エピソード4 ようこそマーブルへ?(脚本)
〇綺麗な病室
鈴はスヤスヤ寝てしまった。
その様子を見てメアリーは...
メアリー「この子、ある意味大物ですね」
ジャン「おい、アラム!!お前がこんな奴を連れてきたからますますややこしいことになったじゃないか!!」
大きな声でジャンが怒るとメアリーが人差し指を口元にして静寂のジェスチャーをした。
すると 恥ずかしそうにジャンは黙った。
アラム「「だってあのまま日本に帰すのも手続きややこしくなるしーあのお方が連れてきてokって言ったから連れてきたんだよ...」
アラム「...と言うかジャンも俺をここに連れてきたんだから責められる筋合い無いと思うけど?」
アラムがほっぺを膨らませて抗議をする
ジャン「...確かにあのお方ならしかたがないなぁ」
ジャンは諦めた顔をした。
メアリー「ところで、ご飯どうしますか?ワタクシ特製の雑草の恵みランチにしますか?」
メアリーが提案するとジャンは目をキラキラと輝かせて
ジャン「いいですね!メアリーさんの手作りご飯最高ですから!」
するとメアリーは嬉しそうに微笑んだ。
反面、アラムはサーッと顔色を青ざめた。
アラム「(マズイ、マズイ、マズイ、このままじゃ俺も鈴ちゃんも危ない)」
アラム「いや~今日から鈴ちゃん来るから口に合う日本食がいいんじゃないかな?俺アボカドずし作りたいから!」
メアリー「そうですか...なら今日のご飯はアラムさんで」
アラム「(嗚呼、良かった、命拾いをした)」
アラムが内心ホッとしていると再び二度寝から目覚めた少女がビックリした顔でこちらを見ていた。
彼女がパニックになるにはそう時間がかからなかった。
猫萩 鈴(ネコハギ スズ)「えぇぇぇぇ!?ゆ、夢じゃなかったの!?」
アラムはちょっとおどけた表情をして何かを思いついたのか鈴の横の大きな窓の閉まってるカーテンを開けた。
〇未来の都会
そこには空飛ぶ車や華やかなイルミネーションが見えた。建物の文字は英語や中国語らしき文字がほとんどで異国の雰囲気を感じた。
鈴はこの光景を見て今まで憧れていた『非日常』を実感して胸の奥がドキドキして熱くなってきた。
アラム「どう?すごいでしょ!案外ここも住めば都だよ」
アラムは気遣いのつもりなのかミネラルウォーターをコップに注いで鈴に渡した。
猫萩 鈴(ネコハギ スズ)「うん!不安もあるけど楽しいかもしれない!」
鈴はもらったミネラルウォーターを一気に飲んだ。
...だが
猫萩 鈴(ネコハギ スズ)「!?...に、苦手ぁーーーい!!!なにこれ?しょ...消毒液?」
鈴の様子を見て心底驚いた顔をアラムはしていたのでどうやらイタズラではなかったようである。
アラムは注いだペットボトルの水を別のコップに注いで飲んだが困惑気味でこう答えた。
アラム「え?消毒液...?確かに日本の水はすごく美味しかったけど...確かにこっちの水は苦味あるよ ね...ははは」
アラムはショボンとした顔をして水をチビチビ飲んでいた。
それを見て鈴は同情したのか注いでくれた水を飲もうと思って飲んだ。
猫萩 鈴(ネコハギ スズ)「ごめんね...せっかくコップに注いでくれたのにひどいこと言っちゃって。コップの残りは最後まで飲むから元気出してよ...」
その二人が哀れに思ったのかジャンは
ジャン「なんかあいつら可哀想ですから菓子でも買ってきますね。すいませんが少しの間アラム達の面倒見てやってください」
と言い残し部屋を出て行った。
メアリー「(ジャンさん...確かジャンさんの妹が作ったギリギリ合法な水ですよねアレ)」
メアリー「(あの水、日本語だけど原産国はマーブルで漢方薬が入ってる...品質表示は偽って無いので問題はなくリピーターがいるらしい)」
メアリー「(でも妹さんの商売は恥ずかしいからって必死に回収していましたね...ワタクシも節水になりそうだと飲んだことありますが)」
メアリー「(...全く苦くておいしく無かったですよ。控えめに言ってリピーターしてる方は気が狂ってるとしか思えません。)」
鈴は口を押さえながら何とかマーブル産の苦い漢方薬入りミネラルウオーターを飲み干した。
鈴は(...意外と日本って恵まれてるんだなぁ) と内心思い、このマーブルの生活に期待と一抹の不安を抱えるのだった。