そうだ、文明を捨てよう

ゆきんこ

#3 草笛は意外に高い音が出るから、耳元では吹かないこと 以上!(脚本)

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〇山中の川
花子(ハナコ)「ペットボトルのフィルムとキャップを分別できないような人たちとは、」
花子(ハナコ)「一緒に生活できません!」
花子(ハナコ)「解・散!」
萌花(モカ)(あの冷静なママが、 こんなことで怒るなんて!)
萌花(モカ)「パパ!ママを引き留めて!!」
太郎(タロウ)「ウウ〜」
太郎(タロウ)「お見合い結婚してから17年」
太郎(タロウ)「すぐに萌花を授かり」
太郎(タロウ)「仕事と家庭を両立、ソツなく淡々と日常生活を過ごしていた花子クンが・・・」
太郎(タロウ)「ブツブツブツブツブツブツブツブツ・・・」
太郎(タロウ)「異常!」
萌花(モカ)「エッ!?」
萌花(モカ)「作者がまた、書き間違ったのかと思ったけど」
萌花(モカ)「『以上』じゃなくて『異常』って言った?」

〇黒
  ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ

〇山中の川
萌花(モカ)「パパが・・・」
萌花(モカ)「現実を受け入れられなくて、自分の殻に閉じこもっちゃった〜!」
萌花(モカ)「ママを追いかけたいけど、コッチも置いて行けないよぅ!」
萌花(モカ)「どっちも早く戻って来てェ〜!!」

〇山の中
太郎(殻付き)「ブツブツブツブツブツブツ・・・」
萌花(モカ)「日が暮れる・・・」
萌花(モカ)「ヤバイよ・・・」
萌花(モカ)「遭難した上に、 家族解散だなんてツラッ!」
萌花(モカ)「こんな時、ネットの知恵袋に相談したら直ぐに答えが返ってくるのになあ」
萌花(モカ)「スマホ欲しい・・・」
萌花(モカ)「お腹空いた・・・」
萌花(モカ)「もう考えるの、面倒くさい・・・」

〇山の中
  萌花がスマホを忘れるまでは
  絶対に帰らないぞ!
  萌花のためなら!

〇山の中
萌花(殻付き)「・・・」
萌花(殻付き)「ゼッタイ違う・・・」
萌花(殻付き)「そりゃあ何もしないのは楽だけど」
萌花(殻付き)「殻に閉じこもっている場合か、私よ!」
萌花(殻付き)「頑張れ自分! 負けるな自分!!」
萌花(殻付き)「私が2人をどうにかしなきゃ!」
萌花(モカ)「復活ッ!!」
萌花(モカ)「あ〜危なかった」
萌花(モカ)「もうちょいでクルミ人間になるトコロだったよ!」
萌花(モカ)「とりあえず、パパを正気に戻さなきゃ!」
萌花(モカ)「目を覚まさせるものといえば、何? 目覚まし時計?」
萌花(モカ)「そんなモノ、ココには無いよね」
萌花(モカ)「見渡す限り草ばかり・・・」
萌花(モカ)「草といえば・・・アレないのかな!? 子供の頃、よく遊んだ雑草・・・」
萌花(モカ)「んんと・・・」
萌花(モカ)「あった!『スズメノテッポウ』」
萌花(モカ)「この草の穂を引き抜いて」
萌花(モカ)「穂を抜いた後の穴の部分を吹くと・・・」
太郎(タロウ)「何の音だ! Jアラートか!?」
萌花(モカ)「パパ!正気に戻ったのね」
太郎(タロウ)「正気に・・・!?」
太郎(タロウ)「待たせたな、萌花!」
太郎(タロウ)「完全に再起動したよ」
萌花(モカ)「良かった!」
萌花(モカ)「昔パパと遊んだ草笛が役に立ったよ!!」
太郎(タロウ)「フリーズした思考回路を強制終了して」
太郎(タロウ)「サーバーのOSアップデートをし、脆弱なセキュリティを見直した!」
萌花(モカ)「・・・・・・は?」
太郎(タロウ)「パパは役所で、毎日クレーム処理や無理難題を言う住民たちの意見をまとめている」
太郎(タロウ)「このくらいのシステムダウン、乗り越えてみせる!!」
太郎(タロウ)「先ずはデータを抽出してグラフを作り、問題点を視覚化しよう」
太郎(タロウ)「パソコン・・・が無いから、 地面に木の棒で書いていくか」
太郎(タロウ)「萌花、手伝ってくれ!」
萌花(モカ)(なんか違う・・・)

〇山中の坂道
花子(ハナコ)「フゥゥ〜!」
花子(ハナコ)「言ってやった言ってやった!」
花子(ハナコ)「17年間、一度も家族に不満をブツケたことは無かったのに」
花子(ハナコ)「何だかスラスラ口から言葉が出てきたわ!」
花子(ハナコ)「・・・」
花子(ハナコ)「後悔」
花子(ハナコ)「私、一体どうしたのかしら・・・」
花子(ハナコ)「こんなに長い時間、家族で話すことが無かったから」
花子(ハナコ)「つい、本音が出た?」
花子(ハナコ)「本音・・・?」
花子(ハナコ)「いつから私は家族に本音を言えて無かったんだろう」
花子(ハナコ)「萌花が赤ちゃんの時は、もっと太郎クンに甘えていたのに・・・」

