ジビエの姫

山本律磨

ロック・ユー!(脚本)

ジビエの姫

山本律磨

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〇ライブハウスのステージ
  『オーーーーーーケーーーーーーーッ!』
  『PRINCESS GIBIER!』
  『カーーーーーーマーーーーーーン!』
綾「・・・」
綾(ここって・・・)
綾(消防法の許可取ってるのかな?)
  (※)この物語はフィクションです
  (※)あくまでもイメージ映像です
綾(ああ・・・)
綾(耳いたい・・・)

〇ライブハウスの入口
  大神姫子ジビエライブ
  『乙女華麗~OTUKAREI~』

〇ライブハウスのステージ
DJ・MOO「ヘイへーイ!」
DJ・MOO「姫のライブといえば毎回フリードリンク、フリーフードがデフォなんだけど」
姫子「イソベもありますことよ」
DJ・MOO「今日の肉って全部猪とか鹿なんでしょ? やっぱ姫のSHOTでオッケー?」
姫子「勿論」
姫子「東北産ですわ」
DJ・MOO「お取り寄せかい!」
姫子「突っ込む所じゃなくてよ」
姫子「いくら狩りをしても需要がなければ先細りになるもの」
姫子「それはつまりこの町が害獣に興味を持ってない証拠」
姫子「ここは大都会じゃなんだから、今に猪や鹿に侵略されてしまいますことよ」
DJ・MOO「そりゃなかなかナイスな未来だぜ」
姫子「通り魔ならぬ通り猪に」
姫子「ド―――――――――――――ン!」
DJ・MOO「・・・!」
姫子「なんてこともあるかも」
姫子「例えば下校中の通学路・・・」
姫子「お子さん、小学校入ったばかりでしたっけ」
DJ・MOO「・・・!」

〇田舎の公園
MOO・Jr「パパ~!モヒカンかっこい~!」

〇ライブハウスのステージ
DJ・MOO「それは一大事ですね」
姫子「ご理解頂けて何よりですわ」
「し、質問よろしいですか?」
姫子「はい、そこのベリーショートな貴女」
綾「先細りと仰られましたが」
綾「それは猟師の不足や高齢化・・・」
綾「あと・・・新人や女性軽視なども関係してると思われますか?」
姫子「・・・」
DJ・MOO「ううう・・・マコト。明日から送り迎えの回数増やしてやるからな」
姫子「泣くのなら袖に行ってもらえます?」
DJ・MOO「ちょっと家に電話してきます」
姫子「確かに人為的解決法で言えば過疎化による農村の荒廃より、職人的因習の改革が先決かもしれませんわね」
姫子「ところで貴女は?」
綾「わ、私は!」
綾「あ、すみません。ちょっと電話してきます」
姫子「・・・」
姫子「電源!」

〇ライブハウスの入口
綾「・・・そうなんだ」
綾「分かった。すぐ事務所に戻るから」
綾「いいよ、関係ない」
綾「私たちの『あるてみす』・・・でしょ」

〇SNSの画面
  『賛否両論!Y町の射撃町長の獲物自慢と時代錯誤の残虐狩猟接待!』

〇事務所
綾「何が賛否両論よ!一部の人間が勝手に否を作り出してるだけじゃない!」
綾「・・・ってバレるのも時間の問題よ。今の時代ノイジーマイノリティーなんてすぐに暴露されるんだから」
梶「その『すぐ』までの時間が問題なんだ」
梶「見ろよ」
綾「・・・」

〇豪華なリビングダイニング
ややこしい男「はいそういうわけで、こないだは変な女に邪魔されて配信中断されちゃいましたけど」
ややこしい男「俺も本当、マジムカついてますから」
ややこしい男「山に住んでる罪のない友達をバンバン撃ち殺してお祭りで振る舞うなんて狂ってるし」
ややこしい男「そういう凶暴な文化に加担する如何わしいNPOもマジでクソなんで」
ややこしい男「そういうの、これからも徹底的に抗議して晒してくんでね」
ややこしい男「というわけで、これからもイイネとチャンネル登録の方宜しくお願いいたし~」
ややこしい男「~まっす!」

〇事務所
綾「バカじゃないの!」
綾「そんなに大事な宇宙船地球号のお友達を守りたいなら、ミミズもオケラもゴキブリもガードしろって話よ!」
梶「そんなレスバ想定内だよ。アイツらは炎上が飯の種なんだから」
梶「来年の今頃は別の何かに噛みついてるさ」
綾「だったら問題なんて」
梶「問題なんだよ」
梶「ネット耐性のない田舎の高齢者にはね」
綾「・・・町長か」
梶「怒りと怯えで思考が停止しちまっててさ」
綾「私は反対したよ」
綾「今のご時世、獲物と2ショットキメて飾るなんて」
梶「そんな配慮、あの世代には無理だ」
梶「そのくせ大事になったら、テンパってキレ散らかすんだから始末に負えないよ」
綾「・・・」
綾「分かった。私が説明する」
綾「炎上なんてすぐに消えるって」
綾「それ以上に、狩猟に対する理解はちゃんと進んでるんだから!むしろこれから叩かれるのはアニマルなんちゃらだって!」
梶「悪いな、いつも面倒かけて」
綾「全然」
綾「梶君は代表なんだからドンと構えてて」
綾「では、いきます!」

〇黒
  『もしもし。夜分遅くすみません』
  『あるてみすの乾です』
  『はい。この度は私の軽率な行動で町長にご迷惑を・・・』

〇事務所
綾「ふう・・・やっと落ち着いてくれた」
綾「ありがと」
梶「こっちの台詞だよ」
梶「いつも面倒ばっかかけて悪い」
綾「いいって」
綾「広報だもん。これくらいの調略、余裕余裕」
梶「流石、あるてみすの裏ボス」
綾「言い方!」
梶「ところで姫のライブどうだった?」
綾「う~ん。音楽とか正直よく分かんないけどとにかく凄いお客さんだった」
綾「こんな小さな町であれだけの若い人が集まるんだから、彼女の人気は本物ね」
梶「狩りガールのパイオニア、ジビエの姫か」
綾「やっぱり協力してもらおうよ」
梶「でもなあ・・・」
綾「猟友会、でしょ」
梶「仲、相当悪いんだろ」
綾「私が取り持つ。そのために入会してるんだから」
綾「それに宍倉会長ならきっと話せば分かってくれるはず」
梶「それも調略?」
綾「調略」
梶「さすが天才軍師」
綾「裏ボスで天才軍師か~」
綾「他には?」
梶「・・・」
梶「聞きたい?」
綾「・・・」

〇事務所
  Tobe・・・

次のエピソード:エンジョイ!

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