愛しさのカタチ

兎乃井メライ

DAY26: これって・・・(脚本)

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〇平屋の一戸建て
  ――とある休日

〇田舎の一人部屋
三澤梨々花「よし、お片付け完了! ようやく終わったぁ~」
緑川「梨々花さん、荷解きは順調ですか?」
三澤梨々花「あ、緑川さん! はい、今ちょうど終わったところです!」
三澤梨々花「すみません、お休みの日なのに わざわざ手伝いに来てもらってしまって」
緑川「いいんですよ、そんなこと」
緑川「あの、部屋はどうですか? なんとか人が住める状態に整えられたとは思うのですが」
緑川「なんせ家じたいが古いもので 梨々花さんのような年頃の女の子が好むような内装は難しく・・・」
緑川「ベッドと最低限の家具は用意したのですが・・・質素ですみません」
三澤梨々花「とんでもない十分です! 私のために色々と買ってくれたんですよね? ありがとうございます」
三澤梨々花「それにこの部屋・・・もとは先生の資料部屋だったんですよね?」
三澤梨々花「いいんでしょうか? 山積みになってた本、全部運びだしてもらっちゃいましたけど・・・」
緑川「もう一つ物置部屋があるので 問題ないですよ」
緑川「それに何年も放置状態だったので いい加減整理しないといけないと思っていたところだったんです」
緑川「これを機に不要な資料は売却するか廃棄しようと思ってまして 今先生に断捨離してもらってます」
緑川「おそらく半分以下に減ると思うので 余裕で物置に収まりますよ」
三澤梨々花「ならいいんですけど あの・・・今回の件、お姉ちゃんが無理やり先生に頼んだんじゃないですか?」
三澤梨々花「海外出張になる一カ月、私をここに置いてほしいなんて 迷惑だったんじゃないかと思って・・・💦」
三澤乃梨子「新部署の立ち上げで、急遽ロスに行くことになっちゃって~ 悪いけどその間、はるかの家で下宿して♪ 話は通してあるからさ!」
三澤梨々花(めっちゃ軽いノリだったんだよね・・・ 先生からは何も言われてないけど、お姉ちゃんには前科があるからなぁ)
緑川「はは、それに関してはご心配なく 先生はさらりと快諾してましたから むしろ、僕と乃梨子さんの方が驚いたくらいです」
三澤梨々花「そうなんですか? ほ、ほんとに?」
緑川「はい、この耳でしかと許可するのを聞きましたから」
緑川「それに本当に嫌なら拒否したはずですよ 先生はあけすけに物を言う質ですから」
緑川「でもそれよりも大丈夫ですか? ここにいる間、家事を全部引き受けてくれるそうですが・・・ 学校も部活もあるし大変でしょう?」
三澤梨々花「だって先生、家賃いらないって言うし それじゃさすがに申し訳ないので、その分労働で返そうと思って!」
三澤梨々花「それに、前から心置きなくくまなく この家を掃除しまくりたかったんです♪ なので願ったり叶ったりです!」
緑川「なるほど じゃあ充実した一カ月になりそうですね」
三澤梨々花「はい!」
三澤梨々花「あ、そうだ! これ叔父から預かったお土産です! お世話になるお礼にって」
緑川「わざわざすみません、頂戴します そういえば叔父さん──九堂さんでしたか──も急遽出張だそうですね」
三澤梨々花「はい、叔父の家も候補には上がってたんですけど・・・ 県外で遠いのと、仕事でしばらく遠くに行くみたいで」
緑川「ここまで荷物を運んで頂いたので せっかくならご挨拶したかったですが・・・お急ぎだったんですか?」
三澤梨々花「そ、そうなんです 今日出発しなきゃいけなかったみたいで! あの、よろしく伝えて欲しいと言ってました!」
三澤梨々花(・・・本当は会わせたくなくて 早く行かせたことは黙っておこう💦)


