〇荒廃した市街地
ジュノ・アリアス「ほらほら」
ジュノ・アリアス「魔法もこんなものかい？」
シャルティア・グレーシア「やっぱ、騎士は強い」
ジュノ・アリアス「見習いにしては頑張ってる方だよ」
岩本「おっと、僕のこと忘れてもらったら困るな」
ジュノ・アリアス「素手で私にどうやって挑むつもりだい？」
岩本「戦う？」
岩本「僕は盾になるんだ！」
シャルティア・グレーシア「イワモトくん」
岩本「僕、この戦いが終わったら 同人誌をこの世界に広めるんだ」
シャルティア・グレーシア「よく分からないけど そのセリフ吐いちゃいけない気がする！」
ジュノ・アリアス「邪魔者は消えろ！」
シャルティア・グレーシア「イワモト──」
岩本「残念だったね」
岩本「ジュナさん あんたが斬ったのはこの同人誌さ」
ジュノ・アリアス「そんな薄っぺらい本で どうやって塞いだ!?」
岩本「まだまだあるぜ 書き損じの原稿ページがね」
岩本「アナログがここで 活かせるとは思わなかった」
シャルティア・グレーシア「イワモトくん」
岩本「さあ、かかってきな！」
岩本「まだまだ同人誌ならあるぜ！」
ジュノ・アリアス「こいつら狂ってやがる」

〇美しい草原
村田「ユーリさん！」
ユーリ・エルファール「村田！」
ユーリ・エルファール「どうした！」
村田「大変です！ シャルさんの元へ急いでください！」
ユーリ・エルファール「何が起きた!?」
村田「ジュノさんが裏切りました！」
ユーリ・エルファール「まさか!?」

〇荒廃した市街地
ジュノ・アリアス「次は君が相手かい？」
石井「ふふふ」
石井「同人誌を使い切った岩本さん ゆっくり休んでてください」
シャルティア・グレーシア「イシーくん、何か秘策が!?」
石井「ありません！」
石井「しかし、恩人のフィアンセが ピンチに陥ってるのに 見逃すことはできません！」
石井「この世界に来た時は 僕だって主人公になりたかった！」
石井「でも、今は脇役だっていい！」
石井「女の子の１人も救えずに 主人公になれるわけがない！」
ジュノ・アリアス「話は終わりかい？」
ジュノ・アリアス「じゃあ、消えてくれ！」
ジュノ・アリアス「な、なんだ!?この光は!?」
石井「山田さん、今です！」
石井「この暗闇でもあなたの場所は 大体わかった！」
ジュノ・アリアス「投石だと!?」
ジュノ・アリアス「卑怯だぞ！」
石井「卑怯だろうと これが我々の戦い方だ！」
石井「そんな姑息な生き方をする それが我々オタクだ！」
ジュノ・アリアス「思考が全く理解できない！」
石井「それにあなただけには 卑怯とは言われたくない！」
シャルティア・グレーシア「みんな」
石井「ふふふふ」
石井「それにしても最後の最後で 電池が復活して良かった」
石井「あと、山田さん、友達がいなくて いつも壁相手にキャッチボールしてたのが 活かせましたね！」
シャルティア・グレーシア「ヤマダくんの意外な特技」

〇野球のグラウンド
教師「今日はキャッチボールをするぞ！」
教師「２人一組になれ！」
教師「どうした、山田」
山田「あ、えっと」
教師「組む相手がいないのか」
教師「じゃあ先生と」
生徒「先生、相手がいません」
教師「よし、じゃあ、先生が相手にしてやる」
生徒「ありがとうございます」
教師「山田は壁を相手に キャッチボールしといてくれ」
山田「あ、はい」
山田「あ、あれ？」

〇荒廃した市街地
シャルティア・グレーシア「何、いまの？ 見てるのが辛かったんだけど」
ジュノ・アリアス「こんなときに回想入れんじゃねえ！」
ジュノ・アリアス「それからマジで悲しいやつはやめろ！」
石井「あなたのような謀反を起こすような陽キャラには分からないでしょうね」
石井「クラスに溶け込めない人間の気持ちなんか」
シャルティア・グレーシア「でも、こっちのペースに巻き込めてる」
石井「精神攻撃 我々に出来る特技です」
ジュノ・アリアス「ハハハハ」
ジュノ・アリアス「でも、残念だな、終わりだ」
石井「何だと!?」
シャルティア・グレーシア「えっ!?」
石井「山田さんの悲しい過去も効かないのか!?」

