読切(脚本)
〇木の上
大学生「くっ 首吊り」
大学生「ㇵッ!! せ 先生!?」
〇オフィスのフロア
陣 亜冴子(じん あさこ)「怪文書の調査 やらせてください!!」
編集長「新しい市長が 元ホームレスってやつか?」
編集長「おまけに操り人形で 裏に悪人がいると??」
編集長「そんなの陰謀論だよ 市長がホームレスのわけないだろ」
陣 亜冴子(じん あさこ)「でも怪文書が出回るには 何か根拠が・・・ 真実追及こそ 記者の仕事です!!」
編集長「三流週刊誌で ピューリッツァー賞でも狙うのか?」
編集長は皮肉に笑った
陣 亜冴子(じん あさこ)「職場が三流でも 魂は一流でいたいのです!!」
編集長「ウチが三流だと!? 飯を食わせて貰ってる癖に 何だ!!」
陣 亜冴子(じん あさこ)(自分で三流って言った癖に・・・)
〇説明会場(モニター無し)
町田(まちだ)新市長「私が この町を救います!!」
町田(まちだ)新市長「前の市長は 赤字対策として 外国資本に 土地を二束三文で売却した」
町田(まちだ)新市長「”貧すれば鈍する” 土地を売って金が入れば 今は良い」
町田(まちだ)新市長「だが10年後 20年後はどうなる? 子供達の未来はどうなる??」
町田(まちだ)新市長「日本初のロケット専修工科大学 通称『宇宙大学』を 前市長は 金食い虫と切り捨てた!」
町田(まちだ)新市長「ITで遅れた日本が勝つには 宇宙を制するしかない」
町田(まちだ)新市長「宇宙大学と関連事業は この町の いや日本の希望なのです!!」
町田(まちだ)新市長「そして老人支援から子育て支援へ 変更しました お陰で子育て世帯の人口も増えてきた」
町田(まちだ)新市長「目先しか考えない連中に代わって 将来ある若者や子供達のために」
町田(まちだ)新市長「この町 ひいては日本の未来のために 私は市長となったのです!!!!」
後援会は盛況だった
〇小汚い廊下
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「トイレで着替え まだ?」
陣 亜冴子(じん あさこ)「お待たせ!!」
陣 亜冴子(じん あさこ)「私の色仕掛けで 落ちない奴は ナッシング!!」
陣 亜冴子(じん あさこ)「市長を口説いて 真実を明かしてみせる!」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「その衣装・・・ 取材経費で落ちるの?」
陣 亜冴子(じん あさこ)「アッ 市長」
陣 亜冴子(じん あさこ)「素敵でした!! 市民として勇気が湧きました」
町田(まちだ)新市長「今日は 後援会にお越しいただき ありがとうございます」
町田(まちだ)新市長「・・・占い師の方ですか?」
陣 亜冴子(じん あさこ)「ヘイ 市長のお陰で 守られるよ 宇宙大学 オーイエイ🎵」
陣 亜冴子(じん あさこ)「この子 姉の子 IQ すごい子🎵」
陣 亜冴子(じん あさこ)「特例飛び級 宇宙大学 廃校ダメよ 守って市長 オーイエイ🎵」
町田(まちだ)新市長「踊らないと しゃべれないの?」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「無理しないで 息切れてる」
町田(まちだ)新市長「甥っ子さんへの愛情や 市長への期待は伝わりました」
町田(まちだ)新市長「僕 いくつ?」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「8歳」
町田(まちだ)新市長「8歳で大学生!? 飛び級でも 普通16歳だろ 特例飛び級 優秀すぎる!!」
陣 亜冴子(じん あさこ)「市長も優秀でしたわ 選挙で勝ち抜いた手腕なんて さぞ やり手のスタッフがいらっしゃる?」
陣 亜冴子(じん あさこ)「経歴も とってもミステリアス 以前はどんな お仕事を?」
町田(まちだ)新市長「ちょっと・・・忙しいので 今日はこの辺で 花束ありがとうございます」
陣 亜冴子(じん あさこ)「慌てて帰っていく」
陣 亜冴子(じん あさこ)「私の姿を見て 興奮したのね 惜しい・・・もう少しで落せたのに」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「怖かったんじゃない?」
