記憶から消えた女(脚本)
〇教室
席に着け、授業、始めるぞ。
不二 純一「高校に入学して、早1ヶ月。 既に退屈な程、 日常は変化を生まない」
この問題、わかる人?
小角 大地「はーい!!」
小角 大地「多分、5です!」
全然、違う!
小角 大地「勘が外れた!!」
不二 純一「大地の発言で、クラスに笑いが起きる」
不二 純一「そして・・・」
牧内 薫「・・・」
不二 純一「けして笑う事のない女 牧内 薫が席の隣にいる」
小角 大地「純、どうだった?」
不二 純一「何が?」
小角 大地「俺のウケ狙いの回答!」
不二 純一「何となく分かってたけど あれ、わざとか・・・」
小角 大地「当たり前じゃん」
小角 大地「あっ、すまん・・・」
小角 大地「うん、なに?」
不二 純一「え・・・」
小角 大地「痛てぇな!!!」
牧内 薫「・・・」
小角 大地「何いきなり叩いてるんだよ!」
不二 純一「大地、落ち着けって・・・」
小角 大地「落ち着いていられるかよ!」
不二 純一「女の子に手出したらダメだ・・・」
牧内 薫「迷惑なの!!!」
牧内 薫「自分ばっかり、楽しんで・・・周りの事とか考えないわけ?」
小角 大地「いや、俺そんなつもりは・・・」
牧内 薫「私、あなたの事・・・嫌いだから」
小角 大地「はっ?俺だって、お前みたいなガリ勉女、嫌いだわ!」
小角 大地「純一、行くぞ」
不二 純一「待てよ、大地!」
体調悪いのか?
無理しないで、保健室で休みなさい。
不二 純一「サッカー苦手だから、体育サボっちゃった」
牧内 薫「えへへ・・・」
不二 純一「牧内さんが笑ってる!?」
不二 純一「あっ、やべぇ」
牧内 薫「誰?」
不二 純一「あっ・・・」
牧内 薫「不二くん・・・」
不二 純一「ごめん・・・教室誰もいないと思って」
牧内 薫「あっ・・・体調悪くて体育休んで」
不二 純一「そうなんだ。 あっ、さっき大地がごめん・・・」
牧内 薫「不二くんが謝る事じゃ・・・あっ」
彼女の手元から、落ちた一枚の写真
牧内 薫「見ないで!!」
不二 純一「ここに映ってるのって・・・」
不二 純一「・・・俺だよね?」
牧内薫か持っていた写真には
中学生の頃の俺と
その横に もう一人
マジックで顔を塗り潰されていた女の子が
映っていた
けど 誰か思い出せない
牧内 薫「ごめんなさい・・・」
牧内 薫「ずっと・・・ 不二くんの事が好きだった」
不二 純一「でも、写真って・・・」
牧内 薫「気持ち悪いよね?」
不二 純一「・・・」
不二 純一「待って!」
不二 純一「ごめん。色々と整理が追い付かなくて・・・」
不二 純一「なんで? 俺の事が好きなの?」
不二 純一「まともに話した事ないよね?」
牧内 薫「・・・あるの」
不二 純一「え?」
牧内 薫「去年、中学3年生の時」
不二 純一「・・・覚えてない」
牧内 薫「これ・・・昔の私」
えっ・・・?
薫ちゃん・・・
牧内 薫「思い出した?」
不二 純一「思い出した。 全部・・・ けど、なんで君が」
牧内 薫「大丈夫だよ。 誰も覚えてないから、 私がみんなの記憶から消えたの・・・」
不二 純一(背筋に感じるこの感覚・・・ 今、僕の思考は追いつかない情報量を前にして、フリーズしそうになっていた)
不二 純一(鮮明に思い出された記憶はあの冷たさを知っている。あの悲しさを覚えている。 だからこそ、説明が付かない)
牧内 薫「一緒に行こう・・・純一君」
君は去年の夏に
僕の目の前で、死んだじゃないか・・・
牧内 薫「これで、ずっと一緒だね」
いやー 怖かったですね!!
自分は学生時代は、生きていても皆の記憶に残ってるかどうか自信ないので…特に可愛い子には全く覚えられてないかも…
個人的には怖さ以上に悲しさを感じてしまいました笑💦
使われてるキャラには愛着を感じました😅
不可解さ、得体の知れなさを纏った牧内さん、そんな彼女の真相が明らかになる展開ですが……そんな真相だったとは、、、恐ろしです!
地味な容姿になっただけで忘れられることはないから、みんなの記憶から消えることを条件に死神と取引して生き返ったんだろうか、とか、背景をいろいろ考えちゃいました。自分の存在がバレたら純一もあの世へ道連れだなんて、女の執念ほど怖いものはないですね。