ATM適齢期の向かう場所

山縣将棋

金の切れ目が縁のきれめ?(脚本)

ATM適齢期の向かう場所

山縣将棋

今すぐ読む

ATM適齢期の向かう場所
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇住宅街の公園
  家庭を持つ男性の主な役割は稼ぐ事です。そして、次に重要なのは家庭を手伝う事!ではありません・・・奥さんを笑顔にする事です
  その為に世の男達は一生懸命に働くのです。目的地に着くまで──ATMになろうとも・・・
阿部 憲二「何故こんなに息苦しいんだ・・・」
富岡 祐二「おはようございます阿部さん!」
阿部 憲二「富岡さん!」
森本 幸宏「あっ!やっぱり居ましたね!お二人さん」
富岡 祐二「森本さん!」
阿部 憲二「ジョギングですか?」
森本 幸宏「ええ、家でゴロゴロしてると妻の機嫌が・・・」
阿部 憲二「分かりますよ、その気持ち・・・」
富岡 祐二「無理にでも、外で時間を潰す休日・・・」
「・・・・・・・・・辛い」

〇シックなリビング
  阿部家の場合──
阿部 憲二「なぁ!次の休みは家族で水族館でもどうかな?」
阿部 文恵「遠慮しとくわ──」
阿部 憲二「み、美紅はどうだ?行かないか?」
阿部 美紅「私もパス」
阿部 文恵「それより美紅!近くに美味しいパスタのお店が出来たから食べに行かない?」
阿部 美紅「うん!行く〜!」
阿部 憲二「お、おい・・・」
  定退職をして1年。妻とは歳が7歳離れている。最近は家での存在感が薄くなっていく事が悩みである
阿部 憲二「それなら、お父さんも一緒に・・・」
「えっ?何で?」
阿部 憲二「くそー」
阿部 憲二「ごめん、ごめん、2人で行っておいで!」
阿部 文恵「ホント勘弁してよね・・・働いたら?」

〇住宅街の公園
阿部 憲二「と、こんな感じですよ──」
富岡 祐二「考え過ぎですよ!」
森本 幸宏「単に、恥ずかしいだけじゃないですか?」
阿部 憲二「それなら、いんですが・・・」
森本 幸宏「富岡さんの所はそんな事ないですよね!」
富岡 祐二「・・・・・・・・・──」
森本 幸宏「えっ?もしかして・・・」
阿部 憲二「まさか、私と似た様な感じですか?」
富岡 祐二「実は・・・」

〇綺麗なダイニング
  富岡家の場合
富岡 祐二「おはよ~」
富岡 恵「もうちょっと早く起きてくれる?」
富岡 祐二「ご、ごめん」
富岡 恵「今日、洗濯物溜まってるから、コインランドリー行って来て頂戴!」
富岡 祐二「家で洗ってベランダに干して──」
富岡 恵「ふざけないで!虫が付いたら気持ち悪いわ!」
富岡 祐二「2日に1回のペースでやられると、金銭的にキツくて──」
富岡 恵「そんな事!私が知った事じゃないわよ!早く行って来なさいよ!」
富岡 祐二「わ、分かったよ、行ってくるよ」
富岡 恵「ふんっ!」
富岡 祐二「ただいま〜」
富岡 恵「お帰りなさい、ちょっと出掛けて来るから家の事お願いね!」
富岡 祐二「何処行くの?」
富岡 恵「貴方には関係ないでしょ!」
富岡 祐二「あ、うん──」
富岡 恵「夜の19時頃までには、帰るわ!部屋汚されるの嫌だから、貴方も出来るだけ外で時間潰して頂戴!」
  結婚した当初は近くのコンビニに一緒に行くほど仲が良かった。3年前に太りはじめた辺りから妻の態度が冷たくなっていった・・・
富岡 祐二「俺の存在とは一体・・・」

