第六話「救世主」(脚本)
〇コンビニ
響子(なんとしても・・・ メモリースティックを手に入れてみせる)
響子(向井を酔わせることさえできれば 簡単のはず──)
黒服の男「わかっているだろうな?」
響子「必ず・・・やり遂げます。 だから、約束を守ってください」
黒服の男「・・・ああ」
響子(私は・・・手段を選んではいられない)
〇明るいリビング
響子「!?」
響子「! どうして・・・!」
向井俊介「きょ、響子・・・」
響子「こ、この手・・・もしかして、自分で? なんで自殺なんか──」
向井俊介「由奈のこと・・・悪かった・・・ ずっとちゃんと謝りたかった」
響子「そんなこと・・・なんで今さら・・・」
向井俊介「すま・・・な・・・い」
響子「!? ねえ・・・! ちょっと待って。 死なないで! 死ぬ前に教えて!」
向井俊介「・・・・・・」
響子「あなたが持ってるんでしょ? それともどこかに隠したの?」
向井俊介「持ってる・・・?」
響子「メモリースティックよ!! 私はあれが必要なの!」
向井俊介「・・・大見に渡すからか?」
響子「!」
向井は何もなかったように立ち上がる。
響子「え、嘘・・・」
向井俊介「信じたくなかった・・・ お前と大見が繋がっているなんて」
響子「だましたの・・・? あの血は──」
向井俊介「ケチャップだよ。気が動転して それもわからなかったみたいだな」
響子「あ、あ、あぁ・・・」
響子は観念して膝を崩す。
響子「大見に・・・脅されたの」
響子「あなたを探し出し、メモリースティックを 奪えば、夫の命を保証するって」
向井俊介「そうか・・・再婚してたのか・・・」
響子「由奈が死んで・・・ ボロボロだった私を彼が助けてくれた」
響子「夫がいなければ、 私なんてとっくに死んでた・・・」
響子「でも、もう何日も帰ってない」
響子「そしたら大見から電話が来て、 夫の身柄を拘束しているって──」
向井俊介「くそ・・・あのジジイめ」
響子「ねえ、教えて。 メモリースティックってなんなの? なんであなたはあんな男に追われてるの?」
向井俊介「俺は・・・大見の・・・いや、 この国を傾けるほどの情報を持っている」
響子「なんでそんなものをあなたが?」
向井俊介「たまたまある男から預かったんだ」
向井俊介「そして頼まれた。 小湊って奴に、届けて欲しいって」
響子「小湊・・・?」
向井俊介「! 何か知ってるのか?」
響子「うそ・・・どういうこと・・・?」
向井俊介「おい! 教えてくれ!」
響子「小湊は・・・今の私の名字よ。 つまり、今の旦那の名字──」
向井俊介「なっ! じゃあ小湊ってのは、 響子の旦那なのか・・・?」
向井俊介「でも待てよ、だとしたらもう 大見に捕まってるってことか」
響子「どうしよう・・・!」
向井俊介「なあ、夫から何か聞いてないか? 俺にメモリースティックを渡した奴は、 小湊は反サイコロ団体だって言ってた」
響子「夫が反サイコロ団体に入ってたなんて 話は聞いたことがない。でも・・・」
向井俊介「でも?」
響子「私は・・・反サイコロ団体に入ってる」
向井俊介「!」
響子「由奈のことがあったから・・・」
響子「ずっとあんな制度なくなればいいって思ってたから。たまにデモに参加したりしてた」
向井俊介「もしかして・・・」
〇黒背景
大見百合「大見の側近だった男が裏切ったの」
大見百合「何年にも及ぶ不正献金の証拠データを 全て持ち出して逃走した」
〇明るいリビング
向井俊介「なあ、もしかして・・・お前の新しい夫は サイコロセンターで働いているのか?」
響子「うん・・・でもどうしてそれを──」
向井俊介「そいつの写真はあるか?」
〇散らばる写真
〇明るいリビング
向井俊介「やっぱり・・・俺にメモリースティックを 渡したのは、お前の夫だったんだ」
響子「え・・・どういうこと?」
向井俊介「つまりこういうことだ。 お前の夫は大見の傍で働きながら、 サイコロ制度に疑問を持ち続けていた」
向井俊介「そしてある日。サイコロセンターの 闇を暴く全データを持って逃げ出した」
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