バッドショット!(脚本)
〇寂れた雑居ビル
「何なのよこの企画書!」
〇事務所
ゆりあ「そ、その劇団今結構人気がでてきて。内容も社会派っていうか・・・」
ゆりあ「で、エコ活動とか害獣問題にも興味を持ってくれてて・・・」
綾「君のお友達紹介されても困るんだけど」
ゆりあ「・・・す、すみません」
綾「助成金、使ってるのよ。芸能人でもない、下北の学生の発表会を誰が見に来るのよ」
ゆりあ「すみません・・・」
綾「ゆりあ、本気でこの町盛り上げる気ある?」
綾「遊びじゃないんだよ」
ゆりあ「・・・」
綾「泣くな!ここ幼稚園じゃないのよ!」
綾「おかあさんの顔でも浮かんだか!」
梶「もう勘弁してやれよ。熱血先生」
梶「ゆりあなりに一生懸命やってんだからさ」
綾「すぐ庇う」
綾「だから舐められるの。女は」
綾「どいて!」
綾「コーヒー飲んで来る!」
綾「ふんっ!」
梶「怒っときながら、気を使って席を外す」
梶「ああいうヤツなんだよ。綾は」
ゆりあ「・・・」
〇小汚い廊下
綾「・・・」
梶「水じゃん」
綾「ステイン着くから」
梶「お、女子力強化月間か?」
梶「誰の影響?」
綾「別に・・・」
梶「で、さんざんキレ散らかしたお前の企画はどうなんだよ。進展してんのか?」
梶「ジビエの姫とのコラボ・・・」
綾「とりあえず来年。トークショーとか」
梶「何だそれ。ありきたりだな」
綾「お年寄りの町なんだから安パイは基本よ」
綾「わけの分からない演劇とか見せられたら、みんな帰っちゃうんだけど」
梶「それと広報誌」
梶「せめて狩りの取材くらいはしてくれよな。いつまでも対談ばっかじゃ・・・」
綾「仕方ないじゃん!遊んでばっかなんだからあの人!」
梶「羨ましいね。女は」
綾「何ソレ?」
梶「ははっ。いや、お金持ちは・・・」
綾「・・・」
綾「一緒にしないでよ。あんな人と・・・」
〇山並み
「ヤーーーーーッ!」
「ホーーーーーッ!ホーーーーーッ!」
〇山中の川
宍倉「・・・」
宍倉「すまんな、こりゃ売り物にならん」
鎌井「いや、ギリ大丈夫でしょ」
隈川「こういう時の綾ちゃんだ。交渉よろしく」
綾「腸を撃たれてますんで、少し臭いが」
綿貫「そんなこと言われんでもわかっとる」
綿貫「ソーセージ屋とか燻製屋とかにツテはないのかって聞いてんだ」
綾「すみません」
綿貫「全く、イザって時に使えん会社だな」
隈川「おい!」
綿貫「ああ、悪い。言い過ぎた」
綾「いえ、お役に立てなくて・・・」
綾「またいつもみたいに役場で処分してもらいましょう」
「いつもって・・・」
綾「ああ、いえ、そりゃ売れるに越したことはないですけど・・・」
綾「駆除して数を抑制することも大事じゃないですか!」
綾「むしろ、資本主義に囚われない立派な狩猟姿勢だと思います!」
「・・・」
綾「すみません。ちょっと意見を盛りました」
「いいよ。気を使わなくて」
宍倉「俺もそろそろ。タツマは引退だな」
鎌井「何言ってんです!トドメは宍倉さんの役割じゃないですか!」
鎌井「チームを〆るのは会長しかいませんって」
宍倉「・・・そうか」
綾「・・・」
〇山間の田舎道
「・・・」
〇車内
宍倉「悪いね。いつも運転手代わりに使って」
綾「いえいえ。運転好きなんで」
宍倉「綾ちゃんのおかげで、役場との関係も随分良くなったよ」
綾「よかったです」
宍倉「後は次のタツマだな。みんな俺に変な気を使って中々手を挙げん」
綾「変じゃないです。それだけ会長が信頼されてるんですから」
宍倉「勿論仕留めるだけならコイツらにも出来る」
宍倉「綾ちゃんにだってな」
綾「ははっ。無理ですって。今も毎回足がすくんで・・・」
宍倉「だが、ちゃんと討ち取ってやらんと」
綾「・・・」
宍倉「慈善家だかなんだか知らんが、あんな都会の連中に好き放題言われんように。きちんと仕留めてやらんとな」
宍倉「苦しめず。一撃で。そして有難く命を戴く」
宍倉「どれも年々、老人には難しくなっていく。だから若い世代に繋げていかんと」
綾「・・・だったら」
宍倉「・・・」
綾「いえ、何でもありません」
宍倉「・・・」
綾「・・・眩しいな。逆光」
Tobe・・・
リアルな大人の話で読み応えがあります!!
知らないこともいっぱいあって、取材なのか 経験なのか いずれにしろ素晴らしいですね 。創作に対する姿勢を見習いたいと思いました🙇