〇荒廃した街
シャルティア・グレーシア「まさか背後を取られるなんて」
ジュノ・アリアス「惜しかったね」
ジュノ・アリアス「一応、根回ししといて良かったよ」
シャルティア・グレーシア「兵士を買収していたなんて」
ジュノ・アリアス「この計画していた時からね」
ジュノ・アリアス「私の考えに賛同してくれた兵士たちさ」
ジュノ・アリアス「他の難民たちは 別の兵士たちによって 一箇所に集めている」
ジュノ・アリアス「私の言うことを聞かないと どうなるか分かるね」
シャルティア・グレーシア「分かったわ」
シャルティア・グレーシア「その代わり、みんなには 一切手を出さないと約束して」
ジュノ・アリアス「それは出来ないな」
ジュノ・アリアス「異世界の人間とはいえ 証人は消す」
ジュノ・アリアス「この混乱に乗じて ユーリと共に反乱起こした罪人としてね」
シャルティア・グレーシア「どこまで卑劣な！」
シャルティア・グレーシア「例え、私を手に入れたとしても 国までは手に入らないぞ！」
ジュノ・アリアス「そのときは、シャルの記憶でも 書き換えることにするよ」
ジュノ・アリアス「ユーリの記憶も全て消す」
ジュノ・アリアス「そうすれば、万事解決だ」
ジュノ・アリアス「なんだ!?」
兵士「何かものが投げられてます！」
ジュノ・アリアス「くそ！目に何かがささったぞ！」
ジュノ・アリアス「なんだこれは!?」
ユーリ・エルファール「待たせたな！」
シャルティア・グレーシア「ユーリ！」
ジュノ・アリアス「ユーリ、帰ってくるのが 異常に早かったな！」
ユーリ・エルファール「俺もよく分からんが お前が難民を舐めた証拠だ！」
ユーリ・エルファール「異常に士気が高くなって 魔物一掃されてたからな！」
ジュノ・アリアス「どこまでも、予想の斜め上をいく連中だ！」
ジュノ・アリアス「しかし、難民たちは兵士によって 拘束されている！」
ユーリ・エルファール「それなら大丈夫だ」

〇屋敷の牢屋
村長「まさか、こんなところで再会するなんて 思いませんでしたが事情は聞きました」
村長「兵士たちは我々が制圧しました」
村長「存分に暴れましょう！」
山田「村長、ありがとうございます！」
石井「ありがとうございます！」
山田「ていうか、兵士制圧しちゃう ラーヒユ村の人たちって何者？」

〇荒廃した街
ユーリ・エルファール「まさか、お前が ここまで下衆とは思わなかったぞ！」
ジュノ・アリアス「貴様に俺の気持ちがわかるか！」
ユーリ・エルファール「だったらお前に 俺の気持ちが分かるのか!?」
ユーリ・エルファール「分かるまい！」
ユーリ・エルファール「最初から才能に溢れ 何事も順風満帆に満ちた貴様には！」
ジュノ・アリアス「泥臭く地道に下から這い上がり 魔法すらろくに使えないくせに 成り上がったお前に負けん！」
ユーリ・エルファール「どうした、ジュノ？」
ユーリ・エルファール「この村の住人相手に 体力を消耗したか？」
ユーリ・エルファール「あいつらを相手にするのは 生半可な精神じゃもたないぞ？」
ジュノ・アリアス「確かに、ペースは 取られっぱなしだったがな」
ジュノ・アリアス「あのような雑魚どもに 私が抜かるはずはない！」
ユーリ・エルファール「それにしては、俺の攻撃を 流すのに必死のようだが？」
ユーリ・エルファール「どうやら体力も削られてると見た」
ユーリ・エルファール「あいつらを舐めた時点で お前から勝機は消えていた！」
ジュノ・アリアス「たわけたことを！」
ユーリ・エルファール「さあ、決着をつけよう」
ユーリ・エルファール「それが貴様に無く 俺にあるものの証明だ！」
ユーリ・エルファール「どうやら、決まったようだな」
ジュノ・アリアス「殺さないのか？」
ユーリ・エルファール「お前にはまだ聞きたいことが 山ほどあるからな」
ユーリ・エルファール「お前を王族への反逆行為で拘束する」

〇荒廃した市街地
北川「ユーリさん、大丈夫ですかね」
いのうえ「ジュノは強いですからね」
シャルティア・グレーシア「大丈夫！ユーリは強いから！」
北川「すみません 聞きたいことあるんですけど」
シャルティア・グレーシア「何？」
いのうえ「もしかして、ユーリさんって 魔法使えないんですか？」
シャルティア・グレーシア「使えるよ」
シャルティア・グレーシア「使えるようになったが正しいかな」
北川「そうだったんですか？」
シャルティア・グレーシア「騎士になる絶対条件は 魔法が使えること」
シャルティア・グレーシア「この世界の人間が生まれつき 魔法を使えるわけじゃないけど」
シャルティア・グレーシア「努力すれば魔法を使えるようになる」
北川「じゃあ、ユーリさんは 努力して騎士になったんですね」
いのうえ「だから、俺たちに『努力』とか 色々言ってたのか」
北川「そりゃあ、怒るわけだ」
シャルティア・グレーシア「でも、ユーリは 最近のみんなの努力を認めてるよ」
北川「ユーリさん」
いのうえ「こんな俺たちを 最後まで見放さなかった人」
シャルティア・グレーシア「ほら、来たよ」
ユーリ・エルファール「やっぱ、騎士相手にするのは 疲れるけど父さんほどじゃないな」
シャルティア・グレーシア「おかえり」
いのうえ「おかえりなさい」
ユーリ・エルファール「何の話していたか分からないが」
ユーリ・エルファール「ただいま」