サイコロ・ライフ

YO-SUKE

第七話「愛する人のために」(脚本)

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〇大きいマンション
  響子が雨水管を伝って降りてくると、
  下にいた向井が抱き止める。
向井俊介「来てくれるって信じてた!」
響子「に、二度とやりたくない・・・」
黒服の男「下だ! 下にいるぞ!」
向井俊介「くっ! 逃げるぞ!」

〇渋谷のスクランブル交差点
  街頭テレビに向井と響子の顔写真が映る。
響子「私が、指名手配・・・?」
向井俊介「あ、あいつら本気だ。 警察にも大見の手が入ってる」
響子「どうしよう。逃げ切れるわけない」
向井俊介「携帯を貸してくれ」
響子「どうするの?」
向井俊介「大見のことだ。響子の携帯は GPSで把握しているに違いない」
向井俊介「それを利用して、あいつらを引き付ける」
響子「そんなことしたら殺される」
向井俊介「それでも、メモリースティックの情報を リークすれば俺たちの勝ちだ」
響子「でも夫が大見に捕まってる! そんなこと したら何をされるかわからない!」
向井俊介「・・・それは大見の嘘だ。 お前の夫は拘束されてなんかいない」
響子「なんでわかるの?」
向井俊介「お前の夫は・・・もう死んだからだ」
響子「嘘・・・嘘でしょ?」
向井俊介「俺にメモリースティックを渡して、 俺の腕の中で・・・死んだ」
響子「あ、あ、あぁぁぁぁっっ!!!」
向井俊介「いま分かったよ。お前の夫が死ぬ間際、 俺になんて言おうとしてたか」

〇ベビーピンク
隆二「そ、れ・・・と・・・小湊に・・・ 伝えて・・・くれ。あ──」

〇渋谷のスクランブル交差点
向井俊介「あいつはお前に言いたかったんだ。 愛してるって」
響子「そんな・・・隆二、隆二が・・・」
向井俊介「お前にこれを託す」
響子「これ・・・メモリースティック?」
向井俊介「どうせ俺にはアクセスできない。俺が 一秒でも長く奴らを引き付けてみせる。 その間に頼む」
響子「でも・・・!」
向井俊介「響子。あいつの無念を晴らすのは、 お前自身だ」
  向井は響子から携帯を奪い取り走り出す。
響子「あなた・・・!」

〇港の倉庫
大見敏明「鼠はこの近くに潜んでいる・・・! 何があっても必ず見つけ出せ!」
黒服の男「いました! 向こうです!」
向井俊介「く、くそぉ・・・!!」

〇ビルの裏
響子「パ、パスワード・・・ パスワードなんてわからない・・・」
響子「あの人の誕生日・・・違う。 私のも・・・ダメ」
響子「結婚記念日・・・違う。ダメだ」
響子「あと一歩なのに! 早くしないと あの人も捕まっちゃう・・・!」
響子「そうだ・・・」
響子「私にしか開けないメモリースティックなら パスワードだって私が一番大切にしている もののはず・・・」
響子「大切なもの・・・私がずっと大切にして いるもの・・・それは由奈よ」
響子「由奈を亡くした私を、あの人は丸ごと 受け入れてくれた・・・それなら──」

〇港の倉庫
大見敏明「ずいぶん逃げ回ってくれたなぁ。あの女は どうした? どこかに匿ったのか?」
向井俊介「大見・・・!」
大見敏明「もう少し穏便に済ませたかった。だから 姪っ子やあの女を使ったんだが・・・」
大見敏明「ここまで来るともう お前を殺すしかないなぁ」
向井俊介「お前がサイコロ制度を作って、 私利私欲のために利用したんだな・・・」
大見敏明「私は政府の依頼を受けただけだ」
大見敏明「平等と支援を明確化することで国民の反感を抑え、富裕層から確実に金を徴収できる方法を考えた」
大見敏明「なかなか天才的な案だと思わないか?」
向井俊介「腐ってやがる・・・!」
大見敏明「腐っているのは私だけではない」
大見敏明「無知で盲目なこの国の民・・・ 全員だとは思わないかね?」
向井俊介「くそぉぉぉ!!!」
大見敏明「おおっ! 警察の皆さん、うちの重要機密を盗んだのは奴です。捕まえて──」
警察官「大見敏明――お前に逮捕状が出ている」
大見敏明「は?」
大見敏明「き、貴様! 私を誰だと思ってる!?」
警察官「不正献金に関わる大量のデータが ネットに流出している」
大見敏明「なっ・・・!」
向井俊介「終わりだな・・・あんたも」
大見敏明「向井! 貴様の仕業か!」

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