DAY21:説得(脚本)
〇綺麗な部屋
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
三澤梨々花「・・・お姉ちゃん」
三澤乃梨子「・・・うん・・・」
三澤梨々花「この状況どうするの!? 修兄、完全に誤解してるよ!」
三澤乃梨子「そうね 完全に犯罪者に向ける眼差しで はるかを見てるわね・・・」
三澤梨々花「なんとかしないと! 先生の身が・・・! やっぱり正直に事情話そうよ」
三澤乃梨子「それはマズイわ💦 男のうちであんたをバイトさせてるなんて知れたら、あたしの身が危険じゃないの!!」
三澤梨々花「カレシだと思われるのもマズいでしょ!」
三澤梨々花「そもそもなんで修兄ちゃんがいるの!? 来るなんて連絡なかったけど」
三澤乃梨子「・・・たぶん、あんたにサプライズでもしようと思ったんじゃないの? ほら、ケーキ持ってきてたし」
三澤梨々花「誰の誕生日ーー!? お姉ちゃんも私もまだだけど💦」
三澤乃梨子「・・・あんた、来月誕生日でしょ 前祝いよ、きっと 時々奇行に走るわよね、アイツ・・・」
三澤梨々花「前祝いすぎるよ!💦 一か月も先なのに!」
三澤梨々花「う~とにかくどうしよう? あっケーキ切る!? ケーキ食べようってごかまして先生逃がす!?」
三澤乃梨子「ダメよ、そんなんじゃ! 一服盛るくらいしないと──」
九堂修也「・・・二人とも、全部聞こえてるからね?」
九堂修也「・・・で、 じゃあ君は何者なの?」
九堂修也「僕のかわいい姪っ子の彼氏じゃないなら、いったいどんな関係かな? 先生ってなに? どういう理由で彼女が君の車に乗ってたの?」
九堂修也「言っとくけど、僕は元刑事で今は探偵だ ちょっとした表情や声の変化で嘘はわかるからね」
落合はるか「・・・・・・・・・・・・・・・(はあ)」
落合はるか「・・・ご挨拶が遅れて申し訳ありません 落合といいます 身分は大学生ですが、作家でもあります」
九堂修也「作家・・・小説家?」
九堂修也「落合はるか―― 書店でよく見かける名前だな かなり人気だとか・・・君が??」
落合はるか「はい 姪御さんとは、雇用主と従業員の関係です うちでアルバイトをしてもらってます」
九堂修也「アルバイト? ちょっと、りーちゃんどういうこと?」
九堂修也「バイトってたしか小学生の家庭教師じゃなかったっけ!?」
三澤梨々花「え、えっと・・・その」
落合はるか「彼女には週に二度、うちでハウスキーパーをしてもらっています」
落合はるか「作家という職業柄生活が不規則なため、不摂生で体調を崩すのを担当に心配されまして」
落合はるか「もともと友人だった乃梨子さんから、家事の得意だという妹さんを紹介して頂きました」
九堂修也「ハウスキーパー!? おおお、男の家で!? りーちゃん僕に嘘ついてたの!?」
三澤梨々花「ご、ごめんなさい! だって修兄過保護だから、絶対反対されると思って💦」
九堂修也「なんてことだッ!!」
九堂修也「ていうか乃梨子!紹介ってなんだ! りーちゃんはうら若き17歳の乙女だぞ!? それを、若い男の、狼の家に一人でなんて──」
三澤乃梨子「わ、悪かったわよ、黙ってて💦 でも色々と事情が──」
落合はるか「無理を言ってアルバイトを頼み込んだのはこちらです 原稿の締切も迫っていて、他で探す余裕もなかったので」
三澤梨々花(・・・え?)
落合はるか「ですが、雇用主と従業員として適切な距離はきちんと保っていますし 学業に支障がないよう、時間も短時間でお願いしています」
落合はるか「ただ、今日は俺の都合で遅くなってしまったので、家まで送らせてもらいました」
落合はるか「誤解を生むような真似をしてしまい申し訳ありません ですが、危惧されているような関係ではありませんので、どうかご心配なく」
三澤梨々花(・・・先生、私たちを庇ってくれた・・・?)
