二代目悪役令嬢にはなりたくない!!

平賀源内

出会いは突然に(脚本)

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平賀源内

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〇シックなカフェ
桜花「まだかなぁ・・・」
桜花「たしか5時に来るって約束だったよね」
アリス「もう、落ち着いてってば」
アリス「多少の時間のズレはしょうがないでしょ」
アリス「別の学校なんだから移動時間もあるし」
  送迎担当運転手の佐々木さんを
  なんとか説得して
  頑張って作った時間を
  最大限ギリギリまで活かせるように
  私達の学校の近くのカフェにしたせいか
  それとも学校の違いのせいか
  約束の時間から5分経っても
  お相手の男子が現れない
アリス「一応、連絡してみるか・・・」
アリス「って、あれ?」
桜花「どうしたの?」
アリス「いや、なんかもう着いたって・・・」
「ごめん、アリスちゃん!!」
「途中の道で大事故が起きて遅れた!!」
  背後から聞き慣れない
  同世代の男子の声がして
  ゆっくりと振り向き
  声の主の顔を見上げる
  そして私はそのまま固まった
アリス「えっ、ソッチは大丈夫だったの?」
ヒダカ「うん、怪我人はゼロだってさ」
アリス「そっか、それならよかった」
アリス「・・・で、その格好は何かな?」
ヒダカ「どうせならふざけ倒そうと思って」
ヒダカ「ド○キでウィッグとジャージ買ってみた」
アリス「なんでそんなことすんの・・・」
アリス「美桜の男子の基準が」
アリス「こんなアフロ野郎になったらどうすんの」
ヒダカ「えーっ、そんなにダメだった!?」
アリス「ダメに決まってるでしょ、バカなの?」
  アフロでジャージ姿の男の子のインパクトが
  あまりに強すぎて何も言えないまま
  二人の会話を黙って聞く
ヒダカ「あっ、そうだ」
ヒダカ「拙者のことはヒダカと呼んでくだされ」
アリス「なぜいきなり 時代劇みたいな口調に・・・」
アリス「しかもなんで 偽名で呼ばせようとしてんの」
ヒダカ「えー、だって本名知られたくないし」
アリス「ダメだ、今日はフリーダムすぎる」
アリス「もう私だけじゃ止められないわコイツ」
桜花「あ、あの・・・」
ヒダカ「おっ、やっと喋ったね」
ヒダカ「どうかした?」
桜花「ヒダカさんは、その・・・」
桜花「アリスちゃんとは どういう関係なんですか」
ヒダカ「うーん、強いて言うなら幼なじみ?」
アリス「・・・まぁ、そんな感じかな」
桜花「そうなんですか・・・」
アリス「今この瞬間だけは 幼なじみを辞めたいけどね」
アリス「なんでいつもの百倍ふざけてんだ コイツ・・・」
ヒダカ「そこは拙者にもいろいろあるということで」
  そんなこんなでアフロ頭の男子と
  カフェで話すことになった私は
  はたして話が通じるのか
  不安でいっぱいになった
  だが、しかし
  意外にも彼が聞き上手だったおかげで
  私の日常の話だけでも
  そこそこ盛り上がることが出来て
  あっという間に帰る時間になってしまった
アリス「それじゃ、そろそろ帰りましょうか」
桜花「そうだね」
桜花「佐々木さんも車で待ってるだろうし」
ヒダカ「あー、もうこんな時間か」
ヒダカ「さっさと着替えて帰らないと」
アリス「よかった、その程度の理性は残ってて」
ヒダカ「ちょっとトイレで着替えてくるから」
ヒダカ「拙者の分もお会計しといていただけると」
ヒダカ「たいへん嬉しいでござる」
ヒダカ「ごめん、後で払うから」
アリス「はいはい、早く着替えてきな」
アリス「美桜もお金だけ出したら早く帰りなよ」
アリス「佐々木さんに疑われない内に帰らないと」
アリス「後で母親にバレた時が怖いでしょ」
桜花「う、うん・・・」
桜花「そうだね、先に帰るよ」
アリス「じゃあ私はあの子と帰るから」
桜花「うん、じゃあまた明日」
  アリスちゃんに言われた通り
  自分の分のお金だけ置いて店を出る

〇街中の道路
桜花「はぁ・・・」
  佐々木さんが車を停めてる場所まで
  歩きながら考える
  ・・・正直なところ
  少し期待しすぎていたのかもしれない
  男子に慣れていないせいか
  多少の幻想もあったのだろう
  でも、アフロ&ジャージは
  想定してるわけない
桜花「アフロに気を取られすぎて」
桜花「顔が全然覚えられなかったな・・・」
  名前は偽名な上に
  通ってる学校すら教えてくれなかった
  分かるのは声と顔くらいだが
  それもアフロと変な口調のせいで
  まったく覚えられなかった
桜花「本当は会うの嫌だったのかな」
桜花「だから顔も名前も覚えられないように」
桜花「わざとあんな格好を・・・?」
  考えれば考えるほど
  思考が暗くなっていく
  このままだとアリスちゃんのことすら
  疑ってしまいそうだ
桜花「うぅ・・・」
「あっ、危ない!!」
桜花「えっ・・・?」
  不意に後ろから腕を引かれ
  よろけた私の前を
  車が猛スピードで通り過ぎる
「ちゃんと前を見て歩かないと危ないだろ!!」
桜花「ご、ごめんなさい」
  抱き止められたような体勢なのが
  どうにも恥ずかしくて
  謝りながらも
  呼び止めてくれた人から身体を離す
真矢「まったく・・・」
真矢「ここら辺は事故が多いんだから」
真矢「気をつけてても危ないのに」
桜花「ご、ごめんなさい・・・」
真矢「・・・でも間に合ってよかった」
真矢「怪我はしてない?」
桜花「は、はい」
真矢「・・・ってごめんね いきなり引き寄せちゃって」
真矢「咄嗟のことで そこまで気が回らなかったんだ」
桜花「だ、大丈夫です・・・」
真矢「ならよかった」
真矢「じゃあ気をつけて帰るんだよ」
桜花「はい・・・」
  今度こそ前を向いて信号を渡る
  私の心臓は
  爆発しそうなほどドキドキしていた
  これは、車に轢かれそうになったから?
  それとも、知らない男の子に
  偶然とはいえ抱きしめられたから?
  熱くなってきた頬が
  ジワジワとその答えを表す
  あの制服はどこの学校だろう
  すぐに調べて、学校だけでも特定したい
  そして、出来ることなら
  さっきの人を、私のモノにしたい
  私の母親譲りの悪い癖が
  つい滲み出るのを感じる
  執着ばかりが激しくて
  ワガママな悪役令嬢に
  この時、私は
  一歩近づいてしまったのだった

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