第6話 ポム村と密猟者(脚本)
〇綺麗な部屋
コウル「わー! ベッドフカフカだ!」
ポム「ポムポム!」
エイリーン「船長さんに感謝しないといけませんね」
コウル「まさか、 一番いい部屋を無料で 貸してくれるなんて」
エイリーン「人助けは大事ですね」
「・・・」
エイリーン「コウル様。 せっかくなので外を歩きませんか?」
コウル「え? ・・・うん、いいよ」
〇豪華なクルーザー
エイリーン「風が気持ちいいですね」
コウル「うん」
コウル「・・・」
エイリーン「コウル様?」
コウル「う、うん? 何でもないよ」
エイリーン「そうですか?」
コウル(見惚れていた・・・ なんて言えるわけないし・・・)
船長「船旅は快適かね?」
コウル「船長さん」
コウル「ええ、気持ちいいですね。 あの部屋もありがとうございます」
船長「いやいや、助けられたのは私だ。 礼などせんでいい」
コウル「それはそれ。 これはこれ、ですよ」
船長「そうかね?」
コウル「それより、 東の大陸にはいつ頃着きますか?」
船長「何事もなければ2日後かな」
コウル「2日・・・」
コウル(マスターさんの言ったことは正しい。 僕たちにはまず力が必要だ)
コウル(でも、カーズには あとどのくらい時間があるんだろう)
〇荒れた競技場
カーズ「・・・」
カーズ「魔力砲。 完成まであと少しか」
カーズの前には、
周りの雰囲気と合わない
巨大で機械的な砲台が存在していた。
カーズ「魔力もかなり集まった。 あとはそうだな・・・」
カーズ「コウルとエイリーンだったか。 あの2人の魔力をこれに捧げよう」
カーズ「フフフ・・・」
カーズ「アッハッハ!」
〇綺麗な部屋
エイリーン「すごい雨ですね・・・」
コウル「風も強いね。嵐かな」
コウル「天気ばかりはどうしようもないし・・・」
エイリーン「船は大丈夫でしょうか?」
コウル「この船は大きくて頑丈そうだから 大丈夫と思うよ・・・」
コウル「・・・たぶん」
コウル「うわわ!」
エイリーン「きゃあっ!」
コウル「・・・やばそう」
コウル「うわあっ!?」
エイリーン「きゃあっ!?」
ポム「ポムー!?」
〇海辺
コウル「う、う〜ん」
コウル「ここは・・・?」
コウル「そうだ、エイリーンさん! ポム!」
コウル「エイリーンさん!」
コウル「ポム!」
エイリーン「コウル・・・様」
ポム「ポム・・・」
コウル「大丈夫? 怪我とかない?」
エイリーン「・・・」
コウル「エイリーンさん?」
エイリーン「コウル様。 わたし、少しだけ思い出しました」
コウル「え?」
エイリーン「記憶。 全てではないですが・・・」
コウル「本当!?」
エイリーン「わたしは以前はもっと力がありました。 何故かは思い出せていませんが・・・」
エイリーン「そしてちょうど先程のような嵐の時に、 あの人、カーズと戦い敗れました」
コウル「どうしてカーズと?」
エイリーン「わかりません。 ただ、止めようとしていたのは 間違いありません」
エイリーン「その戦いの後に記憶を失い、 コウル様たちに助けられた。 ・・・のだと思います」
コウル「エイリーンさん。 きみは一体・・・」
〇海辺
コウル「さてと、ここはどこだろう」
エイリーン「目的地から離れてなければいいのですが」
コウル「人もいないかな」
???「ポム」
???「ポム」
エイリーン「ポムさん? どうしたのですか──」
ポム「ポム?」
コウル「あれ?」
ポム「ポムポム」
ポム「ポム!」
エイリーン「ポムさんが・・・」
コウル「2匹!?」
ポム「ポムポム!」
エイリーン「付いていけばいいみたいですね?」
コウル「うん・・・」
〇大樹の下
ポム「ポムー」
ポム「ポムー」
ポム「ポム!」
コウル「うわわ。 ポムがいっぱいいる」
エイリーン「ポムさんの村、でしょうか?」
ポム「ポムポムポム!」
コウル「え、ええと・・・?」
エイリーン「まあ、そうだったんですね」
コウル「何を言っているかわかるの?」
エイリーン「なんとなく、ですが」
エイリーン「わかりにくいと思いますが、 このポムさんたちは あのポムさんの親らしいです」
エイリーン「ポムさんたちは時々、 長距離を旅するらしいのですが」
エイリーン「その時に、わたしたちが助けた ポムさんとはぐれてしまったらしいです」
エイリーン「連れてきてくれたお礼をしたい、 と言ってくれてます」
コウル「たまたま流れ着いた先に ポムの村があるなんて・・・」
ポム「ポムーポムー」
たくさんのポムたちが、
木の実や草などを運んでくる。
コウル「これ、僕たちが食べれるかなあ?」
エイリーン「少し固いですが、美味しいですよ」
コウル「そ、そう・・・」
〇大樹の下
ポム「ポムー!」
コウル「わっ! どうしたの!?」
エイリーン「慌てているようですが・・・」
密猟者「なんだ? ポムの巣に人間のガキたち?」
男たちはポムたちを捕えている。
密猟者「なんでガキがいるかしらねえが 邪魔すんじゃねえよ」
エイリーン「ポムさんたちを捕まえて どうするんです!」
密猟者「はっ! 知らねえのかよ。 ポム族はマニアに高く売れるのよ!」
密猟者「皮とか肉とかなあ!」
エイリーン「皮・・・」
コウル「肉・・・?」
エイリーン「コウル様」
コウル「うん」
コウル「お前たち、 今すぐポムたちを解放するんだ」
密猟者「ガキが、舐めるなよ」
密猟者「お前らは連れていけ」
部下「はっ!」
コウル「させないっ!」
密猟者「ふん」
コウル「っ!?」
密猟者「ガキだな。攻撃が単調だ」
密猟者「そらっ!」
コウル「ぐっ!?」
エイリーン「コウル様!」
密猟者「自信があったようだが、 俺はただの賊じゃないぜ?」
密猟者「元はそこそこ名のある傭兵よ!」
コウル「くっ」
エイリーン(コウル様が危ない。 わたしはどうしたら・・・)
ポム「ポムポム」
エイリーン「え、ですがわたしは・・・」
ポム「ポムポム」
エイリーン「わかりました、やってみます」
密猟者「トドメだ、ガキ!」
密猟者「ム!」
コウル「エイリーンさん!」
エイリーン「コウル様は傷つけさせない!」
コウル「これは、魔力弾・・・」
密猟者「アマぁ・・・!」
コウル「今だ!」
密猟者「がっ!? てめえ・・・」
コウル「卑怯でいいよ」
密猟者「ちくしょう・・・」
賊「リーダーがやられた! 逃げろ!」
コウル「ふう・・・」
エイリーン「コウル様。大丈夫ですか」
コウル「うん、大丈夫。 今日はエイリーンさんに助けられたね」
エイリーン「あれは、ポムさんが教えてくれたから」
コウル「そうなんだ」
〇大樹の下
ポム「ポムポム!」
エイリーン「いいんですか?」
コウル「なんて?」
エイリーン「親ポムさんたちが、 東大陸まで送ってくれるそうです」
エイリーン「そこまで遠くないみたいですよ」
コウル「助かるよ、ポムたち」
ポム「ポムー!」