エピソード0 3(脚本)
〇綺麗な部屋
ラヴィ「・・・」
ラヴィ「夢も目覚めも最悪だわ・・・」
ラヴィ「そうよね あの世界で小説を読んでからそんなに経ってない・・・」
ラヴィ「文字通り『昨日のこと』なのよね・・・」
ラヴィ「そう簡単には頭から失くならないわ・・・」
ラヴィ「はぁ・・・.」
ラヴィ(この喋り方も良くないわ たぶんお母さんは気づいてる。お母さんとお父さんの前では出来るだけ子供っぽく喋ろう)
家には使用人はいない。貧しかったから雇うことも出来なかった
ラヴィ「・・・」
彼と会う日は近い、いい加減腹を括らなくては
ラヴィ「・・・会ってみたいって言っちゃった以上はジェドさんに会わなくちゃ 会って婚約を解消してもらおう」
ラヴィ「そして」
これを返さなくちゃ・・・
・・・
ラヴィ「・・・私が持ってちゃいけないモノ・・・」
ラヴィ「そうよ・・・持ってちゃダメ・・・」
〇山道
数日後
シエル公爵家との『顔合わせ』当日
ラヴィ(ホント・・・色々ついてないわ・・・)
出発時は良かったが、隣国との国境付近で雨が降りだした
ラヴィは憂鬱な気持ちで馬車の窓から外を見た
ヨル「さっきまで良い天気だったのに」
フィヨルグ「仕方がないさ」
ヨル「・・・でも気持ちだけでも明るくしましょ」
フィヨルグ「あぁそうだな」
ラヴィ「・・・」
雨で浸かった道を馬車がガタゴトと音を立て中を激しく揺らしながら走ってる
このまま何事もなく隣国に着いてくれれば良いのだが・・・
ガタッ
ラヴィ「っ・・・」
ヨル「いつになく揺れるわね」
フィヨルグ「・・・」
御者「申し訳ございません伯爵様!」
御者「隣国の街へと繋がる道が土砂により塞がってしまってます!」
ヨル「まぁ・・・一昨日の大雨で土砂崩れが起きたのかしら・・・」
ヨル「確かもう一つの道も同じ道に出るのよね」
フィヨルグ「あぁ 遠回りになってしまうけどね」
ヨル「隣国に行けるのなら行きましょ」
フィヨルグ「そうだね、遠回りになってしまうがそっちから行こう。そのままもう片方の道に進んでくれ」
御者「かしこまりました!揺れますので気をつけてください!」
フィヨルグは窓から顔を出して御者にそう言った
ラヴィ「・・・」
ラヴィ「ねぇ、おかあ・・・しゃま?」
ヨル「なぁに?」
ラヴィ「お相手はいくつなの?」
ヨル「ジェド君は『8才』よ」
フィヨルグ「ラヴィとは3つ離れてる子でね、とても良い子だよ」
ラヴィ「!?」
ラヴィ(うわぁ・・・前回と全然違うタイミングじゃない やっぱり今の私は5才なのね)
ラヴィ(前回はもっと小さかったのに)
フィヨルグ「実はこんな遅くなるとは思わなかったんだ」
フィヨルグ「初めての顔合わせに行こうとした時、3才のラヴィと6才のジェド君が同時期に軽い病にかかってしまい会えずに終わったんだ」
ラヴィ「・・・」
ラヴィ(どういう事? 3才の私と6才のジェドさんが病にかかった?)
