第7話 コウルの修行!(脚本)
〇空
エイリーン「船とは違う景色ですね」
コウル「うん。 あと、ポムってこんなに速く飛べるんだ!」
ポム「ポムー!」
〇海辺
エイリーン「ありがとうございます。 ポムさん」
ポム「ポムポム!」
エイリーン「またいつか、会いに行きたいですね」
コウル「そうだね。 カーズを止めて、 機会があればまた行こう」
〇寂れた村
コウル「えっと・・・ 地図だと迷いの森はこの近くだ」
コウル「この村で情報収集しよう」
エイリーン「はい」
村人「迷いの森?」
村人「ああ、あの森か。 迷いの森というか、追い出されるんだよ」
コウル「追い出される?」
村人「そう。 どっちに行っても追い出されるように この村の方に出ちまう」
村人「迷いはしないが、 気づいたらこの村だ」
村人「行くっていうなら止めはしないが、 無駄足だと思うぜ?」
コウル「みんなだいたい同じだね」
エイリーン「ええ、戻されると・・・」
コウル「とりあえず行ってみる?」
〇森の中
コウル「ここだね・・・。 行ってみよう」
コウル「あれ・・・?」
エイリーン「あ・・・」
コウル「さっきの村が見える。 戻ったんだ」
エイリーン「どうします?」
コウル「よくある手だけど、 目印をつけてみよう」
コウル「・・・あ」
エイリーン「戻ってきました」
コウル「目印はつけたから今度は・・・ あれ?」
エイリーン「どうしました?」
コウル「さっきこの木に目印をつけたはずなのに」
エイリーン「ありませんね・・・」
コウル「一度、村に戻って考える?」
エイリーン「そういえば、 ジン様は何か残していませんか?」
コウル「ジンさん・・・」
コウル「えっと・・・うん?」
コウル「これだ。 『迷いの森で彼に会うならば、 魔力を高めた状態で入ること』」
エイリーン「魔力を高めるということは・・・」
コウル「戦うときをイメージするってことかな」
「・・・」
コウル「・・・あ!」
〇森の中の小屋
コウル「ここが・・・」
???「来たか・・・」
コウル「あなたは・・・」
エイリーン(何でしょう。 この感じ・・・?)
コウル「えっと・・・ はじめまして、コウルといいます」
エイリーン「エイリーン・・・です」
リヴェル「俺は『リヴェナール』 『リヴェル』でいい」
リヴェル「来い」
コウル「あ、はい」
〇暖炉のある小屋
リヴェル「さて、コウル」
リヴェル「マスターに何と言われてきた?」
コウル「ここに来れば力が手に入ると・・・」
リヴェル「ふう・・・。 そんな簡単なわけないだろう」
コウル「えっ!?」
リヴェル「勘違いするな。 簡単には、と言っただけだ。 力は手に入る」
リヴェルが魔方陣を出すと、
そこに光の扉が現れる。
コウル「これは・・・」
リヴェル「修行だ。 この扉をくぐり、またここに戻ってこい」
コウル「修行かあ・・・」
リヴェル「そんな簡単に力が手に入るわけないだろう」
リヴェル「最初から万能、 最初から最強、 そんなのは神だけだ」
コウル「あなたやマスターさんでも?」
リヴェル「そうだ」
コウル「わかりました。いきます」
エイリーン「わたしも──」
リヴェル「ダメだ」
リヴェル「これはコウルを鍛える場所だ」
リヴェル「きみは『神の塔』まで待つんだな」
エイリーン「・・・わかりました」
コウル「大丈夫だよ。エイリーンさん」
コウル「いってくる」
エイリーン「気をつけて・・・」
エイリーン「・・・」
リヴェル「・・・」
エイリーン「リヴェル様。 貴方は何者なんですか?」
リヴェル「!」
〇雪山
コウル「どこ、ここ」
コウル「修行って、ここで何を・・・」
コウル「右・・・。 あっちか・・・」
コウル「上・・・。 うえ?」
コウル「この崖を登るの・・・?」
コウル「・・・いくしかない」
コウル(ジンさんが以前言ってた)
コウル(魔力を上手くコントロールすれば 力を入れるみたいに操れるって!)
コウル「はあはあ・・・これで!」
看板と目前の景色に、
コウルは溜息をついた。
コウル「まだ最初かあ・・・」
〇暖炉のある小屋
エイリーン「リヴェル様。 貴方は何者ですか」
リヴェル「・・・何者とは?」
エイリーン「記憶はまだ完全には戻っていませんが、 今のわたしにもわかることがあります」
エイリーン「それは人の魔力」
エイリーン「何故、貴方とコウル様の魔力は 全く同じなのですか?」
リヴェル「・・・」
エイリーン「教えて・・・くれませんか?」
リヴェル「・・・はあ」
リヴェル「その瞳には弱いんだよなあ・・・」
その声は、少年のような声だった。
〇闘技場
コウル「はあはあ・・・」
コウル「ここが最後?」
コウル「これは・・・!」
コウル「僕の・・・影?」
コウル「っ!」
コウル(これと戦えってことか!)
コウル「なら!」
コウル(魔力を手足に集中!)
影「!?」
コウル「ここだ!」
コウル「・・・これで、終わりかな」
〇暖炉のある小屋
リヴェル「──という訳だ」
エイリーン「そんな・・・」
リヴェル「この話、コウルには秘密だ。 本当はきみにもする気はなかったんだがな」
エイリーン「・・・」
リヴェル「それより、 帰ってきたようだぞ」
エイリーン「!」
コウル「ただいま」
コウル「・・・どうしたの?」
エイリーン「い、いえ、何でもないです」
コウル「・・・?」
リヴェル「思ったより早かったな」
コウル「そうですか?」
リヴェル「魔力の巡らせ方がわかってきたようだ」
コウル「はい」
リヴェル「よし。最後の試験だ」
コウル「えっ」
〇森の中の小屋
リヴェル「最後の試練は、 俺から一本取ることだ」
コウル「・・・いきます」
リヴェル「いい速さになった。 だがまたまだ!」
コウル「ぐっ・・・!」
リヴェル「お前の動きはまだまだ正直すぎる。 もっと卑怯になれ!」
コウル「!」
コウルは回り込むように跳躍する。
リヴェル「その動きは読めて── っ!」
コウルは跳躍しつつ、木刀を投げていた。
投げた木刀が、リヴェルの顔を掠める。
コウル「これでも、いいですよね?」
リヴェル「ああ、そうだな」
〇森の中
コウル「ありがとうございました」
リヴェル「ああ、次は神の塔だな」
コウル「はい」
エイリーン「・・・行ってきます」
リヴェル「・・・」
リヴェル「コウル。 エイリーンをきちんと守れよ」
リヴェル「俺のようになるな・・・」