愛しさのカタチ

兎乃井メライ

DAY24: 本音とホンネ(脚本)

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兎乃井メライ

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〇学校の校舎
  ――水曜日

〇教室
  美森~~
  今日学食いく?
吉沢美森「あ、うん。今行くー!」
三澤梨々花「・・・・・・あ」
三澤梨々花(今日もダメか・・・ やっぱりそう簡単には話す気にならないよね・・・)
上杉睦「三澤」
三澤梨々花「あ、睦くん」
上杉睦「今日屋上行くなら一緒に食わねえ? おれも弁当なんだ」
三澤梨々花「うん、もちろんだよ 一緒に食べよう」
貴島里見「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

〇学校の廊下
上杉睦「じゃあ、またな」
三澤梨々花「うん、またね」
三澤梨々花(・・・睦くん、私がお昼一人だから 気を遣ってくれたんだよね)
三澤梨々花(落ち込んでないで、しっかりしなきゃ)
貴島里見「・・・三澤ちゃん」
三澤梨々花「里見くん!」
貴島里見「あのさ・・・今日ってバイトの日?」
三澤梨々花「う、うん、そうだけど・・・」
貴島里見「あのさ・・・その時ちょっと話せない? オレもアニキんち、行くから」
三澤梨々花「う、うん!もちろん! 私も話したかったし・・・!」
貴島里見「よかった じゃあ・・・またその時にね」
三澤梨々花(よかった・・・里見くんと話せそう)
三澤梨々花(ちょっと怖いけど・・・ ちゃんと気持ち、伝えなきゃ)

