それを知ってるのは私だけ 

名も無き者

エピソード0 2(脚本)

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〇華やかな広場
ラヴィ「はぁ・・・」
ラヴィ「寝ようとすると頭に本が出てきて読めって言ってくる・・・ 流石に夢の中でも本を読みたくはないわ・・・」
ラヴィ「でも捉え方を変えれると、夢の中でなら残りの4冊を読めるって事なのよね」
ラヴィ「・・・」
ラヴィ「・・・流石にまだ早いわね・・・夜更かしはお母さん達を困らせちゃうからね・・・」
ラヴィ「・・・今いる世界は前回と同じ世界」
ラヴィ「生まれ育った家も、家族も同じ」
ラヴィ「でも違いはあるわ。顔合わせの事もね」
ラヴィ「・・・」
ラヴィ「やっぱり【転生】じゃなくて、【逆行】なのは確定ね」
ラヴィ「この時点で違いがあるって事は、真実を知った私への処罰って事かしら」
ラヴィ「真実を知ったお前を前回と同じ世界には入れないって・・・」
ラヴィ「・・・」
ラヴィ「はぁ・・・」
  ラヴィはポケットから宝石を取り出した
  【アーバンの瞳】
  生まれたジェドの手に握られていた宝石 
  出産した時には無かったらしい
  この世界には時々、生まながらに宝石を持って生まれてくる子供がいる
  また、ジェドのように生まれてからしばらく経った後に手に握られていたという事もある
  その名も【妖精の涙】
  妖精が命の誕生に感動し、思わず涙を落とした事によって出来た宝石だと言われてる
  この宝石はアガット【瑪瑙《めのう》】
  縞模様が特徴だが、妖精の涙の事もありダイヤモンドのような透明な宝石になってる
  目には見えぬ細さの透明な縞模様がある・・・触ってもわからない、光に当てると縞模様が見えるそうだ
ラヴィ「これはジェドさんのお父様、シエル公爵様から贈られたモノ」
ラヴィ「結婚したら彼に返してくれって・・・」
ラヴィ「前回は何事もなく無事に返せたけど、今回はそうはいかないわ・・・」
ラヴィ「この顔合わせで解決すれば良いのに・・・」
ラヴィ「なにより、この宝石を持ってる事自体がシエル公爵家と繋がってる証拠なのよね」
ラヴィ「私が持ってちゃいけないモノ・・・」
ラヴィ「失くしたり壊したりしたら大変・・・」
ラヴィ「絶対に返さなくちゃ」
ラヴィ「そして・・・」
ラヴィ「・・・消えなくちゃ・・・」
  ラヴィは宝石をポケットにしまい部屋に戻って行った