〇校長室
陣 亜冴子(じん あさこ)「フフフ 花束には盗聴器が・・・ これで市長室の会話が筒抜け」
陣 亜冴子(じん あさこ)「黒幕が解る!!」
〇部屋の扉
〇校長室
町田(まちだ)新市長「次は どうします?」
大学生「どうしよう? とりあえず 大学が守れたから良いかな」
大学生「俺はね・・・」
〇黒
陣 亜冴子(じん あさこ)「廃校処分を防ぐために? 大学生の仕業だったの!?」
〇校長室
大学生「ね 先生!?」
町田(まちだ)新市長「先生!!」
影「やめてよ」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「僕が一番年下なんだから」
〇黒
陣 亜冴子(じん あさこ)「子供の声? えええ もしかして流星!?」
〇校長室
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「大学だけじゃない この町の全ての人たちを 守りたかったんだ」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「前市長に任せてたら 土地は叩き売られ 山を削ってメガソーラー」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「20年後にはゴミの山だよ」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「本当の持続可能社会のためには 金と利権で動く連中に 任せたらいけないんだ」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「僕が大人になる前に 日本が潰れちゃう」
町田(まちだ)新市長「ホームレスの私が・・・ いま生きてるのも 先生のおかげ」
町田(まちだ)新市長「先生の手足として この町を そして日本を洗濯します!!」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「だから 先生はやめてよ💦」
〇木の上
大学生「あの時はビビったよ・・・」
〇校長室
大学生「でも もっとビビったのは──」
大学生「助けたアンタを市長にするって 先生が言い出した時さ!」
町田(まちだ)新市長「コロナで全てを失い この国では 失望しかなかった」
町田(まちだ)新市長「首吊って良かった! 先生という 希望を見つけたから!!」
町田(まちだ)新市長「そんな私が市長なんて まさにホームレス市長ですよ!!!!」
笑う三人
〇黒
陣 亜冴子(じん あさこ)「おおお甥っ子が 真の実力者!?」
陣 亜冴子(じん あさこ)「8歳の子が 町のボス」
〇校長室
町田(まちだ)新市長「いやぁ 先生の叔母様は楽しい人ですね 占い師かと思いましたが ダンサーの方ですか?」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「週刊誌の記者です 本人は一流と称してます」
町田(まちだ)新市長「き 記者!?」
大学生「まずいよ バレたら・・・」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「大丈夫です あんな感じなんで」
町田(まちだ)新市長「まあ・・・大丈夫そうですな!」
またしても笑う三人
〇黒
陣 亜冴子(じん あさこ)「全部 聞えてんだよ 許さない 許さないからね」
8歳の子供に
真剣に激怒する亜冴子だった
〇オフィスのフロア
陣 亜冴子(じん あさこ)「・・・・・・」
編集長「記事が まとまらないのかね?」
陣 亜冴子(じん あさこ)「・・・・・・」
編集長「何か迷っているとか?」
陣 亜冴子(じん あさこ)「・・・・・・」
編集長「フン 勝手にしなさい!」
〇本棚のある部屋
陣 亜冴子(じん あさこ)「アー お姉ちゃん! 流星がさ・・・」
姉「流星喜んでるよ 宇宙大学行けるって!」
〇宇宙ステーション
姉「あの子は 宇宙の仕事するの夢だからね!!」
〇本棚のある部屋
姉「大学潰れなくて良かったわ せっかく 飛び級できたし」
陣 亜冴子(じん あさこ)「だよね・・・ 大人が子供の夢 奪っちゃいけないよね」
姉「電話なんか珍しい・・・ 何か迷ってるの?」
