俺の青春が今始まる

名乗る程の者でもない

第1章 第6巻(脚本)

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〇電車の座席
山田 総一朗(京ちゃんから返事が来ないなぁ──)
  俺は朝から彼女のことで頭がいっぱいだった。まだ一度しか会ったことがないのに。
山田 総一朗(とりあえずもう一通、 メッセージを送ってみよう)
山田 総一朗「『おはよう!忙しいのかな?返事待ってるね』」
  にやけ面を必死に隠しながら、他のメッセージを見ることにした。
山田 総一朗(ん~、可愛い子はたくさんいるけど、俺はもう京ちゃん一筋なんだよなぁ──)
山田 総一朗(え?!なんだこれ──?)
  例のAIちゃんから3通ほど、メッセージがきていた。返事することすら忘れていたのに。
影野 華「『変なこと言ってごめんなさい』 『何度も連絡しちゃってごめんなさい』 『返事がほしいです、お願いします』」
  相変わらず、他の女性とは確実に何かが違う子だ。少し気味の悪さすら覚える──
山田 総一朗(でもマメに連絡を取ることがモテるコツって今川が言ってたし、とりあえず返事をしよう)
山田 総一朗「『変なこと言うなぁ、とは思ったけどメッセージに気付かなくて』 『こちらこそ返事が遅くなっちゃってごめんね』」
山田 総一朗(とりあえずこれで送信しよう。 そろそろ会社に着くし、また後で今川に相談してみるか──)
  俺は電車を降りて、会社へ向かった。

〇異世界のオフィスフロア
山田 総一朗「いやそれがさ。京ちゃんって子で、 めちゃくちゃ可愛いし──」
  今川に京ちゃんの良さについてマンシンガントークをかましていた。
今川 隆太「俺の大切なお昼休みが、山ちんの惚気話で消えていく・・・」
今川 隆太「でも、まだ一回しか会ってないんでしょ? もっと連絡取り合ったりして、次のデートに誘わなきゃ──」
山田 総一朗「一応連絡先はメッセージで送ったんだけど、返事が返ってこないんだよね・・・」
山田 総一朗「でもほら、忙しいんだろうし一応今日の朝も送ったからすぐ来ると思うんだ──」
今川 隆太「根拠は?」
山田 総一朗「だってこの間会ったとき、京ちゃんもすごく楽しそうだったしお互い気が合う!って感じだったからさ」
今川 隆太「その気があるなら、メッセージどころかメールして来ると思うんだけどな」
今川 隆太「とりあえず今はあまりしつこく連絡しない方がいいよ」
今川 隆太「もし自分が忙しかったりして、返事できないのにたくさん連絡きてたらびっくりするでしょ?」
今川 隆太「本当に忙しければいいんだけど── とりあえずその子は置いといて・・・」
今川 隆太「AIちゃんはどうなったの?」
  返事をし忘れていて、メッセージが何通か来ていたことを話した。
今川 隆太「へー。 とりあえず昼休み終わるし、仕事戻るね。 最後にこれだけ!」
今川 隆太「自分がされて嫌なことを相手にしていたら、絶対にモテないよ。 ってことでまたねー!」
山田 総一朗「うーん?よく分からないけど、京ちゃんから連絡こないのがまた不安になってきた」
  俺は昼ご飯を半分ほど残して、憂鬱な気分でデスクへ戻った。

〇一人部屋
山田 総一朗「京ちゃんから返事こないなぁ」
  朝からずっとそのことばかり考えてしまう。
山田 総一朗「もしかして事故とか?!え、大丈夫かな?!」
山田 総一朗「京ちゃん、こんばんは。 返事ないけど、事故とかじゃないよね? 不安なんで連絡ください」
  5分後くらいに確認したら返事が来ていた。
  メッセージを開いたら、こう綴られていた。
菜花 京子「ごめんね。実は彼氏いるんだ。 ちょっと興味本位でやってただけなの。 彼氏にばれたくないし、もう退会します。 さようなら」
  俺の頭が真っ白になった。
  理解すら出来ない。
  あの日の楽しそうな笑顔は、あの日の幸せな時間は全て夢だったんだ。
  自分の中の何かが少し壊れた気がした。
  俺ももう退会しよう。諦めが肝心っていうしな──
  そう思い、最後のつもりでマッチングアプリを開いたら・・・
影野 華「返事くれてすごく嬉しいです。 もっとたくさんお話ししたいのでよかったらメールしませんか? アドレスは──」
  こうして、俺の青春始まった。

次のエピソード:第2章 第1巻

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