三澤梨々花(それに、こんなキリっとした先生、初めて見るかも・・・ なんか、ちょっとカッコイイ・・・)
九堂修也「・・・本当に手は出してないんだな?」
落合はるか「ないですね」
九堂修也「気持ちいいほど即答だな」
九堂修也「それはそれで腹が立つ! りーちゃんが、うちの天使が魅力的でないとでも!?」
三澤乃梨子「修也・・・あんたどこまで姪バカなの 何もないって言ってるんだからそれでいいじゃない」
三澤乃梨子「はるかが信用できるってことはあたしが保証するわ アルバイトのことも、彼の担当編集がちゃんと管理してくれてるし」
三澤梨々花「そうだよ! 先生は私を心配して送ってくれただけで、やましいことは何もないから!」
三澤梨々花「それ以上は先生に失礼だし 修兄は私のことも信用してないの?」
九堂修也「そ、そんなこと・・・ でもりーちゃんを心配するのは当然だろ!」
九堂修也「赤ちゃんの時ミルクもあげたしオムツだって交換したし、小学生の時は一緒にお風呂だって入ったし――僕には娘のような存在なんだ」
三澤梨々花「きゃーー! 今そんなこと大声で言わないでよ~!」
落合はるか「・・・・・なんか大変だな」
三澤乃梨子「察してくれてうれしいわ・・・」
九堂修也「りーちゃん・・・ じゃあ納得してこのバイトを引き受けてるってこと? 無理やりではなく?」
三澤梨々花「そうだよ」
三澤梨々花(最初は違ったけど・・・)
三澤梨々花「私、この先も続けたいの ウソついたのはごめんなさい これからはちゃんと正直に言うから 許して欲しいんだ」
九堂修也「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
九堂修也「りーちゃんの嘘が見抜けないなんて、僕もまだまだだな・・・ 他の人間なら見逃すことはないんだけどね」
九堂修也「わかったよ・・・ 見たところ、彼は嘘はついていないし、良識のあるまともな若者のようだ」
九堂修也「でも落合はるかはペンネームだろ? 念のため、身分証を見せてもらえるかな?」
三澤梨々花「もう、修兄!」
落合はるか「いいよ、別に構わない 免許証でいいなら、どうぞ」
九堂修也「・・・貴島悠河・・・?」
九堂修也「もしかして君、弟さんがいる? 実家は初白台だったり?」
落合はるか「・・・ええ、そうですが」
九堂修也「まじか・・・! 君、貴島警視監の息子さんか・・・!」
三澤梨々花「けいし・・・かん?」
九堂修也「簡単に言うと警察庁のお偉いさんだよ 僕が警察にいた頃も幹部クラスだったけどあっという間に今や刑事局長だ」
三澤梨々花(そういえば里見くんがそんな話してたかも よくわからないけど 先生のお父さんて、すごい人なんだ・・・!)
三澤梨々花「あ、じゃあ修兄が刑事時代にお世話になった人って、先生のお父さん?」
九堂修也「いや、こないだ会ったのは別の人 でも貴島さんは一番世話になった人だ」
九堂修也「今でも気にかけてくれてて・・・ 何度か君の実家にお邪魔して、食事をごちそうになったこともあるよ 気さくな人なんだ」
九堂修也「その時にちらっとご家族の話も聞いてさ、息子さんが二人いるって まさかこんなところで会うとはね・・・」
落合はるか「・・・父と俺は無関係です 家を出てからは一度も会っていませんし あちらも俺のことなど気にかけてはいないでしょう」
三澤梨々花(・・・先生?)
九堂修也「・・・色々とあるようだから 空気を読んでこれ以上触れないでおくよ」
九堂修也「でもお世話になった元上司の息子さんとはいえ、りーちゃんのことは別問題だから!」
九堂修也「引き続き、適切な距離を保つように心がけてくれたまえ」
落合はるか「はあ・・・」
九堂修也「それから乃梨子、お前はこの後説教だ」
三澤乃梨子「はぁ!? なんでよ! ケーキ食べるんじゃないの?」
九堂修也「それはりーちゃんの生誕一カ月前記念のケーキで、お前のじゃないっ!」
三澤梨々花(・・・とりあえず許してもらえたみたい ・・・でも・・・)
三澤梨々花(先生には・・・ 秘密が色々あるみたい・・・?)
修也さんの奇行・妄想のオンパレード回ですね!何と重すぎる愛情ww
そのおかげか、対比的に、はるか先生が理知的な常識人に映りますね。梨々花ちゃんにとってもでしょうかね?
九堂さん、梨々花の叔父ならそこそこ年重ねてるはずなのに元気だな〜笑 姪思いって意味では良い叔父さんですね笑
とか思っていたらはるかにもまだ秘密があるとは…
この先も楽しみです!!!