アテナ任務遂行中!

木佐マコ

第35話 みこ、ドーナツになる!②(脚本)

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〇街中の公園
カオス「ウマそうなドーナツがこんなにあるってのに、食えないなんてな」
  ドーナツを刺した物干しざおを抱え、カオスがため息をついた。
  すると突然、何者かが背後から物干しざおを取り上げた。
カオス「ンな!? 誰だ!?」
仙頭奈津男「・・・これじゃ。見つけたぞ」
カオス「堂奈津の屋台・・・オマエ、レジェンド仙頭か!?」
カオス「ドーナツ売ってくれよ! あっ、サインもついでに!」
仙頭奈津男「これこそ、ワシの求めていたドーナツ。 究極のドーナツじゃーー!」
カオス「ん?」
  仙頭が物干しざおからドーナツを一つ抜き取る。
  その拍子に、地面に沢山のドーナツが散らばった。
カオス「何すんだテメェ! いくらレジェンドでも許さねえぞ!」
仙頭奈津男「このドーナツの生命の輝き! この息遣い、瑞々しさ!! すべてが究極!」
カオス「・・・生命の輝き?」
仙頭奈津男「こんなところで出会えるとは、僥倖、僥倖!」
カオス「消えた!? どこ行った、レジェンド仙頭! ドーナツ返しやがれ!」
嘉成光「見つけたぞ、カオス!」
アテナ「一体、何があったのですか?」

〇雑多な部屋
アテナ「生命の輝きを放つ、究極のドーナツ・・・」
嘉成光「取られちゃったドーナツがみこちゃんだったら、大変だよ」
カオス「レジェンドが認めるドーナツだぞ!? みこに決まってる!」
アテナ「・・・・・・」
カオス「だから、こんなとこでグダグダしてる時間はねぇんだよ!」
アテナ「待ちなさいカオス! 貴方が動いても、ドーナツが増えるばかりです」
嘉成光「手がかりもないくせに、どうやって探すつもり?」
カオス「・・・クッ、テメェだって知らねーだろ」
嘉成光「ふっふっふ、俺を侮ってもらっちゃ困るよ。『神出鬼没の屋台のドーナツ屋さん』の場所なら、分かるかもしれない」
カオス「屋台って・・・それ、堂奈津亭か!」
嘉成光「今、女子高生の間で話題なんだよね。グループチャットで目撃情報を共有してるんだ」

〇住宅街
  堂奈津亭と書かれた屋台で、仙頭がドーナツを揚げる。
  そこへアテナと光がやってきた。
仙頭奈津男「いらっしゃい。美味しく揚がってるよ」
  屋台の中の小さな神棚には、ドーナツが供えられていた。
嘉成光「! みこちゃんのドーナツ、あった!」
仙頭奈津男「・・・お前さん達、客じゃないのか?」
アテナ「はい、そのドーナツを取り返しに来ました」
仙頭奈津男「・・・客じゃないなら、用はない」
  仙頭は瞬時に姿を消して、アテナたちの真後ろに再び現れた。
嘉成光「えっ!? 瞬間移動!?」
アテナ「これは・・・」
仙頭奈津男「もう店じまいじゃ。帰れ」
アテナ「待ってください! そのドーナツは、もともと人間だったのです!」
仙頭奈津男「・・・ほう?」
嘉成光「信じてもらえないかもしれないけど、高原みこっていう高校生なんだよ!」
仙頭奈津男「ふぁっふぁ! それでこのドーナツは瑞々しい生命の輝きを持っておるのか!」
アテナ「! わかっていただけましたか」
仙頭奈津男「どれ、味見を」
嘉成光「ちょちょちょ! サイコパス! 今の話聞いて、それ?!」
仙頭奈津男「止めるな。食わなきゃ味がわからん」
嘉成光「食うなって言ってるの!」
アテナ「御主人(マスター)が死んでしまいます!」
仙頭奈津男「・・・ドーナツ道を極めるために、乙女の犠牲はつきものじゃからな」
嘉成光「なんだよその道! 怖すぎる!」
仙頭奈津男「ようやくわかったか。道の達人の手は、たいてい血に染まっておるんじゃ」
アテナ「・・・わかりました」
嘉成光「アテナ?」
アテナ「私たちが、そのドーナツよりもすごい・・・究極を越えたドーナツを作ってみせます」
嘉成光「はあ!?」
アテナ「たとえ、この手が血に染まろうとも・・・」

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