帯刀令

貴志砂印

第一話(脚本)

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〇SHIBUYA109
  今と何も変わらない世界。
  人々はスクランブル交差点で、人とぶつかることなく、器用に歩みを進める。
  どこに行くかなど、誰にもわからないし、
  きっと誰も興味もないのだろう。
  今と何も変わらない日常。
  
  ただ1つ。
  街を歩く人の中に『帯刀』している者がいることを除いては・・・・・・。
追掛ひとみ「来ました! 大都会東京! 若者の街!渋谷!」
追掛ひとみ「見つけたぞ!ハチ公! 見つけたぞ!マルキュー!」
追掛ひとみ「本物だ! ぜーんぶ、本物だぁ!」
追掛ひとみ「ヤバい! 都会だ!!都会だぁぁ!!」
  散々、騒ぎ散らし、ようやく落ち着いたのか、周囲の人をじっくりと見ていた。
追掛ひとみ(都会でも、帯刀してる人もいるんだな・・・)
追掛ひとみ(てっきり、都会で帯刀してる人・・・つまり『侍』は珍しがられるとすら思ってたのに・・・)
追掛ひとみ(ちょっと、安心した・・・)
  ひとみは、周囲の人の中で、帯刀してる人を目で追っていた。
追掛ひとみ(うわ・・・あれ、鞘とかデコレーションしてる。 ヤバい・・・実在したんだ)
追掛ひとみ(雑誌とかテレビだけのことだと思ってたのに・・・。 流行ってるのかな?)
追掛ひとみ「くぅぅ・・・」
追掛ひとみ「東京!やばーーーい!」
小林謙三「何を騒いでるんだ? ひとみクン」
追掛ひとみ「うわ! 小林さん!!」
追掛ひとみ「来てたんですね!」
小林謙三「そりゃ・・・・・・キミと待ち合わせしてたからね」
追掛ひとみ「ですよね」
小林謙三「それで、どうだい? 初めての東京は?」
追掛ひとみ「そりゃ、もう・・・」
追掛ひとみ「ヤバいです!」
小林謙三「いや、もっと具体的に言えないかな?」
追掛ひとみ「・・・そっ、そうですね! 雑誌とかSNSとかで都会の帯刀率の情報は何となく知ってたのですが・・・」
追掛ひとみ「実際に見てみると、こんなに多いのかって、何とも表現に困る状態でした」
小林謙三「そうか。そうか。 でも、それを言葉にして表現するのが、ひとみクンの仕事だからね」
小林謙三「忘れないように」
追掛ひとみ「あ、はい。 で、で、ですよねー」
小林謙三「ただ、都内の帯刀率は、30年前と比べても、圧倒的に増えているのは事実さ」
追掛ひとみ「30年前・・・私! 産まれてないです!」
小林謙三「うう。30年前・・・産まれてない。 俺にとっては、少し前なのに、最早、昔話として語らないとダメか・・・」
追掛ひとみ「あ、いや、そーゆー意味ではなくて」
小林謙三「分かってるさ。 ちょっとしたジェネレーションギャップに、立ち眩みを通り越して、昇天しかけたとこだ」
小林謙三「まぁ、それはそれとして。 時代は変わったんだよ」
小林謙三「刀にストラップを付け、鞘をデコレーションして、今じゃファッションの一部さ」
追掛ひとみ「あれ。 カワイイですよね」
小林謙三「まぁ、俺よりも歳上の人達は、なんと感じてるのか気になる所だがね。 ははは」
追掛ひとみ「帯刀してる人が増えたのって・・・・・・」
小林謙三「まぁ、理由はイロイロあるさ。 取り敢えず、渋谷見学をしながら話そうと思うよ」
追掛ひとみ「はい!!」
小林謙三「まぁ、先ずはアレの話からか・・・・・・」
追掛ひとみ「あっ・・・・・・」
追掛ひとみ「聖剣・・・・・・ですよね」
  つづく

次のエピソード:第二話

コメント

  • 帯刀習慣が時代と共に変化しているの面白いです😆
    バトル or コメディ、はたまた両方なのか...
    いずれにせよ大作の予感しかないです🌟

  • 何と言うパラレルワールド‥
    血と武器が苦手な私には
    超行きたくない世界だわ‥
    (でも戦う男好き‥❤️)😘

  • 自分以外の誰かが帯刀していたら怖くて仕方ないけど、自分が帯刀していたら、それだけで強い気持ちで居られそうな気がするので、少し憧れちゃいます🤩

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