第3話 気まぐれなハリケーン(脚本)
〇事務所
2021年 神奈川県内 桐崎組事務所内
キング「クソっ···俺が突っ込むと見せかけて斎王が地面から引きずり込む作戦バレたか···」
斎王幽羅「手の内バレちゃった以上はどうしようもないかも···」
凪園無頼「あっはっはっは、お前らちょーおもしれーじゃん」
凪園無頼「青ロン毛のおっさんの盾全然壊せねえし、そっちの黒髪も海に潜るみてーに地面に潜ってるしー」
凪園無頼「ねえ会長ーあれやっていい?俺ちょっとマジにやりてえんだけど」
皇牙雷蔵「被害がでかくなる、お前は『ビート』を加減できんからやるな」
斎王幽羅「嘘でしょ!?ビートなんて古い戦法まだ継承されてたの!!?」
キング「ビート···?んだそれ。初めて聞いたぞ」
斎王幽羅「知らなくて当然だよ。ビートっていう特異な呼吸で万物の基本物質『空 水 火 風 土』のどれかを体内生成して放出できるんだよ」
キング「能力いらずじゃねえか!なんで廃れたんだ?」
斎王幽羅「『威力が弱い』んだよ。かなり鍛えこまないと台風や濁流なんて物を起こせないんだ」
凪園無頼「じゃあ俺のビートが弱いか試してみるー?」
皇牙雷蔵「よせ凪園!ビートは使うな!」
凪園無頼「もう俺我慢できねーわ、ごめんねー?会長ー。加減すっからさぁ」
すると凪園は大袈裟な呼吸を数度繰り返した後に、右足を半円を描くように動かす
右足には風が纏われており凪園は左足で地面を強く蹴り飛び上がる
キング「来るぞ!俺の後ろに隠れてろ!」
斎王はキングの言われた通りキングの陰に隠れ、キングは盾を構える
凪園無頼「風のビート『芭蕉扇 天狗風』!!」
キング「槍も水も人さえも、あらゆる害を弾き防ぎそして今日もあるべきものを守る!」
キング「城門障壁(ゲートウェイウォール)!!」
凪園の右足から放たれた風の一撃はその技の名に恥じぬ威力であった。
天狗風と呼ばれるつむじ風の旋風、その威力はかつて山々の木々を一晩でなぎ倒したと伝承が残るほどである
キングが防いでいる風の一撃は『それ程の威力であった』
しかしキングの放った城門障壁(ゲートウェイウォール)はキングの盾から生成された
『城壁』を彷彿とさせるバリケードであった
キング「くっ···なんつー威力だ!斎王、俺は盾に戻るからあとは頼んだ!!」
斎王幽羅「えぇ!?ちょ、キング!!」
キングは自らの肉体を盾に変化させ城門障壁の一部となり攻撃を防ぐことに。
そして少し考えればわかること起こる。それは···
桐崎組 組員「事務所が···事務所の一部分が『ぶっ壊れちまった』!!」
桐崎組事務所の壁が破壊され、斎王とキングは地面へ向け落下した。
桐崎組の事務所の壁には大きな風穴が開き、地面には土埃が舞いそこに残されたのはキングの城門障壁のみであった。
桐崎組 組員「てめぇ凪園!やってくれたな・・・どうケジメとるんだコラァ!!」
凪園無頼「は?俺に指図するわけ?マジでムカつくんだけど」
皇牙雷蔵「凪園、ビートは使うなと言ったはずだぞ。しかも自分自身で加減するとも」
皇牙雷蔵「ヤクザもんならきっちりケジメつけろ。やり方はわかってるな?」
凪園無頼「めんどくさ···はーいもう俺今日から雷王跋会抜けるー」
桐崎組 組員「んだとてめぇ···学生の部活動じゃねえんだぞ!そう簡単にいく訳ねえだろが!!」