〇住宅街の公園
阿部 憲二「・・・なんと言っていいか」
富岡 祐二「・・・自分で言うのも変ですが、私はもう、妻のATMなんですよ・・・」
阿部 憲二「・・・富岡さん。まだ家族として繋がっているだけマシですよ、私なんて、お役御免ですから」
森本 幸宏「そ、そんな、2人とも大袈裟ですよ!」
阿部 憲二「森本さんはまだ結婚したばかりだから・・・」
富岡 祐二「そうですよ、これからですよ!」
森本 幸宏「ぼ、僕の所は大丈夫ですよ!」
阿部 憲二「・・稼げなくなったら、冷たいものですよ。金の切れ目が縁の切れ目ですかね、痛感してます」
富岡 祐二「僕は体重が12キロ増えたら、ATM扱いされはじめましたからね、最近は首を吊る夢まで見るんです森本さんも気をつけて下さいね」
森本 幸宏「は、はい」

〇おしゃれなキッチン
森本 幸宏「戻りました〜」
森本 千香「おかえりなさい。今お昼作ってるから!」
森本 幸宏「この匂い・・・ってカレー?」
森本 千香「そうよ・・・嫌?」
森本 幸宏「カレー大好きだよ!(もう4日連続だぞ!)」
森本 千香「良かったぁ〜フフッ」
森本 幸宏「もしもし、森本です!」
森本 幸宏「はい、はい、・・分かりました明日ですね・・はい、失礼します!」
森本 千香「どうしたの?」
森本 幸宏「ごめん千香。明日、休日出勤しなくちゃならなくなった。約束してた、ショッピングはまた今度で・・・」
森本 千香「分かったわ、仕事ならしょうがないわよ」
森本 幸宏「本当ごめん!──」
森本 千香「気にしないで・・・」
森本 幸宏「ちょっとお風呂入って来るよ」
森本 千香「・・・・・・・・・」

〇住宅街の公園
  次の日
森本 幸宏「あっ!阿部さん!富岡さん!」
阿部 憲二「こんにちは富岡さん!」
富岡 祐二「休日にお仕事ですか?ご苦労様です」
森本 幸宏「どうも。お二人は何してたんですか?」
阿部 憲二「恥ずかしながら、家に居場所がないのです」
富岡 祐二「阿部さんと一緒です」
森本 幸宏「・・・大変ですね」
阿部 憲二「もう、家に帰りたくないです・・・」
森本 幸宏「しっかりして下さいよ!」
阿部 憲二「はぁ、どうしたものか・・・」
富岡 祐二「今日、妻にガツンと言ってやりますよ! 阿部さんも言いましょうよ!」
阿部 憲二「しかし、、」
森本 幸宏「ガツンと言わないまでも、話し合いは必要です」
阿部 憲二「そ、そうですね」
富岡 祐二「きっと奥さんも分かってくれる筈です!このまま黙っていたら、どんどん関係が悪くなりますよ!」
阿部 憲二「そ、そうですね、話し合ってみましょうか」
森本 幸宏「そうですよ!」

〇シックなリビング
阿部 憲二「なぁ、少し話をいいか・・・」
阿部 文恵「何?」
阿部 憲二「去年定年を迎えてから、その、私への扱いがひどくなってないか?娘の美紅なんか話しすらしないし、夫婦間の会話も少ないし・・・」
阿部 文恵「そう?」
阿部 憲二「定年前はもっと明るかったような気がしてな。 ・・・もう、稼げなくなったから、そんな態度なのかなって思って・・・」
阿部 文恵「フフッ。そんな訳ないでしょ!」
阿部 憲二「な、なら、どうして?」
阿部 文恵「定年を迎えたら、老後の資金が必要でしょ?それを少しずつ貯めている最中なのよ、いろいろ考えていて・・・ごめんなさいね」
阿部 憲二「そうだったのか!私の方こそ変な思い込みをしていて、申し訳ない」
阿部 文恵「美紅は、お年頃なだけよ、気にしないで」
阿部 憲二「そうか、そうか!私は大馬鹿物だな!」
阿部 文恵「これからも宜しくお願いしますね。お父さん!」
阿部 憲二「・・・うっ、うっ、嬉しくてつい涙が」
阿部 文恵「変な人ねぇ」