〇一戸建て
  17年前

〇清潔な浴室
萌花(幼児)「オギャアーオギャアー」
太郎(タロウ)「沐浴は気持ちが良い筈なのに、いつも泣かせてしまう」
太郎(タロウ)「何故泣いてしまうのか、原因を究明したい!!」
太郎(タロウ)「しかし、何も出来ない萌花を放置して調べることは虐待!」
太郎(タロウ)「一体、私はどうしたら良いのだ!」
花子(ハナコ)「太郎クン、本音がダダ漏れよ」
太郎(タロウ)「私は駄目な父親だ」
花子(ハナコ)「初めてのことを上手くこなせる人の方が少数派よ」
花子(ハナコ)「それより、お風呂場までスーツなんて!」
花子(ハナコ)「相変わらず真面目で素敵♥」
太郎(タロウ)「花子クンこそ安定の白衣じゃないか」
太郎(タロウ)「だが、それが君らしい」
太郎(タロウ)「白衣の下も素敵だけどね!」
花子(ハナコ)「太郎クンッたらあ!」
花子(ハナコ)「まだ夜の白衣は脱がせないゾ!」
花子(ハナコ)「コホン」
花子(ハナコ)「萌花の沐浴に手こずっているようだったから、今日は便利グッズを購入してきたわ」
花子(ハナコ)「ジャーン!」
太郎(タロウ)「おお!何だこのアイテムは」
太郎(タロウ)「装着するだけで、萌花がラッコになった!」
萌花(幼児)「キャキャキャ!」
太郎(タロウ)「しかも、いきなりご機嫌だ!!」
花子(ハナコ)「ベビーフロートという商品名の浮き輪リングよ」
花子(ハナコ)「コレなら萌花を洗う間、泣かせる心配は無いわね!」
花子(ハナコ)「しかも」
花子(ハナコ)「ホントのラッコみたいにお湯に浮いて、カワイイわね!」
太郎(タロウ)「見方を変えるとラッコに喰われているように見えなくもないが・・・」
花子(ハナコ)「太郎クンのジョークは最高ね!公務員より芸人になった方が良かったかも」
太郎(タロウ)「私もそう思うよ」
太郎(タロウ)「とにかく愛らしい組み合わせだな!」
「ラッコ=萌花=カワイイ!!」

〇山中の坂道
花子(ハナコ)「大学病院の研究室に復帰してから、家族と過ごす時間は減ってしまった」
花子(ハナコ)「研究への情熱を捨てきれなかった私はスマホに子守りをさせ」
花子(ハナコ)「業務連絡以外に会話をしなくなっていったんだ・・・」
花子(ハナコ)「日常生活を離れてやっと自分の気持ちに気づいたけど」
花子(ハナコ)「これから私は一体、どうしたら良いの?」

〇山の中
太郎(タロウ)「よし、花子クンへの提案書がまとまったぞ!」
太郎(タロウ)「後はホウレンソウの徹底だな!」
萌花(モカ)「ホウレンソウなんて生えてないよ」
太郎(タロウ)「報告、連絡、相談。 仕事には欠かせないスキルだ」
太郎(タロウ)「以上!」
萌花(モカ)「パパのバカ!!」
萌花(モカ)「何がホウレンソウよ・・・」
萌花(モカ)「ママはもう、チンゲンサイになっちゃったんだよ!?」
太郎(タロウ)「チチ、チンゲンサイ?」
萌花(モカ)「沈黙する 『チン』 限界まで言わない 『ゲン』」
萌花(モカ)「そして、最後まで我慢の『サイ』!!」
太郎(タロウ)「チンゲンサイ・・・なんと!」
萌花(モカ)「マニュアル通り行動することで、 解決できるワケじゃない!!」
萌花(モカ)「ママは取引先でも、クレーマーでも無いわ!」
萌花(モカ)「しっかりママという人間と向きあって、美味しい『おひたし』にするべきよ!!」
萌花(モカ)「以上!」

次のエピソード:#4 チンゲンサイで美味しいおひたしを作ろう 以上!

コメント

  • この家族は殻にこもるとあぁなってしまうのか……
    一筋縄ではいかない家族だ……
    お互いが傷つけ合わずに本音を言い合えるのは理想です。チンゲンサイじゃいけませんね……なんか色々と知識が増えていく物語です😆😆😆✨

  • ギャグ回になってしまったのかと思いましたが笑、すべてに意味があったんですね。
    両親は突然突拍子もない行動を取ってしまいますが、娘大事の気持ちは忘れてないですよね。

  • この家族は殻にこもると皆ああなるんですね。面白かったです。
    おひたしのビジネスワードがあるとは知りませんでした。ほうれん草はもちろん知ってましたが。確かにこちらも大切です。
    ほうれん草はもう最近レンジでしかおひたし作らなくなりました。

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