〇ボロい家の玄関
  ――数時間前
九堂修也「うう・・・うううっ・・・ うううぅぅ〜〜・・・!」
三澤梨々花「修兄・・・いい加減泣き止んでよ 今生の別れじゃないんだから・・・」
九堂修也「そうだけど、こんなの泣かずにいられるわけないよ!! だってりーちゃんが・・・」
九堂修也「りーちゃんが男と住むなんてッ!! それも二人っきりで・・!! そんなの、心配に決まってるだろぉー!!」
三澤梨々花「だってしょうがないじゃない 修兄、1カ月北海道で仕事なんでしょ?」
三澤梨々花「その間、先生のうちにお世話になることは 修兄だって納得したじゃない」
九堂修也「仕方なく・・・仕方なくだっ! ああっ・・・仕事さえなかったら・・・ もういっそキャンセルして────」
三澤梨々花「修兄」
三澤梨々花「それはダメだって言ったでしょ 一度受けたお仕事は責任もってやりとげて」
三澤梨々花「それに探偵って信用第一の商売なんでしょ? 悪評たったらどうするの! 依頼人さんたちも困らせちゃうんだから」
三澤梨々花「軽はずみな行動は慎んでください! もういい大人なんだから!」
九堂修也「うう・・・はい・・・・・・」
三澤梨々花「わかればよろしい✨」
三澤梨々花「大丈夫だよ 先生が信用できる人だってことは この前会って修兄も認めてたでしょ」
九堂修也「う~・・・まあ・・・そうだけど」
三澤梨々花「毎日、おはようとおやすみのメッセージ送るから」
九堂修也「えっ」
九堂修也「うん、わかった♡ 約束だからね?絶対忘れないでね?」
三澤梨々花「うん、約束約束 あ、じゃあ私片付けあるから中行くね 荷物運んでくれてありがとう」
三澤梨々花「修兄もそろそろ空港向かわないとでしょ? 挨拶は私が代わりにしておくから気にしなくていいよ お仕事頑張ってきてね」
九堂修也「え?そう? わかった、りーちゃんがそう言うなら 頑張ってお仕事しに行ってくるよ~」
三澤梨々花「うん、でも無理はしすぎないようにね ごはんもしっかり食べてね 心配だから」
九堂修也「やさしいなぁ、りーちゃんは~♡ うん、なるべく早めに帰ってくるからねっ じゃあいってきまーす!」
三澤梨々花「いってらっしゃい 気を付けてね~!」
三澤梨々花「・・・ふう・・・・・・💦」


〇田舎の一人部屋
三澤梨々花(あんなところを 緑川さんと先生に見られなくてほんとよかった・・・)
三澤梨々花(修兄がもうちょっと姪離れしてくれるといいんだけど・・・)
緑川「・・・か? ・・・梨々花さん? どうかしましたか?」
三澤梨々花「えっ、あ、ごめんなさい💦 なんでしょうか?」
緑川「キリがついたならお茶でもどうですか? お土産、お菓子みたいですし」
三澤梨々花「はい! じゃあ私用意して──」
落合はるか「――おい、緑川」
緑川「あ、先生 本の仕分け終わりました?」
落合はるか「ああ、ほぼいらねーやつだった」
緑川「そうですか 知り合いに古書店のオーナーがいますから 引き取りに来てもらいましょうか」
緑川「さっそく電話してみますよ あ、本は縁側に出しておいてくださいね」
三澤梨々花「あ、じゃあ私手伝いましょうか? 自分の荷物整理終わったので」
落合はるか「いや、お前はいい」
落合はるか「それよりコーヒー淹れろ。疲れた あとハイジにおやつ」
三澤梨々花(もう・・・ 相変わらずぶっきらぼうな口調だなぁ💦)
落合はるか「なんだよ? 家賃分労働するんだろ?」
三澤梨々花「やっ、やりますよ! お世話になるからにはきっちりと」
落合はるか「ふーん── じゃあ今まで通り頼むな、居候」
落合はるか「キリキリ働けよ」
三澤梨々花(なんだか今まで以上に こき使われそうだなぁ・・・💦)

次のエピソード:DAY27: 同棲ですか!?

コメント

  • 私服の梨々花珍しい!!
    「わかればよろしい✨」のセリフがめちゃくちゃ好きです笑
    姪を前にしたらチョロすぎる修也さん… なんて言うんでしょう… 流石ですね笑

  • うわー、同居ってドキドキ急展開の予感……と思ったら、平常運転のはるか先生ですね。変わったのは呼び名が「居候」になっただけで……
    そして、安定の奇行の修也さん、ワンシーンだけで誰よりも目立ってしまいますねww

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