第5話 揺らぐ天秤(脚本)
〇ホストクラブ
2021年 神奈川県内 キャバレークラブ 仙境内
フェード「哈哈哈,弱弱!4人集まってもこのレベルか!」
鸞「攻撃を捌くだけで精一杯だ···キング、青龍刀の弱点とかないか?お前変化武器ならわかることないのか?」
キング「あるにはあるが···タイミングが難しいんだよな···あれ」
凪園無頼「とにかく攻撃するしかなくねー?考えてるヒマないっしょ」
鸞「何をすればいいキング、どうにかできるかもしれん」
キング「反射でするような···『軌道が単純な攻撃』を誘ってくれ」
鸞「凪園、カマイタチのようなものは出せるか?」
凪園無頼「よゆー、でもなにすんのー?」
鸞「奴を囲う···行くぞ!!」
凪園は言われた通り風の刃を自身の蹴りによって放ち、その間に鸞は敵の後ろに回る。
鸞「松煙延焼の術!!(まつえん えんしょう のじゅつ)」
轟々と燃え盛る炎を鸞は敵に吹き付ける。凪園の風の刃に切り裂かれ炎は不完全燃焼をし黒煙を撒き散らす
フェード「小賢しい!黒煙を撒き散らし目眩しか、劣等民族が···中華民族の力思い知らせてやる!」
突如目の前に盾が現れフェードはそれを打ち落とそうとした。しかし盾は瞬時にキングの姿に変わりキングは殴る素振りを見せた
恐らくそれも読んでいたのだろうフェードは急速に持ち手を変え、上から下の攻撃ではなく下から上への攻撃へ切り替えた。
だがこれが罠であった。キングは待ってましたと言わんばかりにフェードの青龍刀を盾で殴りつける
すると青龍刀は根元から折れ、キングはフェードを殴り飛ばす。
キング「馬鹿が、青龍刀は折れやすいっての忘れたか!」
凪園無頼「やるじゃーん、でもさあんな硬い青龍刀なんで折れたわけー?」
鸞「与える衝撃を一致させたんだろう。例えば同じ型の銃を真正面で撃ち合った際、構えが悪い方が銃弾の力が瞬間的に弱まる」
鸞「一方構えをちゃんとしていると正確に弾丸を発射できるため同じ型の弾丸がぶつかっても片方だけ粉々になる。なんてこともある」
鸞「今回の場合、恐らく相手は急な一撃で正確な構えができなかった。そこにつけ込むようにキングは盾を殴りつけた」
鸞「そして結果は青龍刀の破壊となったというわけか、流石変化武器だな」
凪園無頼「よくわかんねーけど青龍刀ぶっ壊せたからあとは殴るだけっしょ」
斎王幽羅「凪園、危ない!!」
地面から出てきた斎王はそう警告をし凪園を地面に潜り込ませる。数秒後鎖で繋がれた武器が飛来し黒煙の向こうにはフェードがいた
鸞「なんだあの武器···鉄の鞭···?」
キング「九節鞭(きゅうせつべん)···時に叩き、時に突き刺し、時に絡め···だが見た目より攻撃の融通は効かないはずだ」
だがキングの予想とは違いシャンデリアに引っ掛け攻撃したり、グラスなどに当てその破片を投擲したり
4人の想像以上に攻撃に多様性があり4人は再び苦しめられる。
キング「あの野郎···攻撃自体は大したことねえのに全部急所狙ってきやがる···!」
鸞「だからこそ攻撃が読み易いが、その分絡め手に引っ掛かりやすいな···」
凪園無頼「あーうぜぇ!!風のビート 『風神 大竜巻』!!」
元々短気な凪園が痺れを切らし放った風の一撃はフェードの九節鞭の攻撃のみならず、九節鞭そのもの吹き飛ばした。
九節鞭が地面に転がりフェードが拾いあげようとしたその時、地面から斎王が現れる。咄嗟に避けるも、目的はフェードではなく
斎王幽羅「よし取った!これで九節鞭は使えないね」
キング「ナイス斎王!もう流石に武器ねえだろ!」
鸞「残念だがまだあるぞ···さっき左足から九節鞭を出したが今度は右足から出してる。懐と腰に差しているのも含めて残り3つか」
凪園無頼「はぁー!?まだあんのー?いい加減うぜーんだけど!」
斎王幽羅「フェードさん、ひとつ聞きたいことがあります!」
斎王幽羅「お腹がバッサリ裂かれた妊婦の遺体、その中にいたはずの赤ん坊の行方を教えてください!!」
斎王がそう問いかけるとフェードは少し俯いた後斎王を指差す
フェード「不需要知道(知る必要は無い)、知ってどうにかできる問題でもないからな」
キング「どうせ答えねえと思ったが、なんで今聞いた?」
斎王幽羅「え、だって目的一応それだし···聞いとかないと···ね?」
鸞「アジア最強の殺し屋も言葉が詰まるんだな、今更自分のやった事で罪悪感でも湧いたか?」
フェードはその言葉を聞くやいなや声を荒げて反論した
フェード「私が···私が嬉々としてやるわけが無いだろう!あんな···『あんな事』の為に私は殺し屋になったのでは···!!」
激情にかられ何かを喋りそうになったフェードを紅色派の中国人が『早くしろ』と急かす。フェードは苛立っており
手に持っていた三節棍で紅色派の中国人を数人殴りつけ三節棍を斎王達に向ける。
そして三節棍とジャケット内にあった複数のクナイを捨て腰に刺していた剣を抜き構えを口を開く
フェード「もういい。もう···殺す、祖国の忠誠に疑心を持ってしまった事への怒りをお前たちにぶつける」
フェード「お前達はこの中国最高峰の環首刀『九龍宝(クーロンポー)』で斬り殺す!!」
己の中にある迷いを振り払おうと気丈に振舞う彼女は今もどこか不安な様子だった。
そして彼女の身につけていたグローブが青紫色に光りを放った時、キングは青ざめる
キング「おいおい、冗談だろ···?環首刀が異能持ちじゃなくて『あのグローブが空間を切り裂く異能』持ちか···!」
To Be Continued··· ··· ···