フィヨルグ「とにかく時間を作ってくれたラカーシュと夫人に感謝しなくては」
ヨル「そうね、今回御二人が貴重な時間を作ってくれなかったらどうなっていたか・・・」
フィヨルグ「そうだな ラヴィ、いくら親の知り合いとは言え、相手は婚約者であり公爵家だ。失礼のないように」
ラヴィ「はい おとう・・・しゃま」
ヨル「フフッ 無理してそう呼ばなくても良いのよ」
フィヨルグ「あぁ、いつもみたいに呼んでくれ」
ラヴィ「うん」
ガタッゴトッ
「・・・・・・」
先程までの楽しい家族の時間は突然終わった
慣れない道を進んでるせいか、いつも以上にガタッゴトッと揺れる馬車・・・
ガタッ
ガタッ
「っ!!」
ラヴィ「・・・」
数秒おきにガタッと音がなるようになった
・・・徐々に怖くなってきた・・・
次第に音は大きくなっていき・・・
突如ガタッと大きく音がなり、馬車が大きく揺れた・・・
そして
「きゃぁぁ!!ラヴィ!!」
「危ない!!」
私達を乗せた馬車が大きく横に揺れ、直後馬車は崖から転がり落ちてた
私を庇うように母が覆い被さり、その上から彼女を守るように父が覆い被さった・・・
360°回転しながら馬車は落ちていき・・・
やがて・・・
崖の底で揺れが止まった・・・
「ぁ・・・っ・・・」
私を庇った両親は体のあちこちを強打し頭から血を流して気を失っていた
私は体を強打しただけで流血はしていなかった・・・
しかし頭が痛く・・・視界がぼやけてる
「うぅ・・・」
馬車を動かしていたはずの御者の苦しむ声がしなかった・・・いや、そもそも馬の鳴き声、苦しむ声すらしなかった
落下したのは・・・私達だけのようだ・・・
意識が薄れていく中、外から声が聞こえた・・・
???「やったか・・・」
???「でもまずいだろ・・・」
???「──の──で」
???「────」
その後私は意識を失った・・・
・・・今の会話は何・・・
〇島国の部屋
馬車の転落事故により私達は重症を被った・・・.。
ラヴィ「っ・・・」
目が覚めた時には見知らぬ場所にいた。真っ白な天井、少しだけ動く顔を横にしてみると機械が見えた
身体中に線のようなものに繋がれ、機械の一定のリズムを刻む音も聞こえた。
その近くにはテーブルと棚、テーブルの上には小さな宝石箱のような箱、花瓶、書類・・・
ここは何処かの診療所だろうか・・・
ハッキリとした視界ではないが目は見えている
・・・ぼんやりとしていると誰かが入ってきた
白衣を着ている訳でもない、見舞い客だろうか・・・見知らぬ男性がやってきた。
目を閉じてバレぬようにうっすらと開けて行動を見た。
横たわる私を見て怪しく笑って口を開いた
???「フンッ、手間取らせおって」
???「忌々しい一族があの『シエル公爵家』と繋がりを作るとは!伯爵家風情が侯爵家を出し抜いて婚約するとは図々しい」
???「まぁ良い、【コレ】は貰っていくぞ」
???「これさえあれば・・・フヒヒヒ」
それは・・・まさか!
その人はテーブルに置かれていた宝石箱のような小さな箱を手にして部屋を出ようとした
その箱が何なのか理解した時には遅かった・・・精一杯手を伸ばしたが・・・無駄に終わった
箱を持ち出した男性は勝ち誇った顔をして部屋を出ようとしたが再び私の近くに来た。再び目を閉じて相手の動きと声に集中した
???「おっと忘れる所だった」
???「これを・・・こうして!」
ブチッ
直後ブチッと音がした。満足した男性は今度こそ部屋を出ていった
・・・
点滴を繋ぐ管を壊された・・・
しかし普通の機械では無かったのか異常を知らせる警告音が鳴り響いた。
行き違いで白衣を着た男性と女性が走ってやって来た。
ルーファス「大変だ!一体誰が」
リンデ「先生!今は!」
ルーファス「あぁそうだな、ちょっと痛むよ」
先生と呼ばれた男性は腕に刺さる管を抜き、新しい管を射して機械に繋げた
鳴り止み正常に戻った。ぼんやりした意識のおかげで痛みはなかった。
少しずつ意識がハッキリとして、彼らが医者だとわかってきた
そして先程の箱を持ち去った人物が親戚でも知り合いでもない・・・赤の他人であることもわかってきた。
ラヴィ「あっ!がっ!」
酸素マスクのせいではなかったが上手く喋れなかった
咳き込む私を落ち着かせながら二人は話した
ルーファス「目が覚めたのだね、落ち着いて聞いてね。お父さんとお母さんは命に異常はない」
ルーファス「心臓は動いてるけど意識がないんだ、神経や内臓、脳に影響がない事から、一生目が覚めないって訳ではないよ」
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