〇幻想空間
  私達の結婚は、生まれる前から決まってた
  親・・・お互いの母親が親友で、父親も仲が良かった
  私達の結婚は・・・その時に決まってしまった
  母ヨルは男爵令嬢、お義母様『ヨナ』様は隣国の公爵令嬢だった
  幼い頃、一時的にこちらの国に来たヨナ様は、爵位が高かったせいか友達が一人もいなかったそうだ
  でも、母ヨルだけは違った
  爵位も自分より高い事を母は一切気にせずヨナ様に接した。
  ヨナ様のたった一人の友、そして親友となった・・・
  そして、それぞれが成長しヨナ様は隣国に戻り公爵様と結婚した。
  それでも、彼女達の仲は変わらなかった
  美しい友情に、国も爵位も関係ない・・・誰も彼女達の仲は引き裂けない
  父フィヨルグとシエル公爵様こと『ラカーシュ』様も似たもので、学生時代からの仲
  魔法に優れ王宮魔術師である父と隣国の公爵であり騎士であるラカーシュ様
  学生時代の二人は友であり
  トップを競う者同士 『ライバル』だったようだ
  こんなに仲良いのに、私の両親は一体何を恐れてるのだろう・・・
  ・・・仲が良いという事は、衝突もあったという事だ
  ・・・私達の結婚を提案したのヨナ様だ
  『お互いの子供を結婚させよう』
  彼女はそう言った・・・
  ヨナ様は欲しいと思ったモノは必ず手に入れ、あぁしたい、こうしたいと望めば叶うまで実行する・・・
  だが、対照的に心配性で色々と勘が鋭い母は彼女止めた。行動を阻止したり、時には反論して衝突した
  それは子供の自由を奪う行為そのものだと、子供の未来を奪ってはいけないと・・・
  もちろんヨナ様も悪意があって言った訳ではない
  純粋な気持ち言ったのだ・・・
  しかし純粋な気持ちで発言したとは言え、それは良くないと何度も母親に反対された
  しかし負けじとヨナ様も反論した。権力を使って脅したり攻撃したりした。
  ・・・権力を使われてしまったらこちらに勝ち目はない・・・
  そして母はその提案に乗ってしまった・・・
  そして今、その結婚が実現しようとしてる事に母は酷く怯えている・・・
  だから『弱くて否定出来なかった』『ごめんね』と何度も謝罪してるのだ
  権力を使われても、もっと抗えば良かったと・・・後悔してるのだ
  ・・・それは父も同じ・・・
  なぜ勝てないか・・・それは
  ヨナ様は隣国の王族で、王弟の娘だ
  彼は王位継承権を持っていたが手放し隣国の公爵となった。だから彼女は公爵令嬢なのだ
  隣国の王族と問題を作ったら大変だ・・・
  勝ち目の無い戦いはこちらが苦しむだけだ・・・
  両親だけでない、ラカーシュ様も最初は反対した
  しかし公爵とは言え、立場等はヨナ様の方が上
  夫であるラカーシュ様でもダメだった・・・
  そして・・・
  私達が生まれた・・・
  でも・・・
  ・・・それがいけなかった・・・
  ・・・彼を傷つけてしまった・・・
  ・・・私だったのがいけなかった・・・

