酔ったら自分じゃなくなる人3(脚本)
〇玄関内
「ピンポーン」
「ピンポーン・・・・・・ピンポーン」
「最近多いな。朝からピンポン」
「夜勤明けで寝るとこなんですけど・・・・・・」
「ピンポーン!」
「はいはい!どちら様ですか?」
マキ「おはようございます。 朝早くにすみません」
「は!?!?!?」
マキ「お時間大丈夫ですか? この間のお礼を言いたくて来ました」
「この間の?」
マキ「はい!この間のです!」
「(この間・・・・・・この間・・・・・・う~~~ん。・・・・・・あっ!)」
〇電車の中
「はぁー、仕事終わったー!」
「俺は夜勤だからな。 今は朝だけど、もう既にお酒を飲んでいるのだ!」
「仕事終わりだからいいでしょ? ・・・・・・うん、いいぞ!」
「これで家に帰って、寝たら最高だぜ! グッスリだぜ!たまんね~」
「他の乗客は今から出勤かなー。 俺は帰るんだけどね~」
マキ「・・・・・・」
マキ「!!」
「うん?」
「隣の女性の後ろにいる奴・・・・・・何か怪しいな。距離が近過ぎないか?」
「何だ。不審だな。 ・・・・・・!!!」
怪しい男「・・・・・・」
マキ「────」
「はっ!間違いない!! でも、どうするか・・・・・・」
「そうだ!!」
「(スマホでメールアプリを・・・・・・)」
「(これで、文字を打ち込んで・・・・・・よし!)」
「(これを女性に見せれば)」
「『大丈夫ですか?嫌な事されてますよね?』」
マキ「!!」
マキ「(・・・・・・はい)」
「(頷いている・・・・・・よし!!)」
「そこのあなた!次の駅で一緒に降りてもらえますか?」
マキ「!?」
怪しい男「は?何で?」
「何でって?分かりますよね? 分からないなら大声で説明しますよ! しましょうか?」
怪しい男「!! はっ?ちょっと当たっただけだろうが!!」
「ちょっと?あれがちょっとですか? そんな風には見えませんでしたけどね! こっちは、はっきりと見たんで!!」
「何より、この人の顔が証拠だろうが!!」
マキ「・・・・・・」
怪しい男「は、はっ?そんなもん証拠にならないだろ!」
「ちょっと誰か手伝ってもらえますか? この人女性を触ってました!」
マキ「────」
怪しい男「はっ!? ふざけんなよ」
近くの乗客「・・・・・・俺も触った様な感じがした!」
近くの乗客2「俺も、何かおかしい動きしてるなと思ってたんだ!」
近くの乗客3「わ、私も、見ました!」
「・・・・・・言い訳は出来ませんよ!」
怪しい男「ふざけんなよ・・・・・・くそ」
〇広い改札
「大丈夫ですか?・・・・・・って、そんな訳ないですよね」
マキ「・・・・・・」
「あの・・・・・・すいません。 何と言ったらいいか分からなくて」
マキ「いえ・・・・・・」
「で、では私はこれで! 失礼します!」
マキ「あっ、あの!!」
〇玄関内
「・・・・・・あぁ~、あの時の! ハハ、雰囲気が違ったからびっくりしちゃいましたよ」
マキ「あぁー、そうですよね。服とか全然違いますよね! すいません。ちゃんとお礼を言いたいなと思いまして、来ました」
「そっかそっか! えっと・・・・・・ちなみにどうしてここの住所が分かったのかな??」
マキ「それは・・・・・・秘密です!!」
「はい?」
マキ「秘密です!!!」
「あぁ~そっかー。ひ、秘密かぁ~」
「り、了解でーす! 何か、わざわざありがとうね! それじゃあ・・・・・・」
マキ「あっ!ちょっと待ってください!!」
「何かな!?」
マキ「今度ちゃんとお礼をしたいので、連絡先交換してください!」
「いや、いいよ!こうして来てくれたので充分だよ! ありがとう。それじゃあ!」
マキ「連絡先!交換しましょう!!」
「・・・・・・はい、喜んで」
マキ「ありがとうございます! では、改めて連絡しますね!」
「う、うん。楽しみにしてるよ」
マキ「ありがとうございます! では、また」
「・・・・・・」
「・・・・・・寝よう、寝よう」
主人公の良い人力がまた発揮されてしまったのですね!主人公は、こうやって助けた3人の女性と進展があったのか気になります!そして、連絡先の謎も……
日本人って人の目を気にしたり、公の場で誰かを助けるとかえってお節介だと思われたり・・とかでなかなか彼の様な行動に出にくいですよね。酔ってなくても、誰でもが堂々と人に手を差し伸べる社会であってほしいです!
朝にお酒を飲んだ後だけ善人パワーを発揮するのが酔拳みたいでユニークですよね。訪ねてくる女性が住所を知っている理由を頑なに話さないのが、初回は不気味に思ったけれど3回目ともなるとクセになって面白くなってきました。