第33話 冥途の土産に教えてやる!③(脚本)
〇埋立地
高原みこ「おーいアテナ、いたら返事して~」
嘉成光「この中から見つけるのか・・・」
高原みこ「光くん、今度はあっち探そ!」
嘉成光「うん・・・」
高原みこ「カオス! 来てくれたんだ」
嘉成光「お前・・・」
カオス「砂漠の中の砂金、藁山の中の針を探すようなもんだ。見つからねーよ」
高原みこ「??」
カオス「道具は使えなくちゃ意味がねえ。 旧式の意味も、あの時終わったんだ」
高原みこ「さっきから何言ってるの?」
カオス「壊れた傘は捨てるだろ? あれと同じだ。 モノにいちいち執着してちゃ、キリがねえ」
嘉成光「アテナと傘は違うだろ!」
カオス「傘は雨から守るために、旧式は暗殺者から守るために作られたモノだ。何が違うんだ?」
嘉成光「違うだろ、全然! アテナは──」
高原みこ「うーん、よくわかんないけど・・・私は壊れても捨てないよ?」
カオス「・・・・・・」
高原みこ「壊れてたら直してあげたいって思う。 また動くようにしてあげたいって」
嘉成光「みこちゃん・・・」
高原みこ「それにアテナは私の友達だもん! ここにいるって分かってるのに、諦めるわけないよ」
カオス「・・・ほんっと変わってねーな」
高原みこ「ねえ、カオスも一緒に探そうよ」
カオス「モノも人も分け隔てなく・・・オマエのそういうとこ、好きだったけどな」
高原みこ「うん?」
カオス「今度は、認めるわけにはいかねえ」
〇秘密基地の中枢
Dr.BAD「くそっ、やられた! まさか奴が、これほどのものとは」
Dr.BAD「だが・・・」
Dr. BADはコンピュータを操作して、隠し扉を開いた。
Dr.BAD「ふっ、ははは! さすがにこの扉には気づかなかったか!」
〇埋立地
カオスは光とみこを小脇に抱えて、歩き出した。
高原みこ「わっ! 何するの!」
カオス「帰るんだよ。昨日から寝てねーヤツに正常な判断ができるわけねーからな」
嘉成光「待てよ! アテナがまだ」
高原みこ「アテナを探すまで、帰らないってば!!」
カオス「探してどうするんだ? アイツはオマエを守れてなかったじゃねえか」
高原みこ「アテナはいつも守ってくれるもん!」
カオス「ハッ、どこがだよ」
「ふははは! ちょうどいい」
「高原みこもろとも死ね!」
カオス「この声・・・Dr. BADか!」
Dr.BAD「ESコア散布!!」
小型の球体が周囲に散らばる。
球体は地面に広がるゴミを纏って、人型を作り上げた。
高原みこ「ぎゃあ! ごみの怪物がいっぱい!」
カオス「ザコを増やしてどーすんだ!」
カオス「オラオラオラァ!! どけっ!」
砕け散って倒れるゴミの怪物。
嘉成光「すごい! あいつ本当に最強かも」
しかし、人形はESコアを中心に別のゴミを纏ってすぐに復活した。
カオス「起き上がんな! しつけーな!」
Dr.BAD「ESコアはあらゆる物質を材料に戦闘員を生み出すことができる大発明だ! 倒せるものか!」
カオス「ッ! コアぶっ潰してやる!」
Dr.BAD「そう簡単にいくか! やれ!」
カオス「! っぶね!」
背後から放たれた、ゴミの怪物の一撃を避ける。
高原みこ「カオス、大丈夫!?」
カオス「バカ! 離れてろ!」
嘉成光「そうだよ、みこちゃんここは危ない!」
Dr.BAD「どうあがこうが、貴様らを待つのはごみまみれの最期だ!」
数百体におよぶゴミの怪物が、みこたちをぐるりと取り囲んだ。
高原みこ「あわああ!? どうしよう!?」
カオス「! クソッ数が多すぎる!」
嘉成光「も、もう・・・ダメだ・・・」
高原みこ「助けて・・・」
高原みこ「助けて、『アテナ』!!」
みこが叫んだ瞬間、地面から散り散りになったゴミが浮き上がった。
浮き上がったゴミは、みこが持つアテナの手に集まっていく。
高原みこ「あれ? この光・・・」
〇白
「認証クリア──」
「バーストモード、オン!」
〇埋立地
高原みこ「アテナが元に戻った!」
アテナ「バースト・クラッシュ!」
赤い光線が、ESコアごとゴミの怪物たちを一瞬で焼き尽くす。
カオス「・・・!」
高原みこ「おおおおお!? 何その力!?」
アテナ「バーストモードです」
アテナ「自動組み立てにより初めて正しく組み上がり、使用できるようになりました」
嘉成光「えっ、今まで組み立て間違ってたの」
アテナ「御無事ですか御主人(マスター)」
高原みこ「うん! 助けてくれてありがとう、アテナ!」
アテナ「それが私の任務ですから」
〇コックピット
Dr.BAD「くそっ、何だあの力は!? 早く離脱を」
バキッ!
激しい衝撃と共に、操縦席にロボットの腕が突っ込まれた。
カオス「逃がさねぇからな!」
Dr.BAD「!? ぎぃやぁぁあ!?」
〇埋立地
大破したロボットの中から、カオスがDr. BADを引きずり出す。
カオス「・・・手こずらせやがって。あばよ」
Dr.BAD「やっ、やめてくれ! 手を離せ!」
カオスがエネルギーを放つ直前。
光を纏ったアテナが、カオスを突き飛ばした。
カオス「何ッ!?」
アテナ「彼は人間を傷つけるおそれがあります。 御主人(マスター)、このまま続けても?」
カオス「旧式、オマエ・・・」
アテナ「・・・旧式?」
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