ネクタイリング2

サトJun(サトウ純子)

杏奈の復縁(脚本)

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〇テラス席
綾瀬杏奈「あー! 久しぶりにゆっくりしたー!」
古城玲菜「私も! こんなにゆっくり外でご飯が食べれるだなんて、幸せー」
「ねーっ!」
古城玲菜「・・・子供たち。 家まで河村部長が連れて来てくれるの?」
綾瀬杏奈「そうよ。 たまーに、そういう日をつくってるの」
綾瀬杏奈「やっぱり、二人にとってはパパだからね。 そこは大事にしてあげないと!」
古城玲菜「・・・」
古城玲菜「復縁の話はどうなったの?」
綾瀬杏奈「あー、あれねー。 まだ、返事してない!」
古城玲菜「まんざらでもない感じだったから。 てっきり決めたのかと」
綾瀬杏奈「それがねぇ・・・」
綾瀬杏奈「いまだに時々、あの女と連絡取っているのよ」
古城玲菜「あの、田舎の資産家と結婚したっていう、元部下の人と!?」
綾瀬杏奈「そうよ!」
綾瀬杏奈「あの女。『田舎がつまらない』とか、『実家に用事があって』とか。何かと口実をつくってこっちに来ているみたいなの」
綾瀬杏奈「単なる相談だって言うけど、 あの女の顔を思い出す度にイライラするし!」
綾瀬杏奈「そういうのを平気で相手にするアイツも 許せなくて」
古城玲菜「杏奈。 まだ、河村部長のこと、大好きなのね?」
綾瀬杏奈「そ、そんな事ないわよ!」
古城玲菜「図星ね!」
綾瀬杏奈「・・・」
綾瀬杏奈「一緒に暮らすようになったら、 そういうのがまた、目に入ってくるわけじゃない」
綾瀬杏奈「もちろん! 私にも優しいし、人として誠実であるのはわかるのよ?」
綾瀬杏奈「でも、また、あのイライラした日々がはじまると思うと・・・踏み切れなくて」
綾瀬杏奈「・・・だってね」
綾瀬杏奈「たぶん」
綾瀬杏奈「あの女の顔を見たらきっと」
  ──今度こそ、殺したくなっちゃう
綾瀬杏奈「・・・」
綾瀬杏奈「なーんてね!」
古城玲菜「相変わらずね」
古城玲菜「あ、文彦さんからだわ」
古城玲菜「『夕飯の支度もしとくから、 ゆっくりしてきてー!』だって!」
綾瀬杏奈「文彦さん、ホント優しいよねー!」
古城玲菜「私よりずっと気が利くわよ」
綾瀬杏奈「・・・」
綾瀬杏奈「玲菜は大丈夫・・・なの?」
綾瀬杏奈「皆んなに優しい旦那って、疲れない?」
古城玲菜「・・・確かに」
  文彦さんも優しい人──

〇水たまり
  私と文彦さんは、9年前に
  涼太のマンションの前で出会って
岩本玲菜「なんなのよっ!」
古城文彦「ごめんなさい・・・」
  お互いに、一番みっともない姿を晒し
「えっ!? あの時の!」
  その後、偶然に仕事で再会
岩本玲菜「頑張りましょう!」
古城文彦「よろしくお願いします」
  涼太を見返そうと、一緒に頑張った同志

〇明るいリビング
  もちろん
古城文彦「玲菜、だーい好き!」
古城玲菜「私も文彦さんが、大好きよ」
  お互いに、好きになって、結婚したけど
古城玲菜「その感じは、小学生の恋みたいな・・・」
  『恋愛ごっこ』?みたいな感じ?

〇ゆめかわ
  だから、お互いの年齢を考えて
  子育ての計画を始めた時も
  とことん話し合って
  体外受精をする事に決めた──

〇テラス席
古城玲菜「・・・」
古城玲菜「なんだろうね。 あまり心配していないのよね」
綾瀬杏奈「良いなぁ。信頼し合っているのね!」
古城玲菜「えへへ」
  ヤキモチを妬く関係
  ヤキモチを妬かない関係
  どっちが理想の夫婦・・・かな?
綾瀬杏奈「・・・」
綾瀬杏奈「玲菜。実はね」
綾瀬杏奈「この間、あの女の嫁ぎ先、行ってきたの」
古城玲菜「えっ!?」
綾瀬杏奈「あの女がこっちに来ている時に、子供達と一緒にね。あの写真を持って」
綾瀬杏奈「年上の旦那さんってきいていたけど、もう、本当に定年間近の方でね。びっくりしたわ」
綾瀬杏奈「『愛されていない事には気付いていた。財産目当てだとも思っていた』って」
古城玲菜「じゃあ、なんで結婚したのよ!」
綾瀬杏奈「・・・」
綾瀬杏奈「昔、駆け落ちした恋人に似ているらしいの」

〇木調
  20年前。
  彼は、病弱だった彼女を連れ出して
  遠くまで旅をしたらしい。
  しかし、彼女はそれが原因で
  命を早めてしまった──

〇テラス席
綾瀬杏奈「だから、元気な彼女を見ているようで それだけで幸せなんだって」
綾瀬杏奈「あと一年で定年だから、それまで待って欲しいって言われたわ」
古城玲菜「定年と関係あるの?」
綾瀬杏奈「まぁ、多分。 定年したらずっと一緒にいる事になるから、あまり自由にしないって事じゃないかな?」
古城玲菜「杏奈はそれで良いの?」
綾瀬杏奈「・・・」
綾瀬杏奈「仕方がないじゃない。 必死に頼まれちゃったし・・・」
綾瀬杏奈「それにね」
綾瀬杏奈「その間、彼女がこっちに来る度に 迷惑料がっぽりくれるって言うからー」
綾瀬杏奈「一年くらいだったら、良いかなーって」
古城玲菜「あのねー」
綾瀬杏奈「だから、復縁は保留なの」
古城玲菜「ま、なるほどね。 そういう事なら、ちょっと安心したわ」
  でも、私の目には
  笑って誤魔化している杏奈の首にも
  ネクタイリングが
  ──見えた
  気がした──

コメント

  • いろんな夫婦のカタチ、いろんな愛のカタチ、読んでいて本当にゾクゾクします!
    そして、杏奈さんのターンでは、何かしら驚きの行動を期待しちゃっていますw 今回も凄まじいですね!

  • 杏奈の闇が再び!
    嫁ぎ先にまで凸撃していたのが、期待通りで嬉しいす。
    『なーんちゃって』を聞く度に、何かをやらかしそうで背筋が……😅

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