血筋と器(脚本)
〇おしゃれな食堂
司会「本日は皆様、ご多忙中のなかたくさんのご臨席をたまわりましてありがとうございます」
司会「ただ今から、田処秀一先生の出版記念を祝いまして、出版記念パーティーを始めさせていただきます」
古城玲菜「凄い人ばかりで緊張するー」
古城文彦「大丈夫だよ。 みんな肩書きは凄いけど、気さくな方ばかりだから」
古城文彦「たまには育児から離れて、こういう場もたのしまなくちゃ」
古城文彦「・・・ま、僕が玲菜を見せびらかしたいだけなんだけどね」
古城玲菜「もー!文彦さんったらー」
古城文彦「あ、飲み物持ってくるね」
古城玲菜「ありがとう」
古城玲菜「・・・」
古城玲菜「家にばかりいると、お化粧とかしっかりしないから、こういう機会があるのは女性としてありがたいな」
古城玲菜「洋服とかも、ちょっと油断すると入らなくなっちゃうし」
古城玲菜「文彦さんは、いつも私や子供たちの事を考えてくれていて、本当に優しい!」
古城玲菜「・・・」
穏やかで優しい日々。
古城玲菜「望んでいた結婚生活、そのもの!」
古城玲菜「なのに・・・」
なんだろう。
何かが足りない・・・
〇明るいリビング
先日、突然涼太から
電話がかかってきた。
「あ、玲菜? おれおれ!涼太!」
古城玲菜「涼太・・・さん?」
「おう! 今日、めっちゃ久しぶりに文彦に会ってお茶したんだよ」
古城玲菜「ええ。文彦さんから聞いたわ」
「なーんだ。もう連絡したのか! 仲良いなー」
古城玲菜「おかげさまで、仲良くやってますよ」
「・・・」
「・・・なんか、ヤダなぁ」
古城玲菜「何が!涼太には関係ないでしょ!」
「玲菜は俺のことを一番好きでないと ダメなんだよ」
古城玲菜「はあ?」
「なんかさぁ。 やっぱ俺は玲菜が一番なんだよな」
古城玲菜「美桜さんがいるでしょ!」
「だから、美桜は家族じゃん! 玲菜も文彦は家族だろ?」
古城玲菜「確かに文彦さんは家族だけど、 恋人でもあるし、一番信頼できる人なの!」
「・・・それは困る」
古城玲菜「とにかく! 恋人でもなんでもないんだから 一番もなにもないでしょ!」
「えー。 でも、やっぱ俺は、玲菜の一番がいいー」
古城玲菜「・・・もぉ、ホントにホントに」
古城玲菜「ばっかじゃないの!」
〇おしゃれな食堂
古城玲菜「思い出すだけでイライラする」
古城文彦「玲菜! なんて顔してるんだよー」
古城玲菜「あ、いや、なんか緊張しちゃって・・・」
古城文彦「ほら!これでも飲んで落ち着いて」
古城玲菜「ありがとう!」
古城玲菜「ぷはぁ。 美味しーい!」
古城文彦「良い飲みっぷりだなぁ」
古城玲菜「だって、喉乾いていたんだもん」
古城文彦「で、玲菜に紹介したい人がいるんだよ」
古城玲菜「え?私に?」
古城文彦「あそこでワイングラス持っている男性ね。 常盤大吾さんって言うんだ」
古城文彦「・・・」
古城文彦「涼太の奥さまのお父さまだよ」
古城玲菜「美桜さんの!?」
〇宇宙空間
涼太の奥さまは、『美しい桜』と書いて
美桜と言う。
お父さまが官僚で
生まれた時から、エリートの道を
進んでいたお嬢様だと聞いていた。
古城玲菜「結婚する前は、 彼女の家族の反対が切っ掛けで」
古城玲菜「二人は離れたり、くっついたりを 繰り返していたって、聞いたな」
古城玲菜「その間に、私と涼太は出会った・・・」
〇おしゃれな食堂
古城文彦「常盤さん! 私の妻の玲菜です」
古城玲菜「常盤さま、はじめまして。 玲菜と申します。おめにかかれて光栄です」
常盤大吾「これはこれは!奥さま。はじめまして! 私、常盤と申します」
常盤大吾「いやぁ、噂通り。美しいし、それでいて芯が通っているような力強さを感じる」
常盤大吾「S社での活躍ぶり、いまだに語り継がれておりますぞ。カリスマ的存在ですな!」
古城玲菜「そんな・・・嬉しいです! ありがとうございます」
古城文彦「玲菜。 常盤さんは、歌が凄くお上手なんだよ。 特にシャンソンがまた、素晴らしくて!」
常盤大吾「古城くん。あ、あれは、ほんの余興で・・・」
古城文彦「え?本当に素晴らしかったですよ!」
古城玲菜「私も聴きたいです!」
常盤大吾「古城くんのその真っ直ぐな目には 本当に敵わんなぁ」
古城玲菜「そこが主人の良いところなんです」
常盤大吾「違いない!」
古城文彦「・・・」
古城文彦「・・・よくわからないけど、いっか!」
常盤大吾「あー、本当に古城くんのような 息子が欲しかった」
常盤大吾「・・・」
常盤大吾「はぁ・・・」
古城文彦「涼太さんがいるじゃないですか」
常盤大吾「あいつはダメだ。 いっつも口先ばかりで」
常盤大吾「美桜が折れないから、 仕方がなく結婚を認めてやったが・・・」
常盤大吾「常盤家の身内としては認めん。 血筋が違い過ぎる」
常盤大吾「せめて、古城くんや玲菜さんのように 仕事で名をあげてくれれば良いのだが、」
常盤大吾「彼はそのような器は持っていない。 口だけの男だからな・・・」
常盤大吾「美桜もすっかり身体が弱くなってしまったし、あいつは疫病神だ・・・はぁ」
古城玲菜「常盤さまには素敵なお孫さんが いらっしゃるじゃないですか!」
古城玲菜「お孫さん、可愛さの中に気品があって 素敵なお嬢さまじゃないですか」
常盤大吾「孫は、ですな! 私が言うのもなんですが、 うちの血筋だから間違いない!」
古城文彦「涼太さんのおかげでもあるのですから、 もう少し優しくしてあげてください!」
常盤大吾「まぁ、彼は関係ないから・・・」
常盤大吾「・・・あっ、いや」
常盤大吾「こ、今度、ホームパーティする時には お声がけしますので、ぜひ!来てください!」
「・・・はい!」
常盤大吾「おっと!呼ばれてるので、 また!」
古城玲菜「文彦さん。 美桜さんのお父さまとお知り合いだなんて」
古城文彦「・・・ビックリした?」
古城文彦「僕も、最近知ったんだけどね。 それまでは、取引先のパーティーでよく見かける程度の仲だったから」
古城文彦「たまたま、同じテーブルになった時に お孫さんの写真を見せてもらって。 そこに涼太が見切れてた」
古城文彦「・・・その時、言ってたんだよ」
『娘はとんでもない
野良犬を拾ってきた』って・・・
古城玲菜「野良犬・・・」
また個性的なお父さんが出て来てくれました。
これは楽しい展開🎶
もしかしたら涼太は見掛けより幸せな結婚生活ではないのかしら?涼太の電話での『1番』というワードにも引っかかります。
お仕事お疲れさまです。ご自愛しながら頑張ってくださいね!
今回もモヤモヤやドロドロの感情が強く感じられて、更新が嬉しいです!(どうぞ余裕のある時に次話を読ませてください)
美桜さんの父親も登場し、涼太さんとの関係にどのような影響を及ぼす(及ぼしている)のか、すごく気になります!