第2話 奔走(脚本)
〇血まみれの部屋
2021年 神奈川県内 某所アパート室内
斎王幽羅「これ···うぅ···酷い死体。お腹が···」
キング「裂かれてやがる···見ろ、切り口が滅茶苦茶だ。恐らく道具かなんか使って無理やり開いたんだろ」
パタッ···という音がなり2人は思わず振り向く。
そこに居たのは仲間の鸞(らん)であった。
斎王幽羅「びっっっっくりしたぁ··· ··· ···驚かさないでよ鸞!」
この男の名は鸞(らん)。斎王達の仲間であり一文字族と呼ばれる『忍者組織』の1人である
鸞「悪かったな。まぁそれより随分派手に殺ったな、どっちが殺ったんだ?」
キング「は?俺たちが殺したって言いてえのかお前!!」
鸞「キングは直情的でやりかねん··· ··· ···が。 違うみたいだな」
斎王幽羅「良かった···信じてくれたんだね。鸞」
鸞「そういう訳じゃない、お前らなら『殺した遺体を放置』なんてしないだろう」
斎王幽羅「それってどういう···こと···?」
斎王幽羅「やばっ、警察来ちゃった!どうしよう···!」
鸞「逃げるしかないだろうな、とりあえずギルド集合にしておこう」
そう言うと鸞は自身の姿を雀に変え窓から飛び立つ。
斎王幽羅「えぇ!!?逃げるしか···ってちょ、待ってよ鸞ー!!」
キング「あの野郎自分だけ逃げやがって!おい、俺たちもズラかるぞ!!」
斎王幽羅「え、ちょ···と、とりあえず窓から外に出よう!外なら俺がキングに触れてれば一緒に地面に潜れる!!」
そう言うと斎王とキングは窓から外へ行き、手を繋いだ状態で地面へ潜りギルドへ向かう。
〇怪しげな酒場
数時間後 Xヒーロー ギルド内メインフロア
キング「てめぇ鸞!来るだけ来て自分だけ早々に逃げやがって、何がしてえんだよ!!」
鸞「悪い悪い、鳥組の会合に顔を出しててその帰りに2人を見かけたから寄っただけだよ」
斎王幽羅「それはともかくとして···どうするの?絶対指紋とか足跡残ってるよあれ」
キング「あの妊婦殺った奴とっ捕まえりゃいいだろ。ここに鸞もいるんだしよ、お得意の忍術でどうにかしてくれるだろ」
鸞「忍術も万能じゃない。痕跡は残っていたが俺は関わるのはごめんだ」
キング「んなこと言ってどうせハッタリだろ?俺はもう騙されねえぞー」
斎王幽羅「そういえばあの辺って桐崎組のナワバリじゃなかったっけ···?そういうこと···?」
鸞「ご明察。痕跡は桐崎組のほうに伸びていた、流石にヤクザに喧嘩ふっかける訳にはいかないからな」
キング「おい、もう嗅ぎつけてきたぞ。どうする!?」
鸞「下がってて。『写し鏡の術』」
するとギルドの外壁に1mmあるかないかの鏡が貼られる。
警察は近づきこちらを見るも不思議な顔をしながら車に戻りその場を去っていった
斎王幽羅「い、行ったね··· ··· ···どうしよっか···」
キング「どうしようだぁ?やる事は1つだろ!!」
斎王幽羅「やっぱ行くの?俺怖いよ···ヤクザだよ?相手」
キング「来たくなきゃ来んな、俺は1人でも行く」
斎王幽羅「もう··· ··· ···俺も行くよキング、2人でどうにかしよう」
2人は歩を桐崎組へ進める。鸞はそんな2人を何も言わず見送りそして静かに動き出す。
〇事務所
神奈川県内 桐崎組事務所内
キングと斎王は意気揚々と桐崎組の事務所へ来たもののあっさり捕まった。そして現在···
桐崎組 組員「お前ら何してんのかわかってんのか?ヤクザの事務所にカチコミかけてきやがって···」
桐崎組 組員「タダで帰れると思うなよ!?」
キング「うるせえ!!てめえらがアパートで妊婦殺したってわかってんだ、なんで殺したか教えろ!!」
斎王幽羅「キ、キング···!そんな言い方しちゃダメだって···!!す、すいません···今のは冗談で···」
桐崎組 組員「冗談で済まされると思うな!ヤクザ舐めっとどうなるか思い知らせてやる!!」
桐崎組の組員はガラスの灰皿を持ちキングに襲いかかろうとする。
刹那、『ガチャ』っと扉が開くと桐崎組の組員は灰皿を置き頭を下げる。
そこに居たのは和服の老人と恐らくヤクザと思われる男達であった。
老人はソファに座り斎王とキングを対面に座らせろ。と部下に指示
そして···数分の沈黙の後口を開いたのは···
皇牙雷蔵「カタギのお2人さん、下のもんが粗相してすまんね。んで···何の用だい」
キング「そいつにも言ったが今日アパートで妊婦が殺されてた。仲間は現場にあった痕跡が此処に続いてるって言ったから俺達は来た」
キング「お偉いのじいさん、なんで殺したか喋ってもらおうじゃねえか」
皇牙雷蔵「痕跡が続いてたって言うが俺らヤクザに濡れ衣着せようとしてる奴がいるって考えにはならねえのか?」
斎王幽羅「警察とかがですか···?それはないんじゃ···」
皇牙雷蔵「ほう?どうして言い切れるんだ若いの」
斎王幽羅「だって桐崎組って県内一の力をもつ『雷王跋会』の枝の組織じゃなかったでしたっけ···?」
皇牙雷蔵「確かにそうだがそれがどうした、雷王跋会といえど反社会的勢力。敵はわんさかいるぞ」
斎王幽羅「そういうのを···『狂風』で黙らせて来たんじゃ···」
皇牙雷蔵「かもな。じゃあその狂風にどうにかしてもらうとするか、凪園」
そう言うと「は~い」というとてもヤクザとは思えない気の抜けた返事と共に男が1人前へ出てくる
皇牙雷蔵「雷王跋会は自分達に不都合な敵をお前を使って対処していたそうだ。凪園、好きに暴れろ」
凪園無頼「りょうかーい。じゃあ、手始めに···腕でも折っとく?」
キング「斎王下がってろ、こいつが本当に雷王跋会の狂風ならお前じゃ相手にならんだろ」
斎王幽羅「そうかもしれないけど肉壁ぐらいにならなれるよ俺。それにここってビルでしょ?『床』いけると思う」
突如として戦闘となった2人。対する相手は『狂風』の異名を持つ男、2人は肩を並べ構えを取る
そんな中、男は狭い部屋の中で大袈裟な呼吸をし始めた。
To Be Continued··· ··· ···