〇学校の校舎

〇学校の廊下
三澤梨々花（どこいったのかな、美森・・・ トイレにもいなかったし、他の階かな？）
三澤梨々花（次の休み時間狙って 話しかけてみるしかないか・・・）
吉沢美森「────梨々花」
三澤梨々花「美森・・・！」
「あ、あのね・・・！」
三澤梨々花「もしかして、探してた・・・？」
吉沢美森「う、うん、そっちも・・・？」
三澤梨々花「あの・・・話してもいい？」
吉沢美森「うん、あたしもそうしたいと思ってたの」
吉沢美森「ごめんね、その、ずっと避けてて・・・」
三澤梨々花「ううん、私こそ・・・傷つけてたの 気づかなくてごめんね」
吉沢美森「なんでアンタが謝るの？ 悪いの、あたしじゃん」
吉沢美森「里見があたしのこと好きじゃないのは 梨々花のせいだって 勝手に八つ当たりして逃げて・・・」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
吉沢美森「アンタが気にしてるのわかってたけど うまく切り替え出来なくて・・・」
吉沢美森「気づいてたけど やっぱりショックだったんだ なんでよりによって梨々花なのって」
三澤梨々花「美森、あのね」
吉沢美森「断ったんだって？ 里見からの告白」
三澤梨々花「え？」
吉沢美森「里見から聞いた ・・・あたしに気を遣ったわけじゃないよね？」
三澤梨々花「ううん、違うよ ちゃんと自分で考えて出した答えだよ」
吉沢美森「そう・・・ 実はあたしね、告白したんだ里見に ダメだったけど・・・」
吉沢美森「でも全然後悔してない むしろ、ずっと抱えてたもの 全部言えてスッキリした」
吉沢美森「そしたらね、梨々花の顔が浮かんだの 自分勝手に責めて、ひどいこと言ったの思い出して、すごく後悔した」
吉沢美森「ほんとにごめん・・・いまさら許してもらえないかもしれないけど」
三澤梨々花「ううん、謝るのは私の方 美森に言われなかったら、友達が本当は傷ついてるのを知らずに笑って過ごしてた」
三澤梨々花「そんな最低な自分のままじゃなくて 本当によかったと思う」
「本当にごめんね・・・！」
三澤梨々花「ふふ・・・」
吉沢美森「あはは・・・」
吉沢美森「あーやっと言えた！ よかった〜ホッとした！」
三澤梨々花「私も やっぱり美森が隣にいないと、寂しいんだ また前みたいに戻れるかな・・・？」
吉沢美森「もちろん！ 梨々花がいいなら・・・」
吉沢美森「あたしも・・・寂しかったし」
三澤梨々花「ありがとう」
三澤梨々花「あのね、美森」
吉沢美森「なに？」
三澤梨々花「私、美森に話してないこと・・・ 色々とあると思う でも少しずつ打ち明けていきたいと思う」
三澤梨々花「ちょっと時間はかかるかもしれないけど 待っててくれる？」
吉沢美森「うん、もちろん 梨々花が話したいと思った時に聞くよ」
吉沢美森「いつまでだって待つよ！ ・・・親友だもん」
三澤梨々花「ありがとう また、今日からよろしくね！」

〇寂れた雑居ビル

〇シックなバー
三澤乃梨子「はぁ・・・困ったわね・・・」
紅「ちょっとノリティ やめてよ、アタシの店でため息なんて 悪い気が流れ込むじゃないの」
紅「あら、今日はピッチが遅いじゃない それまだ一杯目でしょう？ 久々に顔見せたかと思えば、どうしたのよ」
三澤乃梨子「ああ、ママ・・・ ごめん、ちょっと考え事してて」
紅「あら、悩みごと？ なーに、千里ちゃんのこと？」
三澤乃梨子「違うのよ・・・まあ、それも大きな悩みだけど、今はそれより重大なことがあって」
紅「ええっ！ 千里ちゃんより大きな悩み!? そんなことってあるの!?」
紅「年がら年中「振り向いてくれなーい」って 飲んだくれてうにゃうにゃクダ巻いてるだけのノリティに!?」
三澤乃梨子「ちょっと・・・あたしが緑川くんのことしか考えてないみたいに言わないでよ 他の悩みだってあるわよ」
緑川「僕がどうかしましたか？」
三澤乃梨子「みどっ・・・緑川くん!!」
三澤乃梨子「あれ!? いつもこの時間って仕事じゃない？ どうしたの？💦」
緑川「今日は久しぶりに早く切り上げられたんです 紅さん、僕にもビールお願いできますか？」
紅「はぁーい♡ ちょっと待ってね」
紅「あ、千里ちゃん この子なんか悩みがあるらしいのよ よかったら相談に乗ってやって🎵」
緑川「悩み？　何かあったんですか？ 僕でよければ聞きますよ」
三澤乃梨子「えっ！　あ、う、うん・・・」
三澤乃梨子「実は、今度新部門のチーフを任されることになって・・・」
緑川「乃梨子さんは輸入雑貨を扱う商社にお勤めでしたよね？ すごいじゃないですか おめでとうございます」
緑川「でもどうしてそれが悩みなんですか？ 昇進ならおめでたいことだと思いますが」
三澤乃梨子「そうなんだけど・・・」
三澤乃梨子「ま、まあとりあえず飲みましょ ちょうどビールもきたし！」
緑川「そうですね、では今日もお疲れ様でした」
三澤乃梨子「はーい、カンパーイ！」
三澤乃梨子「そういえば、ここで会うの久しぶりよね 最近来てる？ あたしは色々バタバタしてて、二週間ぶりくらいなんだ」
緑川「そうですね 僕は先生と先日食事にきたばかりで・・・ あ、妹さんも一緒に」
三澤乃梨子「ああ、歓迎会してくれたのよね、梨々花の わざわざありがとう」
三澤乃梨子「あの子、大丈夫そう？ はるかとはまあまあうまくやってるみたいだけど・・・」
緑川「まったく問題ないですよ むしろ先生のお気に入りの域です」
三澤乃梨子「えぇっ！　ウソでしょ!?」
緑川「梨々花さん、料理上手ですから すっかり胃袋から掴まれたようですよ なんだか最近少し穏やかになった気もしますし・・・」
緑川「栄養が行き渡ると性格も変わるんですかね しっかり食事管理してくださっていて、本当に助かってます 素晴らしい妹さんですね」
三澤乃梨子「あはは、そうなの、うちの家事も昔からあの子が────」
三澤乃梨子「あっ、いや、休みの日は あたしもやってるんだけどね、もちろん！」
三澤乃梨子「でもそう・・・あの気難しいはるかが・・・」
三澤乃梨子「そっか、アイツがいたわね・・・ それならいけるかも・・・」
緑川「乃梨子さん？」
三澤乃梨子「うふふ・・・ うんうん、それならなんとか──」
三澤乃梨子「ねえ、緑川くん」
緑川「はい、なんでしょう？」
三澤乃梨子「お願いがあるんだけど ちょっと協力してもらえない？」