愛しさのカタチ

兎乃井メライ

DAY28: 壮行会(脚本)

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〇エレベーターの前
三澤梨々花「お待たせしました! すみません、肝心のたまごを買い忘れちゃって・・・」
落合はるか「何しに来たんだよ・・・まったく」
三澤梨々花「うっかりしちゃいました💦 でもこれでお買い物完了! 買い忘れなしです!」
落合はるか「じゃあとっとと帰るぞ」
三澤梨々花「はい! あ、荷物半分持ちます!」
落合はるか「ばーか、そのために俺が来たんだろが お前はたまごだけ大事に持っとけ」
三澤梨々花「は、はい ありがとうございます」
三澤梨々花「あ、先生!」
三澤梨々花(忘れないうちにあのこと言っておこう・・・)
落合はるか「ん?」
三澤梨々花「今週の土曜日なんですけど、夕方から出かけても大丈夫ですか?」
落合はるか「土曜?」
三澤梨々花「はい、里見くんと睦くんがダブルスで県大会で入賞したんです それで扇谷さんがお祝いしようって言ってくれて」
落合はるか「ああ、そういえば里見から連絡があったな 別にいいけど、場所と時間は?」
落合はるか「一応乃梨子さんからお前の保護者代理を頼まれてる身だからな うちにいる間はそういうのは事前連絡しろ」
三澤梨々花「ええと・・・ アドニスっていうダイニングカフェを扇谷さんが予約してくれて」
三澤梨々花「お店の最寄りの七台駅に18時に集合することになってます」
落合はるか「アドニス? それなら紅さんとこの系列店だ」
三澤梨々花「えっ、そうなんですか!? 紅さん他にもお店経営してるんですか?」
落合はるか「手広くやってんだよ、あの人は・・・ ふーん・・・まあ、あの店なら俺も知ってるし大丈夫か」
落合はるか「土曜は打ち合わせがあったな・・・ 送りは無理だが、帰りは迎えに行ってやるよ」
三澤梨々花「えっ・・・いいんですか? でも大変じゃ」
落合はるか「帰りは夜だろ? 一人で歩かせて、こないだみたいにヘンな男に声かけられたら危ねえだろーが」
三澤梨々花「でも、みんなもいるし 扇谷さんも・・・」
落合はるか「つべこべ言うな 終わったら電話しろよ、いいな」
三澤梨々花(め、目つきこわ! 怒ってる? でも心配されてる・・・!? どっち!?💦)
三澤梨々花「・・・先生、お父さんみたい」
落合はるか「・・・お前のオカンが移ったのかもな」
落合はるか「とにかく迎えにいくから覚えとけよ」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
三澤梨々花「男の人って・・・よくわかんない・・・」