〇黒背景
  とても長いです!
  時間に余裕がある時に読むことをオススメします
  ラヴィの夢
  閲覧注意!
  ・・・彼との関係を先に壊したのは私だった・・・
  あの小説の最後に書かれてた通り、私は学園を卒業した後ジェドさんと結婚した
  毎日がとても楽しくて幸せだった
  お義父様もお義母様も、私を実の娘のようにしてくれた
  でも・・・
  そんな幸せな日々はある日を境に消えてしまった・・・
  その日、私は彼の忘れ物を届ける為に王城を訪れた。
  この日の彼は王城にいた。
  でもあんな思いをするなら行かなければ良かった
ラヴィアリス「えっと、確かこの辺りだったはず・・・」
???「あら?もしかして『シエル』夫人?」
ラヴィアリス「えっ?」
  胸元が派手に空いた赤いドレスに大粒なジュエルのアクセサリー、金髪に桃色の瞳、整った顔立ちをした美しい女性だった
  美しいけど、昼間から露出の多い格好はふしだらだ・・・
  それに女性は扇子で口元を隠している
  明らかに私を下に見てるような目付き、扇子の裏で笑っているのだろう・・・
ラヴィアリス「はい・・・『ラヴィアリス=シエル』ですが?」
ダンゼル令嬢「お会いできて光栄ですわ わたくし『ダンゼル』侯爵家の者ですの」
ラヴィアリス(ダンゼル侯爵家?)
ラヴィアリス「こちらそこ光栄です」
ダンゼル令嬢「フフッ ところで夫人はどうして城に?」
ラヴィアリス「ジェドさ、いえ主人の忘れ物を届けに」
ダンゼル令嬢「へぇ~?」
  ダンゼル令嬢は扇子をパタンと閉じて近づいてきた
  目の前まで来ると、彼女はニヤニヤとラヴィアリスをバカにしたような喋り方をした
ダンゼル令嬢「まさかここまでの無知だったとわ~」
ダンゼル令嬢「あぁそうだっわ、シエル公爵様には《いつも》夜会で良くしてもらってます~」
ラヴィアリス「・・・はぁ?・・・」
ダンゼル令嬢「あら?旦那様から何も聞いてませんの?公爵様にはパーティーや夜会でエスコートしていただいてるのよ~」
ラヴィアリス「何を言ってるのか・・・わかりません」
  確かにジェドさんは外出が多いわ
  それも騎士としてのお仕事をしてるからお屋敷にいない日も多いけど・・・
ダンゼル令嬢「まだわかりませんの!貴女はシエル公爵様の隣に立つ者として相応しくありませんの!」
ダンゼル令嬢「このわたくしこそ!シエル公爵、いえジェド様の妻に相応しいの!」
ダンゼル令嬢「そう、この間も素晴らしい夜を共にしましたの」
ラヴィアリス「っ!・・・」
  頬を赤らめ勝ち誇った顔で私を見るダンゼル令嬢
  要するに・・・そういう関係なのだと言ってきたのだ・・・
  信じられない事を聞いて驚きを隠せなかった
  彼とは既に夫婦のあれこれは果たしている。4年経っても子供はいなかった。
  それでも幸せだったから不安は無かった
  でもそれは私だけが感じていただけだったの?・・・
  息が上手く出来ない
  嘘だと思いたい、信じたくない・・・冗談であってほしい
  確かに私には相応しくないって自覚はあった。知らない人に言われるよりも前からね
ラヴィアリス「嘘ですよね?冗談はやめてください」
ダンゼル令嬢「なんですの!まさか次期公爵夫人となるこのわたくしに指示するき!生意気!」
  もう公爵夫人になるつもりのようだ・・・恐ろしい・・・
  落ち着いて、彼女は自称愛人
  彼が私を裏切り愛人を作るなんて、とても信じられなかった・・・信じたくもない
ダンゼル令嬢「ふん!まぁ良いですわ」
ダンゼル令嬢「ジェド様ご本人に聞けば全てわかりますから。伯爵令嬢風情が侯爵家を出し抜いて公爵夫人になるなんて図々しい!」
ダンゼル令嬢「もう一度言います!貴女は相応しくありません!このわたくしこそ!彼の妻に相応しいの!」
ラヴィアリス「・・・」
  不思議と涙は流れなかった、まだ本当の事だと確定した訳じゃない・・・
  でも言い返す気持ちにもならない、否定しないといけないけど・・・相応しくないのは事実・・・
  何も言わない私を見てダンゼル令嬢は再び扇子を開いて口元を隠した
ダンゼル令嬢「立場を考えなさい。それとジェド様に近づかないで、彼はわたくしのモノよ!!」
  そう言って彼女の横を通りすぎて行った
ラヴィアリス「・・・」
  忘れ物を届けに来ただけなのに
  ジェドさんはモノじゃない、浮気もしない、私に愛してるって言ってくれたのに
  私は彼に直接渡すつもりだった忘れ物を女性騎士に渡して城を去った
  そう言えば愛人を名乗る彼女に言われた後だったわね・・・
  私とジェドさんの関係が完全に壊れたのは《あの日》だった。
  でも結構前から壊れていた・・・私が原因で
  愛人を自称するダンゼル令嬢にジェドとの事を自慢げに言われ、ラヴィアリスの精神は壊れかけた・・・
  あの令嬢は本人に聞けば全てわかると言ってきたが、聞くにも気にもなれない、ジェドさんは何も言ってこない・・・
  浮気をすると人は変わると言われるけど、変化は見つけられなかった・・・
  でもある日・・・私達の関係は一気に壊れた・・・
  その日の夕方、いつもより早めに屋敷に帰ってきた彼、その表情は怒りに満ちていた・・・
  この日は私達の結婚記念日・・・
  どうしてそんな冷たい目で私を見るの?
  どうして・・・どうしてそんな怖い顔をしてるの・・・
  玄関で出迎えたのだが、彼は冷たい目で私を睨み、私を無視して自室に戻って行った・・・
  毎日共に食事をしていたのに・・・私を避けるように自室で食べたり、顔を合わせる時間も減ってしまった・・・
  最初は仕事での疲れ、ストレスが原因かと誰もが思った。
  私も使用人達、公爵夫妻も・・・
  でも違った・・・

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