〇綺麗なダイニング
富岡 祐二((よし、言ってやるぞ!言ってやるぞ!))
富岡 恵「ねぇ!」
富岡 祐二「な、なに?」
富岡 恵「・・・何か忘れてない?」
富岡 祐二「忘れてる?何が?」
富岡 恵「はぁ、ダメな人ね!」
富岡 祐二「そんな、言い方──」
富岡 恵「ハイッ!」
富岡 祐二「えっ?」
富岡 恵「フフッ。今日貴方の誕生日でしょ?おめでとう」
富岡 祐二「これって・・・」
富岡 恵「昨日買いに行って来たのよ。貴方太ったから、サイズ探すの大変だったのよ!」
富岡 祐二「サイズ・・・?」
富岡 恵「新しいルームウェアが欲しいって言ってたじゃない?」
富岡 祐二「・・・・・・・・・」
富岡 恵「あれっ?間違えてた?」
富岡 祐二「・・・うっうっ、──ありがとう。痩せるように努力するよ」
富岡 恵「そのままで、いいわよ!」
富岡 祐二「うぉぉぉぉぉん!」
富岡 恵「大袈裟な人」

〇おしゃれなキッチン
森本 幸宏「ただいま〜」
森本 千香「おかえりなさい!お風呂沸いてるわよ!」
森本 幸宏「ありがとう!先に入ってくるよ!」

〇明るいリビング
森本 幸宏「美味しそう!」
森本 千香「いつも、カレーばかり食べさせてごめんね」
森本 幸宏「気にしなくていいよ!頂きます!」
森本 幸宏「ご馳走様!」
森本 千香「塩辛くなかった?」
森本 幸宏「全然、美味しかったよ!もう少し濃くても良かったけどね!」
森本 千香「次はもう少し濃くするわね!」
森本 幸宏「カレーの濃い味に味覚が慣れたのかもね」
森本 千香「そうかもね、フフッ」
森本 幸宏「そういえばさ、近所の阿部さんと富岡さんいるだろ?」
森本 千香「ええ。どうかしたの?」
森本 幸宏「自分達がATMみたいだって嘆いてたよ」
森本 千香「そういう事を考えるって事は、夫婦の仲が良くないのかしら?」
森本 幸宏「どうかな?でも、とても寂しい気持ちになったよ・・・」
森本 千香「そうね──そんな割り切った思考にならないように私も注意しなきゃいけないわね!」
森本 幸宏「えっ?それって・・・」
森本 千香「フフッ。冗談よ!」
森本 幸宏「もう!ドキッとしたよ!」

〇豪華なベッドルーム
阿部 文恵「これだけ、貯まれば──もう」

〇綺麗なダイニング
富岡 恵「やっと、目標額に達したわ!だからもう──」

〇おしゃれなキッチン
森本 千香「貯金と死亡保険を合わせた額があれば、 すでに──」

〇白
  必要ないわね!

コメント

  • ええー!最後が!最後が😭
    なんかカレーのアジの話からおかしいなと思っていましたが

    まさか三人ともとは

    見事に殺られた気分で面白かったです

  • わー!!これは・・・一安心させておいての、最後!!
    すごいですね!!面白かったです!!

    あのような状態になる前に、我慢ばかりでなく妻側も伝える努力した方が良いと思いますが、世の中には伝えても伝えても改善しない夫もいるようですからね・・・

    できれば平和的に仲良く夫婦仲を深めて行きたいですよね・・・

  • なんだか妙にリアルですね!!
    タイトルも面白いです。
    人ごとに感じられず、読みながらざわついている読者も多いでしょうww
    一旦安堵させ、夫婦ってやはり良いなと思わせてからの急転直下が最高です!!
    BOTが話し合いが大事だな…のところで理解が終わっているのは AI の限界か、人間心理の二面性が理解できないのか? 興味あるところですね🤔

コメントをもっと見る(6件)

ページTOPへ