〇テラス席
  ──土曜日

〇カフェのレジ
三澤梨々花「里見くん、睦くん ダブルス入賞おめでとう!」
吉沢美森「では、二人のインターハイ出場を祝って!」
  カンパーイ!!!
吉沢美森「はー♡ 勝利の味は格別よねー」
貴島里見「え、勝ったのオレたちなんだけど 美森、準決勝で負けたじゃん めっちゃ惜しいところで」
吉沢美森「おほほほほ、里見くん? 傷口に塩を塗るようなお言葉は控えて頂きたいわ、無神経の極みでしてよ!」
貴島里見「あはは、ごめんごめん また次があるじゃん、ドンマイ!!」
貴島里見「今回はオレたちが「全国の景色」ってやつを見せてやるからさ✨」
吉沢美森「わあ〜ムカつくーそのドヤ顔!!」
吉沢美森「そっちだって惜しいところで優勝できなかったじゃないの! 調子に乗ってんじゃないわよ!」
貴島里見「うぅっ💦 い、いいんだよ!とりあえず予選突破したんだから!!」
上杉睦「おい、こんなところで言い争うなよ💦 周りにも迷惑だろ」
三澤梨々花「そうだよ、二人とも! せっかくのお祝いなんだから・・・ すみません、扇谷さん💦」
扇谷「あははは、仲がいいね」
扇谷「今回は吉沢さんは残念だったけど、実力に差はなかったと思うよ」
扇谷「ブレークされたのは単に体力的な問題かな 試合が長引いたしね そこを強化していけば次は負けないよ」
扇谷「弱点はしっかりカバー出来ていたし この調子て頑張って欲しいな」
吉沢美森「は、はい! ありがとうございます! 次は頑張ります!」
吉沢美森「扇谷さん、素敵〜♡ めっちゃ励まし上手✨」
吉沢美森「それに引き換え・・・」
貴島里見「な、なんだよ💦 励ましたじゃん、ドンマイって!」
吉沢美森「わかってないのよ、女心がぁ! アンタところどころポンコツよねっ」
吉沢美森「扇谷さんを見習いなさいよ 紳士だし、やさしいし、スマートだし あ〜扇谷さんの彼女さんは幸せだろうな〜♡」
扇谷「そんなことないよ どちらかといえば不満ばかり漏らされてるかな、色々配慮が足りないみたいで」
吉沢美森「えぇっ! 彼女さん、理想高すぎません!? 扇谷さんが不満なら他の人たちはどうなっちゃうんですか!」
扇谷「そんなに褒めてもらって光栄だけど 僕はテニス以外は取り立てて得意なことはない平凡な人間だから」
扇谷「ファッションとか流行にも無頓着だし まじめでつまらないって、今までつきあった女の子からも言われたくらいだし」
貴島里見「平凡って、でも扇谷さんちってでっかい病院じゃなかったっけ?」
貴島里見「地味系かもだけど、服とか持ち物もハイブランドのだし、全体的に洗練されてるとゆーか センスあると思うけど」
吉沢美森「病院!? つまり御曹司ってこと!? すごーい!」
扇谷「うちは医者一家だけど、すごいのは家族だけだよ 母がプライド高い人だから身につけるものは気を遣って選んではいるけど」
扇谷「俺は三男で医学の道にも進まなかったから 一族では落ちこぼれ枠だし まあ、期待されないのは楽でいいけどね」
扇谷「彼女が俺を選んだのはメリットを見込んでなのかもしれないけど・・・ そこは期待はずれかな」
吉沢美森「そ、そんなことないと思いますけど💦 ねえ?」
三澤梨々花「う、うん!」
三澤梨々花(今の言葉・・・ 扇谷さん、キリエさんの本性に気づいてる・・・?)
貴島里見「こんなこと聞くのアレだけど・・・ 扇谷さん、あの人とつきあってるのってなんで?」
貴島里見「そりゃ美人だけどさぁ オレ、ちょっとギモンなんだよね・・・ 扇谷さんがつきあうタイプじゃないっていうか──」
吉沢美森「里見、扇谷さんの彼女さん知ってるの!? へえー、キレイな人なんだ!」
貴島里見「うん、見た目はめっちゃ美人」
貴島里見「でも、なんてゆーか・・・」
扇谷「ははは、いいよ「悪女」って言って 俺も時々、あの自由奔放さには振り回されてるからね」
扇谷「でもなんでかな 彼女は・・・特別に見えたんだよね」
吉沢美森「あ、悪女なんだ・・・」
吉沢美森「でも他の人にはない特別な何かを彼女だけに感じたってことですよね? 運命の人だ、みたいな!」
吉沢美森「いいなぁ〜そういうの! ロマンチック〜♡♡♡」
貴島里見「あはは、出たー美森の乙女思考! 似合わな──」
吉沢美森「おだまり ほんとそ〜ゆ〜とこよ、アンタ・・・」
扇谷「・・・・・・・・・運命、か」
三澤梨々花(・・・・・・?)
扇谷「とりあえず、俺の話はもうこのへんで 今日は里見と上杉くんの壮行会だし」
扇谷「なんでも好きなもの頼んでいいよ 今夜はおごるから」
上杉睦「いいんすか? あざっす!」
貴島里見「やりーぃ♪」
扇谷「その代わり、初戦は絶対落とすなよ 本番までハードな練習メニュー組むから、覚悟しとくように」
「う・・・頑張ります・・・💦」
吉沢美森「梨々花、パンケーキ食べよう! フルーツとクリーム盛り盛りのヤツ!」
三澤梨々花「えっ、そんなに食べられるかな!?💦」
「──あれ? 有間さん?」
女子高生「有間さんじゃない?」
三澤梨々花「・・・え?」
姉「どうしたの?」
女子高生「あ、うん 前に同じ小学校の同級生だった子がいて」
女子高生「久しぶりだね! あ、あたしのこと覚えてる? 何度か同じクラスだったんだけど!」
女子高生「突然転校しちゃったから、ずっと気になってたんだよ〜元気?? 実はあたしも何年か前にこの近くに引っ越してきて──」
三澤梨々花「あの・・・ごめんなさい たぶん、人違いだと思います」
女子高生「えっ! 有間さんじゃないの!? ウソ、絶対そうだと思ったのに!!」
姉「もう、あんたったら! 勝手にベラベラ話しかけて、人違いなんて超恥ずかしいんだけど」
姉「失礼な真似してごめんなさいね💦 ほら、ちゃんと謝って! もう帰るわよ」
女子高生「ご、ごめんなさ〜い💦 失礼しました!」
三澤梨々花「いえ・・・大丈夫です」
吉沢美森「何あれ・・・ 誰と間違えたのかしらね」
上杉睦「まあ、世の中には自分とそっくりな人間が3人いるっていうしな」
上杉睦「・・・・・・三澤?  どうしたんだ?」
三澤梨々花「え? ううん・・・ どっかで会ったかなぁって、考えてたけど やっぱり覚えがないや」
吉沢美森「そりゃそうでしょ! まず『有間』なんて名字じゃないし!」
カフェ店員「お待たせいたしましたー トロピカルフルーツパンケーキでーす」
吉沢美森「あっ、パンケーキきたよー♡ わ~すごいボリューム!おいしそ~! 食べよー梨々花!!」
三澤梨々花「うん!」

次のエピソード:DAY29: 胸の痛み

コメント

  • はるか先生いいですねぇ〜笑 見てるこっちが幸せです笑
    里見と美森の会話パートめっちゃ好きです!👍 やっぱり元気な美森は読んでて楽しいです!

  • はるか先生……何てワカリヤスイ愛情(?)表現。ニマニマせずにはいられませんね!
    やっぱり元気いっぱいの美森さんは魅力的ですね!会話も場の雰囲気も、彼女がリードする感じで、とっても華やぎます!

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