陣 亜冴子(じん あさこ)「別に・・・」
姉「「別に」っていう時は だいたい悩んでる時ね 昔から アンタはそうだった」
陣 亜冴子(じん あさこ)「お姉ちゃんには 敵わないな・・・」
姉「そういえば流星が」
陣 亜冴子(じん あさこ)「流星が?」
姉「亜冴子叔母ちゃんは いつも 一流にこだわってるけど・・・」
姉「一流ならやるべきことをやる 本当に一流かどうかは その時に解るって」
陣 亜冴子(じん あさこ)「やるべきことをやる 本当の一流なら・・・」
姉「正しいことなら 迷う必要ないでしょ」
陣 亜冴子(じん あさこ)「ありがとう お姉ちゃん スッキリした」
〇黒
結局 事実を書いた
市長は元ホームレス
8歳の子供が操っている・・・と
市長はリコールされ
流星は日本に居られない騒ぎに
宇宙大学もマスコミや議員が騒いで
廃校の方向へ
〇校長室
柳(やなぎ)前市長「ワハハハ 記者は三流に限るな」
秘書「怪文書が 功を奏したようです」
秘書「噂レベルでしたが 本当にホームレスとは・・・ こっちがビックリですよ!」
柳(やなぎ)前市長「私が返り咲く日も近い」
柳(やなぎ)前市長「この市長室に必ず戻る I'll be back!!」
〇木の上
綱を切って 町田を助ける
町田(まちだ)「オロローン オロローン」
町田は亜冴子の胸で泣いた
町田(まちだ)「町を良くするって約束したのに 結局 何もできなかった!!」
町田(まちだ)「やっぱり僕は ダメなホームレスだ」
陣 亜冴子(じん あさこ)「ごめんなさい 全部私のせい・・・」
〇空港の外観
〇空港のエントランス
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「行ってきます」
陣 亜冴子(じん あさこ)「待ちなさい! 町を見捨てるの? この国は?」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「日本は もう手遅れさ 僕はアメリカの大学に呼ばれてる」
陣 亜冴子(じん あさこ)「「大学だけじゃなく 町の皆を守りたいって」 あれは嘘だったの!?」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「何故その話 知ってるの?」
陣 亜冴子(じん あさこ)「そ それは・・・」
陣 亜冴子(じん あさこ)「あなたの夢を奪ってしまった それだけじゃない 町の未来も奪った・・・」
陣 亜冴子(じん あさこ)「でも記者として 不正を見逃す訳には」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「遅いよ 何もかも終わったんだ」
陣 亜冴子(じん あさこ)「いいえ これからよ 知恵を貸してちょうだい!!」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「何するの?」
陣 亜冴子(じん あさこ)「正々堂々と戦うの」
陣 亜冴子(じん あさこ)「本当に正しいことなら勝てるハズ 町の皆だって分かってくれる!!」
陣 亜冴子(じん あさこ)「出直し選挙をやるのよ」
〇体育館の舞台
出直し選挙が始まり
市民説明会も行われた
陣 亜冴子(じん あさこ)「子育て支援で 若者も増えつつある 労働人口が増えれば 活気も戻る」
陣 亜冴子(じん あさこ)「けれど柳市長に戻れば 外国に叩き売られる それで良いのですか!?」
町田(まちだ)「もう一度 チャンスをください!!」
市民「でもなぁ 子供には操られたくないよな」
市民「そうだそうだ!!」
市民「ワシら年寄は 昔のままで構わん」
市民「若い奴が増えると 風紀が乱れる」
市民「ガキよりワシらに金使え 子育てより介護を!!」
大学生「爺たちは 何も変わらねーな 畜生 じゃあ俺が出てやる!!」
陣 亜冴子(じん あさこ)「あなたは大学生 出馬の年齢に達してない 被選挙権は25歳から」
大学生「だけど 若者の意見も聞いてほしい」
大学生「大学もなくなり 子育て支援もなくしたら 若い人は この町を去るよ」
大学生「投票年齢は18歳に下げながら 立候補は25歳からなんて オカシイよ」
陣 亜冴子(じん あさこ)「票は欲しいけど 発言権は与えない 確かにインチキね」
