」
ハンティン「えっ!?」
杜 みさお「──あいにくだけどさ、魔法少女は間に合ってんだ。 こんな勧誘はやめにしてさ、もっと自由に生きた方がいいぜ」
ハンティン(魔法少女が・・・間に合ってる・・・? どういうことなんだ・・・?)
杜 みさお「観光目的だったら、怪我に気をつけろよ。 じゃあな」
ハンティン「ちょっと待っ・・・うわぁっ!」
  そう言い残すと、みさおは一陣の風とともに姿を消した。
  残されたのは、不可解な言葉に疑問を抱く、ハンティンだけであった──
ハンティン(気になる・・・!あいつ、一体なんなんだ・・・?)
ハンティン(とはいえ、せっかく見つけた魔法少女の原石だ・・・! 逃してたまるか!)

〇学校の校舎
  その頃、みさおが登校をサボっている、
  某市立樫織(かしおり)中学校では・・・
ミス☆コウテイ「ダァーッハッハッハッハ!! この学校の天下は、私のモノだあーっ!!」
ミス☆コウテイ「逆らう者は全て、使用済み雑巾の糸くずにしてくれるわァー!!」
  彼女の名は、ミス☆コウテイ。
  傲慢を司る魔法少女である。
  彼女はその魔法の力で、自分に楯突く者はみな、強制的に変身させてしまう事ができるのだ・・・!
  おお、恐ろしや・・・
ミス☆コウテイ「ヘイカミング! 校長!副校長!」
校長「はい〜っ!今馳せ参じましたぁ!!」
副校長「ひ、酷いですぅ! 今、校長とのディナープランがようやく固まったところだったのにい〜!!」
ミス☆コウテイ「貴様らに命ずる!! すぐに全校集会を開き、私こそがこの学校の真なる主だと宣言せよ! 即刻集合させよ!ハリー!今すぐ!」
校長「分かりましたァ!魔法少女様の言うとおりに致しますぅ!」
副校長「ああ・・・っ、さよなら、高級フレンチ・・・! 仔牛のサルティンボッカ・・・!! ・・・うぅぅぅ〜ッッ!!!」
ミス☆コウテイ「だーっはっはっはっは!!! これで私は自由になれるゥゥ! 永劫の書類の山ライフとは・・・永遠におさらばしてやるのだ!!」
  ──魔法少女。
  それは人間を遥かに越えた力を持つ者。
  だが多くの場合、その力を制御できず暴走する。
  そう、彼女のように。

〇体育館の中
ミス☆コウテイ「──集まったか!迷える幼子たちよ! 私は皇の力を持つ魔法少女!ミス☆コウテイなり! その名を各員、よぉーく心に刻め!」
月輪ひつみ「な、なんだべ・・・あの人・・・ しかも魔法少女って・・・」
鍵本はばき「──魔法少女って言ってたよなぁ・・・ 案外タイプかも❤︎」
美馬こづえ「嫌な感じね、いちいち鼻につく」
  体育館に集められた生徒たちがざわめく中、彼女は懐からあるものを取り出した。
ミス☆コウテイ「皆、これを見よ! これこそが私に楯突いた愚者ども・・・ この学校の教師たちの成れの果てだ!!」
月輪ひつみ「先生たちが、ハガキ・・・だって・・・? ・・・え、なしてハガキ・・・?」
ミス☆コウテイ「そう・・・・・・ハガキ! それは糸くずになるよりも屈辱的な罰! これより彼らは皆、全国各地に配達される!」
ミス☆コウテイ「ハガキの住所は適当に書いたものだ! だがその宛先はみな違う! そう、彼らは生きながら、全国へ離散することになるのだ!」
ミス☆コウテイ「これぞまさしく── 令和の島流しッッ!!!」
ミス☆コウテイ「今よりこの私に逆らわぬ者だけが! この学舎で生きてゆく事を許そうッ! 私は唯一にして絶対の皇! 頂に立つ者なのだからな!」
  魔法少女を名乗る者からの支配宣言。
  しかし、その言葉を受け入れる者は・・・
  当然、存在するはずもなく。
  「何言ってんだよこのキンパ女!出てけ!」
  「魔法少女とか頭おかしいんじゃないですかー!」
  「引っ込めよ、つまんねえんだよお前!」
  「そんなパフォーマンスしなくていいから!」
  非難轟々。そして罵詈雑言が飛ぶ。
  体育館内は騒乱の真っ只中になった。
ミス☆コウテイ「──フン、この様子を見る限り・・・よほど私に裁きを受けたいと見える・・・! よろしい、なれば一思いに・・・!」
  ミス☆コウテイの右手が高く掲げられ、エネルギーが集中していく。
  その矛先は、他ならぬ生徒たちだ。
ミス☆コウテイ「皆の人生は、ここで終わりだ・・・!」
  ──すると、その時。
  体育館に猛スピードで飛び込む者がいた。
  そして──
  「ウォォォォォォォッ!!!食らえっ、重役登校100文キーックッ!!!!」
ミス☆コウテイ「ぐぅっ──!!」
  不意打ちとも呼べる攻撃にたじろぐ、ミス☆コウテイ。
  その姿勢は崩れ、ばたりと倒れ伏した。
  キックの主は、床に着地した。
  その姿は・・・!
杜 みさお「我こそは市立樫織中学校・名誉パーリー委員長!! 杜 みさお! 学園の異常事態に・・・只今参上ッ!!」

次のエピソード:#3 初変身です。

コメント

  • センスのあるツッコミに思わず笑ってしまいました😆みさおちゃんのキャラが個人的にお気に入りです🌟
    続きも読ませていただきます🙌

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