愛しさのカタチ

兎乃井メライ

DAY23: 先生の友達(脚本)

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〇ボロい家の玄関
扇谷「たしか、三澤さんだったよね? 光葉高テニス部マネージャーの」
三澤梨々花「は、はい・・・!こんにちは」
扇谷「偶然だね、どうしたのこんなところで」
三澤梨々花「ええと💦 ここにお住まいの方に用がありまして 落合・・・じゃない 貴島さんお留守ですか?」
扇谷「はるかならまだ大学だよ 僕はあいつに貸してた資料が必要になって 鍵借りて取りに来たんだ」
扇谷「三澤さん・・・はるかと知り合いなの?」
三澤梨々花「えーと・・・ 実は少し前からここでハウスキーパーのバイトをしてるんです」
三澤梨々花「せん・・・いえ、貴島さんの知り合いから頼まれまして・・・」
扇谷「ああ、大丈夫だよ はるかが小説家ってことは知ってるから」
扇谷「なるほど、君が・・・ね 三澤さんすごいね、家事が得意なんだ 何か資格でも持ってるの?」
三澤梨々花「まさか! でも掃除とか料理は好きなんです 趣味みたいなもので たいしたことはしてませんけど💦」
扇谷「へえ・・・・・・でも驚いたな はるかの面倒みるの、大変なんじゃない? 気難しいところあるでしょ」
扇谷「それによく本人が許可したね 滅多に家に他人を上げないのに」
三澤梨々花「もともと先生の担当さんから頼まれたんです まあ最初は不安でしたけど・・・ なんとかやってます💦」
扇谷「ふうん、そうだとしても珍しいな」
扇谷「・・・もしかして 君ははるかのお気に入りなのかな?」
三澤梨々花「ま、まさか!違いますよ!! 作ったものはキレイに食べてくれるので 嫌われてはないと思いますけど・・・」
扇谷「・・・あの偏食家が? それもすごいな じゃあ、今日はバイトの日?」
三澤梨々花「いえ、先週来られるない日があったので ちょっと家のホコリ具合とか、冷蔵庫の中身とかが気になっちゃって」
三澤梨々花「でもいないなら出直します」
扇谷「そっかー・・・ 今日ははるかは教授の手伝いしてるみたいだから、遅くなると思うよ」
扇谷「でもよかったら開けるよ? 鍵預かってるし」
扇谷「30分くらいなら本読んで待ってるよ 用事片付けちゃったら?」
扇谷「その後よかったら送るよ 今日は車で来てるし、もう用事ないから」
三澤梨々花「いいんですか? ありがとうございます! なるべく早く済ませてきますね」

〇アパートの台所
三澤梨々花「よーし、急がなきゃ!」
三澤梨々花「しょうが焼き仕込んでる間に お米セットして トイレだけぱぱっと掃除して・・・」
三澤梨々花「ごはんは炊けたら食べない分を冷凍したいけど・・・ 先生でもタッパに分けて冷凍庫にいれるくらいできるよね メモ置いとこ!」
ハイジ「クゥーン・・・・・・」
三澤梨々花「あっハイジ! どうしたの?テンション低いじゃない」
三澤梨々花(イケメンに会うと狂ったようにはしゃぐのに・・・)
三澤梨々花(扇谷さんもかっこいい人の部類だと思うけど、好みじゃないのかな・・・💦)
ハイジ「クゥン・・・・・・」
三澤梨々花「あ、もしかして散歩したいの?」
三澤梨々花「ごめんね、今日は時間ないんだ・・・ また水曜日にいっぱいつきあうから!」
「とにかく、急げ~💦」
ハイジ「クゥ・・・・・・」