凪園無頼「じゃあお前らで捕まえれば?一生かかっても無理だろうけどー」
突如凪園の気分で雷王跋会と桐崎組は混乱に陥る。しかし会長である皇牙雷蔵はとあることに気付く。
皇牙雷蔵「おい、敵のバリケードが消えたぞ。誰か移動した所みたか?」
桐崎組 組員「す、すいません会長···凪園の事で全員が苛立って誰も見てませんでした···」
皇牙雷蔵「起きた事は仕方がねえ、下降りて探してこい」
桐崎組組員が移動を始めようとしたその時、突如として盾が凪園の方に向かって飛んでくる。
そして盾がキングへ瞬時に変化し凪園へショルダータックルをぶつけようとする。
凪園はその読み易い軌道から回避を試みるが、刹那
凪園の左足が僅か数cmだけ地面に埋まる。そして凪園はキングのショルダータックルを受けてしまう
桐崎組 組員「この野郎、お前ら!ブッ殺せ!!」
そこにあったのは見慣れた腕、桐崎組組員は次々に地面に埋まる。
ある者はくるぶし、ある者は膝、ある者は腰まで埋まりようやく彼が姿を現した。
斎王幽羅「成功だね、落下の最中キングが城門障壁と自分を『分離』してなかったらこうはってなかったよ」
キング「へっ、俺にしちゃ結構いい作戦だったって訳だ。さて···色々あったが···」
キング「改めてあのじいさんに喋って貰わねえとな」
皇牙雷蔵「妊婦が殺されたってヤツか?悪いが本当に知らん、知らんが···心当たりはある」
皇牙雷蔵「ただし、条件がある。聞くか?」
キング「あぁ、無茶苦茶じゃなきゃ飲んでやる」
皇牙雷蔵「『凪園を連れてけ』そんでもって二度と雷王跋会の敷居を跨がせるな」
キング「なんだ?気まぐれで無礼もんの部下は雷王跋会にいらねーってか?」
皇牙雷蔵「その通りだ。散々目を掛けてきて多少の事なら目を瞑ってきたがもう沢山だ」
皇牙雷蔵「ヤクザは縦社会だ、それをも守れず自分でケジメもつけれねえガキなんざいらん」
キング「おいおいそこまで言うか普通。なぁ?斎王」
斎王幽羅「間違っては無いと思うよ。ただ···今まで凪園さんに活躍してもらったお陰で雷王跋会も名前が売れた訳で」
斎王幽羅「確かに色々とトラブルが多かったのかも知れないけど、それでも仲間に対して掛ける別れの言葉がそれって···」
斎王幽羅「どうなの?会長さん」
皇牙雷蔵「··· ··· ···繁華街へ行け、そこに居る『紅色派(ビージェンパ)』と呼ばれる中国組織を探ればいい」
まるで台風のような衝撃的な1日。斎王は凪園の足を能力で地面から引っこ抜き桐崎組事務所を出る
帰路につく斎王はどこか怒りの様子が見えキングは口を開けることが出来なかった。
その帰る様子を見ていた皇牙雷蔵、3人の姿が見えなくなった所で口を開く。
皇牙雷蔵「··· ··· ···あの小僧もしやと思ったが···やはり『グレーデイ』の斎王の血縁者か」
桐崎組 組員「グ、グレーデイの斎王!!?し、しかしなぜ···?」
皇牙雷蔵「左の脇腹にXヒーローのギルドマークがあった。グレーデイの斎王はXヒーローの3代目幹部メンバー」
皇牙雷蔵「違うにしても無関係ではないだろう」
桐崎組 組員「い、いかが致しましょう会長。場合によっては人掛けて殺った方が···」
皇牙雷蔵「要らんことをするな、凪園が消えてもう雷王跋会とは無関係の存在だ。ただ全組織に伝えろ」
皇牙雷蔵「『Xヒーローに手を出すな』と」
To Be Continued··· ··· ···