アテナ任務遂行中!

木佐マコ

第34話 みこ、ドーナツになる!①(脚本)

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〇高架下
  高架下の屋台には「堂奈津亭(どうなつてい)」と書かれた提灯がぶら下がる。
  仙頭奈津男(せんどうなつお)は、屋台の中でドーナツを揚げていた。
仙頭奈津男「違う違う、違う! このドーナツは死んでいる!」
  揚げたてのドーナツを地面に叩きつける。
???「あああ!? もったいない! おいしそうなのに!」
仙頭奈津男「・・・客か」
高原みこ「ドーナツたっくさん、くださいな!」

〇古いアパート

〇雑多な部屋
  ちゃぶ台の上のお皿には、ドーナツが乗せられていた。
  カンカン
  みこがお玉でフライパンを叩く。
高原みこ「おはよー! みんな! 今日の朝ごはんはドーナツだよ!!」
高原小太郎「ふぇっ!?」
アテナ「・・・普段の起床時間より2時間も早いですね」
高原小太郎「ふわぁ・・・なんでドーナツなの?」
高原みこ「暗殺者さん見てたら、食べたくなっちゃって!」
カオス「あああ!? それ堂奈津亭(どうなつてい)じゃねえか!」
高原みこ「カオス! どこ行ってたの?」
アテナ「こんなにあっさり戻って来るとは」
高原小太郎「え、誰・・・また姉ちゃんの友達?」
高原みこ「うん、カオスだよ!」
カオス「やっぱみこはすげーな! レジェンド仙頭の店にたどり着いちまうなんて!」
アテナ「レジェンド仙頭?」
カオス「ああ、一生に一度しか出会えない伝説のドーナツ屋台・・・堂奈津亭!」
高原小太郎「つまりそのドーナツ、すごくおいしいってこと?」
高原みこ「おお~! 早く食べよう!」
カオス「いっただきま~~・・・」
  カオスが食べようとしたとき、ちゃぶ台の上のドーナツが金色の光を放った。
  ボン!
Dr.BAD「ほわ~甘いバニラの香りに包まれた理想の生活・・・」
Dr.BAD「はっ! 私は一体」
高原みこ「暗殺者さんが元に戻った!?」
カオス「テメェはいつも間が悪ィんだよ!」
  カオスが左手にエネルギーを溜める。
Dr.BAD「ひっ、ひぃぃい!!」
高原みこ「! カオス、ダメ!」
カオス「みこ! バカッ、オマエ!」
高原みこ「わああ!?」
  ボン!
カオス「!?」
アテナ「御主人(マスター)!」
高原小太郎「えええええ!? 姉ちゃんがドーナツに!!」
Dr.BAD「ひえっ、ひええ!」
  Dr. BADは慌てて走り去った。
高原小太郎「姉ちゃん死んじゃったの!?」
カオス「死んでねーよ! 24時間たったら元に戻る」
アテナ「はぁ、次から次へと・・・」

〇教室
柴崎麻衣「へえ~、このドーナツのどれかが、みこなの?」
アテナ「はい。普通のドーナツと混ざってしまったので、こんなことに」
嘉成光「・・・人間がドーナツになる超常現象、すんなり受け入れられすぎでは?」
柴崎麻衣「で、そのカオスくんはどこ?」
嘉成光「そもそも、なんであいつ戻ってきたんだ? アテナに負けて逃げたんじゃなかったのか」
カオス「負けてねーよ!!」
嘉成光「お前、よく顔出せたな! みこちゃんをこんなにして・・・」
カオス「1日たてば元に戻るんだから、いいじゃねえか」
アテナ「よくはありませんが」
カオス「沈んだ顔して待ってるより、笑ってた方がみこも喜ぶに決まってる!」
アテナ「・・・・・・」
カオス「ってことで! ドーナツパーティするぞ!」

〇高い屋上
カオス「ハハッ! 踊れ踊れ!」
嘉成光「明日の朝までみこちゃんを守らなきゃいけないっていうのに、ドーナツパーティって。何考えてるんだ?」
アテナ「・・・彼なりに、私たちを励ましているつもりなのかもしれませんね」
嘉成光「え?」
アテナ「わかりにくいですが、あれが彼の優しさなのかも」
嘉成光「・・・・・・」
嘉成光「でも、意外だな」
アテナ「え?」
嘉成光「アテナにとって、あいつは排除対象じゃないの?」
アテナ「・・・・・・」
嘉成光「マスターに危害を加える者は排除しますって、真っ先に言い出すと思ってたのに」
アテナ「そうですね・・・」

〇埋立地
カオス「オマエはみこを失ったことがねーから、そんな甘いこと言ってられんだ!!」

〇高い屋上
アテナ「・・・彼のことを知りたいのかもしれません」
嘉成光「え?」

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