秘書(大学潰して 嫌われてます 若者対策も必要ですよ)
柳(やなぎ)前市長「では被選挙権の引き下げをします 私が当選したら 被選挙権の年齢を18歳にする」
柳(やなぎ)前市長「被選挙権引き下げの 実験的モデル都市として 法律改定にも尽力します!」
柳(やなぎ)前市長「未来は若者のものですから!!」
柳(やなぎ)前市長(これで若い奴らも 俺に入れるだろう)
秘書(バッチリです どうせ 若い奴らは何もしませんよ)
〇役場の会議室
開票の結果
陣 亜冴子(じん あさこ)「そんな・・・」
陣 亜冴子(じん あさこ)「世の中 変わらないのね・・・」
〇説明会場(モニター無し)
「・・・・・・」
陣 亜冴子(じん あさこ)「ごめんなさい・・・ やっぱり私は・・・三流記者だった」
「バンザイ バンザイ バンザイ」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「本当の狙いは 被選挙権の引き下げ」
大学生「25歳以下でも立候補できるように」
町田(まちだ)「負けるが勝ち!!」
大学生「これから どんどん俺たちの仲間が 市議会議員に立候補する 爺どもの好きにはさせない」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「オジサンたちに任せると 失われた30年が100年になる 丸でブラックホール・・・」
町田(まちだ)「今 主導権を奪わないと この国に 光は二度と来ない」
大学生「そのキッカケ作りを 爺本人にやらせたのさ」
大学生「いい気味だ!」
「バンザイ バンザイ バンザイ」
陣 亜冴子(じん あさこ)「え? 私も利用されてる!?」
〇校長室
陣 亜牙子「ワザと盗聴させた?」
〇木の上
陣 亜牙子「二度目の首吊りも演技?」
〇説明会場(モニター無し)
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「マスコミにも 目覚めて欲しいからね」
陣 亜冴子(じん あさこ)「確かに火をつけられた」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「怪文書が出回った時点で いずれ僕のことはバレる」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「それに僕がしたいのは宇宙事業 政治じゃない だから あとは仲間に託す」
町田(まちだ)「私も市長なんて柄じゃない そんなに長くは化けられない」
大学生「被選挙権さえ下がれば 爺たちの好きにはさせない」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「叔母さんなら 情に流されず書くと信じてた 一流のジャーナリストだから!!」
陣 亜冴子(じん あさこ)「素直に受け止めて良いのかな・・・」
坂本 流星(さかもと りゅうせい)「無邪気な発言だよ まだ8歳だから」
大学生「この流れ この町だけで終わらせない 日本全体に広げる 若い力で!!」
大学生「先生が大人になって戻るまでに 日本を洗濯だ」
町田(まちだ)「ジャブジャブジャブ」
大学生「アメリカから戻る頃には 汚れの無い日本に!」
陣 亜冴子(じん あさこ)「私も手伝う大洗濯!!」
陣 亜冴子(じん あさこ)「かなり頑固な汚れだけど・・・」
「アハハハハハハ」
めでたし めでたし
ただし
この物語はフィクションです
今のところは・・・
タイトルに釣られて来て見ましたが、やっぱりレベルが高いし素材の使い方も凄い。自分なりにタップノベルで温暖化や紛争問題書いた事ありますが、今作程難しくはしてませんでした。子供が裏から操ったり、奴さん達が策士過ぎる。やっぱこう、大事なのは自分が気付く事ですよね。
中々興味深い作品でした!
ホームレス市長が、まさかあんな幼い子に操られていたなんてっ!!
若い力は無限ですね!!
日本もこれくらい頑張って欲しいです!
楽しかったです✨
驚きました。私もこういうテーマ性の強い作品を書きたいものです
被選挙権の引き下げはたしかに政治の裏側を知らない若者が参加するとまずいのですが、知っていればプラスになりそうですね。これからはこうなるといいです。日本の夜明けも近いですね。共に頑張りましょう