〇平屋の一戸建て

〇狭い畳部屋
落合はるか「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
落合はるか「・・・・・・で?」
落合はるか「話し合いをするのはいいが なんでうちに?」
落合はるか「そしてなんで俺を挟む必要が?」
貴島里見「いや、ほら ワンクッションあった方が話しやすいかなと思ってさ」
落合はるか「こっちは忙しいんだよ」
落合はるか「場所は貸してやるから、勝手に話せ 俺を巻き込むな」
貴島里見「つめたー いいじゃん、ちょっとくらい!」
貴島里見「あ、三澤ちゃんは悪くないから! ここで話したいって言ったのオレだから」
落合はるか「・・・ヘタレなとこは変わんねぇな 昔からいざって時に弱いよな、お前」
貴島里見「うぅ・・・・・・」
落合はるか「・・・・・・しょうがねぇな」
落合はるか「少しだけいてやる ほら、さっさと話せ」
貴島里見「わ、わかった」
貴島里見「あの、三澤ちゃん」
三澤梨々花「は、はい・・・」
貴島里見「まず、ごめん 最近話せてなかったこと・・・ やっぱ気まずくて」
三澤梨々花「ううん!あの、謝らないで!」
三澤梨々花「今日声かけてくれてうれしかったし」
貴島里見「・・・ありがと」
貴島里見「あのさ・・・ やっぱりもう一度ちゃんと言いたくて この前の土曜日のこと」
貴島里見「勢いでコクっちゃった感じだったけど ・・・あれ、本気だから」
貴島里見「その・・・なんていうか 突然でビックリしたとは思うんだけど あの・・・」
貴島里見「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
貴島里見「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
落合はるか「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
落合はるか「面倒くせーなっ オドオドしてないでハッキリ言え!」
貴島里見「しょっ、しょうがないじゃん! キンチョーしてんだからっ!」
貴島里見「じゃなくて!!」
貴島里見「あの時も言った通り オレ、三澤ちゃんのこと好きなんだ 友達じゃなく、恋愛って意味で だから・・・・・・」
貴島里見「オレとつきあってください!!」
三澤梨々花「ご、ごめんなさい!里見くん」
貴島里見「即答!?」
貴島里見「うう・・・ なんとなくわかってたけど・・・」
三澤梨々花「ごめん、私も里見くんのこと好きだよ でも付き合うのは・・・出来ない・・・」
三澤梨々花「私にとって里見くんは大事な友達で 私の「好き」も友達の「好き」なの それ以上には考えられない」
三澤梨々花「ごめんなさい・・・!」
貴島里見「好きなやつ・・・いるの? たとえば、むっちゃんとか」
三澤梨々花「睦くん? どうして?」
貴島里見「だってなんか仲いいから・・・ 今日も昼休み一緒だったし」
三澤梨々花「違うよ、睦くんは心配してくれてるだけ」
三澤梨々花「私が美森と仲直り出来ないままだから」
貴島里見「あ・・・・・・」
貴島里見「それって、美森がオレのこと好きだからだよね・・・?」
三澤梨々花「えっ・・・・・・ 里見くん、知って────」
貴島里見「実はここに来る前に美森に言われたんだ 好きだって」
三澤梨々花「ええっ!?」
三澤梨々花(美森・・・告白したんだ・・・)
貴島里見「ごめんね オレのせいで気まずくなったんでしょ?」
貴島里見「でも、自分の気持ちにウソつけないから ちゃんと言った 三澤ちゃんが好きだって」
貴島里見「美森は大事な友達だから うやむやにするとか、遠回しにごまかすとか それは違うと思ったんだ」
貴島里見「・・・さっきの三澤ちゃんとたぶん、同じ」
貴島里見「三澤ちゃんもオレのこと大事だから ハッキリ言ってくれたんだよね?」
三澤梨々花「うん・・・」
三澤梨々花「私は里見くんも、美森も、睦くんも みんな同じくらい大好きで大切な友達なの」
三澤梨々花「だから誰か一人なんて選べない ずるい言い方かもしれないけど みんなで、四人で一緒にいたい」
貴島里見「・・・好きな人はいないの?」
三澤梨々花「うん」
貴島里見「もちろん、つきあってる人もいないよね?」
三澤梨々花「うん」
貴島里見「ならいっか!」
三澤梨々花「え?」
貴島里見「好きな人もつきあってる人もいないなら オレが好きでいても問題ないよね?」
三澤梨々花「・・・へ??」
貴島里見「三澤ちゃんの気持ちはわかったけどさ それは今の段階の答えでしょ?」
貴島里見「でもこの先の未来はわかんないじゃん? オレのこと好きになる確率はゼロとは言い切れないよね!」
三澤梨々花「えーと・・・その💦」
落合はるか「ヘタレのくせに前向きだよな・・・お前」
貴島里見「いいじゃん、可能性くらい持ったって 別にストーカーしたりしつこくしたりしないし!!」
貴島里見「だから今まで通り友達でヨロシク! あ、気つかったりしなくていーからね!」
三澤梨々花「で、でもあのね、里見くん・・・」
貴島里見「わかってる きっちりケリつけなきゃって思ってるんでしょ? 美森にもオレにも悪いから」
貴島里見「でも、美森にも言った これからも追いかけるからって」
貴島里見「『梨々花を困らせたら許さない』って 言われたけどね〜 アイツ、オレの性格よく知ってるから」
三澤梨々花「美森が?」
貴島里見「美森もさ 三澤ちゃんのこと大切に思ってるよ だから、仲直りできるよ絶対」
三澤梨々花「里見くん・・・」
貴島里見「じゃっ、そゆことで!! オレはこれで帰ります☆☆ スッキリしたし!!」
貴島里見「兄キ、三澤ちゃんに迷惑かけないよーにね! あとたまにはウチ帰ってきなよ 父さんもさ、なんだかんだ気にしてるっぽいから!」
落合はるか「はぁ? あの人が気にするわけねえだろ テキトーなこと言うな」
貴島里見「信じないなら別にいーけど でもお手伝いのタキさんは気にしてたから 考えといて」
貴島里見「そんじゃ、三澤ちゃん また明日学校でね〜〜🎵🎵」
三澤梨々花(・・・・・・あ)
三澤梨々花(呆気にとられて終わってしまった!!)
落合はるか「・・・まあ、あいつアホだから 気にすんな」
三澤梨々花「はあ・・・でも💦」
落合はるか「今まで通りって言ってんだから いいんじゃねえの」
落合はるか「あいつだってフラれたのはわかってるよ ただすぐに整理つかねえんだろ さすがに」
落合はるか「ちょっとあのまま様子見してくれ 何かやらかしたら張り倒していいから」
三澤梨々花「張り倒しはしませんけど💦」
三澤梨々花「でもいいのかな 私きっと・・・この先も──」
落合はるか「それなんだけど なんで決めつけてるんだ? この先誰も好きになることはないって」
落合はるか「俺にはわざとセーブしてるように見えるけど・・・気のせいか?」
三澤梨々花「それは・・・・・・」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
落合はるか「──いや、悪い 俺が口挟むことじゃねえな 無理に聞く気はないから」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・怖くて」
落合はるか「怖い?」
三澤梨々花「誰かを・・・不幸にするんじゃないかって」
落合はるか「不幸? ずいぶん大げさだな」
三澤梨々花「大げさなんかじゃないです・・・!」
三澤梨々花「あ、ご、ごめんなさい💦」
三澤梨々花「あっ!私お風呂掃除しないと!! 時間もったいない!!」
三澤梨々花「じゃあ、いってきます!!」
落合はるか「おい────」

次のエピソード:DAY25: 仲直り

コメント

  • 嫌々言いながら結局話に付き合ってくれるはるか先生はやっぱり良い人ですね!それにしても変なシチュエーションですが笑
    里見くんの余計な話はせず言いたいことだけ言って帰る感が好きです!!(中身は結構スゴイ話ですがw)

  • 梨々花ちゃんと里見くん、勇気を出してのお話に真っ直ぐキレイな青春の輝きを感じました。それに付き合わされているはるか先生にじわってしまいましたがww
    そして、語られかけた梨々花ちゃんの想い、それがいつ全て口にされるのか気になります!

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