〇走行する車内
三澤梨々花「すみません、駅まで乗せてもらっちゃって」
扇谷「いいや、俺ももうアパートに帰るだけだし」
扇谷「あ、はるかには君が来たこと連絡しておいたよ」
三澤梨々花「ありがとうございます」
三澤梨々花「あの、そういえば先生って何の学部なんですか?」
扇谷「はるか? 教育学部だよ」
三澤梨々花「教育学部!? ・・・って学校の先生になる勉強をするところですよね?」
扇谷「意外? まあはるかは教職じゃなくて、心理学とか発達学に興味があるみたいだけどね ゼミもそっち系だし」
三澤梨々花「へえ・・・なんか難しそう 扇谷さんも同じ学部なんですよね? 先生とはいつから仲がいいんですか?」
扇谷「一年の時からかな アイツ作家ってこともあって、かなりの読書家なんだよね 俺も本の虫でさ」
扇谷「いつも一緒にいるわけじゃないけどね でも親しいは親しいかな あいつが売れっ子作家だって知る数少ない人間だしね」
三澤梨々花(家の鍵も渡すくらいだもんね・・・ 信用してるってことだよね)
扇谷「実は、はるかの家でバイトしてる女の子がいるって少し前に聞いてたんだよね 三澤さんだとは思わなかったけど」
三澤梨々花「先生からですか?」
扇谷「いや、俺の彼女から はるかとも仲がいいんだ」
扇谷「君と会ったことがあるみたいだったけど 覚えてる? キリエっていうんだけど」
三澤梨々花「あ、は、はい、覚えてます」
三澤梨々花(出た、キリエ・・・!)
三澤梨々花「キレイな方ですよね・・・ あの、お二人はつきあって長いんですか?」
扇谷「半年くらいかな? その前は彼女、はるかとつきあってたんだよね」
三澤梨々花(い、言うんだ・・・!)
扇谷「何を考えたのか、俺に乗り換えたみたいだけど まあ俺もいいなとは思ってたし ラッキーというか」
扇谷「はるかとキリエは有名な美男美女カップルだったから、一時騒がれたけどね」
三澤梨々花「あ、あの それって気まずくないんですか・・・? 先生とは仲のいい友達だし」
扇谷「そうだなぁ 最初はちょっと気まずい気はしたけど」
扇谷「二人は前からぎくしゃくしてたみたいだし 揉めて別れたわけじゃなかったようだし 別にいいかなと思って」
扇谷「俺は二人がその後仲良くするのも別に構わなかったしね だからはるかとも今まで通り 今は三人でいい関係築けてると思うよ」
三澤梨々花(な、なんていうか・・・ ずいぶん寛大な人だなぁ・・・)
三澤梨々花(ていうかやっぱり先生の友達だけあるのかも・・・ちょっと変わってる?)
三澤梨々花「あの、じゃあもし まだ先生がキリエさんのことが好きだったら、どうします・・・?」
扇谷「はるかが? うーん・・・そうだな」
扇谷「それは、それぞれの気持ち次第かな もしキリエもはるかが好きで元に戻りたいって言われたら・・・ まあ、納得するしかないかな」
三澤梨々花「え・・・そんなあっさり?」
扇谷「はるかは見た目も中身もいい男なんだ あいつに取り返されるなら、仕方ないかなって思うよ」
三澤梨々花(おおおお大人だなぁ! なんかカッコイイ・・・!)
三澤梨々花「扇谷さんは先生が好きなんですね」
扇谷「うん、好きだね 一癖あるけど、嘘がないしね 俺、正直者が好きなんだ」
扇谷「もしキリエとはるか、どちらか一人選べって言われたら はるかを取るかもしれないなぁ」
三澤梨々花「ええっ!!」
扇谷「なんていうか、気の合う友達ってなかなかできないものじゃない?」
扇谷「まあそれくらい、はるかは大事な友達だってこと」
三澤梨々花「・・・わかります 友達って、作るのも続けるのも簡単じゃないですよね」
扇谷「あれ、はるかからだ 悪いけど、スピーカーにしてもらっていいかな?」
三澤梨々花「あ、はい!」
扇谷「もしもし、はるか? 今運転中なんだ 三澤さんを駅まで送る途中」
  あー、そうなのか
  バイト、悪いな。留守にして
三澤梨々花「あ、いいえ! 私が勝手に来ちゃっただけですし」
三澤梨々花「扇谷さんに中に入らせてもらって トイレ掃除と、おかず何品か作り置きしておきました!」
三澤梨々花「ごはんも炊いてるので あとで小分けにして冷凍して下さい やり方はメモ残しておきました」
  わざわざそのために来たのか?
  今日はバイトの日じゃないだろ
三澤梨々花「先週土曜日行けなかったから 先生の衛生状態のチェックも兼ねてです」
三澤梨々花「先生・・・またゼリー飲料でゴハン済ませたでしょ!?」
三澤梨々花「ゴミ箱で見つけましたよ! ダメだって言ったのに!! 何度注意したらわかるんですかっ!」
  あ〜・・・はいはい、オカン
  わかったよ、気をつける
三澤梨々花「もーだらしないんだから! 最近せっかく顔色がよくなってきたから 逆戻りして欲しくないんですよ」
  わかったって・・・ちゃんと食うよ
三澤梨々花「わかってくれればいいです🎵 えーと、じゃあ教授のお手伝い頑張ってくださいね」
  ああ、サンキュ
  じゃあ扇谷、悪いけど頼んだ
  後で礼はするよ
扇谷「ああ、ちゃんと送るから安心して じゃあまた」
三澤梨々花(サンキュ、だって なんで来たんだとか罵られるかと思ったのに・・・)
三澤梨々花(先生、なんかちょっとやさしくなった?)
扇谷「・・・三澤さん やっぱりはるかのお気に入りじゃないの?」
三澤梨々花「ち、違いますってば💦」
三澤梨々花「あ、もう駅ですね! 送って頂いて助かりました」
扇谷「いや、お安い御用だよ」
扇谷「あ、そうだ 今週も練習に顔出す予定だからよろしくね」
三澤梨々花「はい、コーチよろしくお願いします じゃあまた! ありがとうございました」
扇谷「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
扇谷「・・・・・・ふうん」

次のエピソード:DAY24: 本音とホンネ

コメント

  • 久々のオカンモード、キレッキレですねw
    扇谷さんのクローズアップ回、善人要素の強い感じですが、何だか引っかかるところが……そして、ハイジのテンションの謎とは……色々と気になってしまいました

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