生きたいちゃんと死にたい君

シロニ

生きたいちゃんと死にたい君(脚本)

生きたいちゃんと死にたい君

シロニ

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生きたいちゃんと死にたい君
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〇教室
先生「はい、おはようございます!」
生きたいちゃん「おはようございます!!」
男子生徒「おはようございま〜す」
先生「突然のお知らせで大変心苦しいですが、──君が帰らぬ人になりました・・・」
生きたいちゃん(え・・・?──君・・・?)
男子生徒「え・・・?そんな・・・」
生きたいちゃん(昨日あんなに元気がなかったのはやっぱり何かの病気だったの・・・?)

〇教室
生きたいちゃん「ねぇねぇ・・・?」
生きたいちゃん「あそこの席って──君だったよね?」
女生徒「そうだね」
生きたいちゃん「あの女の子誰?あたし知らないよ?」
女生徒「何言ってるの?──君だよ?」
生きたいちゃん「えぇ!?」
女生徒「あの子「好きな人」が出来たみたい・・・これ内緒ね?」
女生徒?「──君・・・♪」

〇女の子の一人部屋
生きたいちゃん「はぁ・・・なんか最近色んな事が起こるな・・・」
生きたいちゃん「──君は自殺しちゃうし・・・」
生きたいちゃん「──君は──ちゃんになってるし・・・」
生きたいちゃん「あぁ・・・もう分かんないな・・・」
生きたいちゃん「うーん・・・」
生きたいちゃん「それに・・・進路か・・・」
生きたいちゃん「どうしようかな・・・やりたい事・・・」
生きたいちゃん「うーん・・・」
生きたいちゃん「うーん・・・」
生きたいちゃん「あぁ・・・!!もう!!!!」
生きたいちゃん「(大きく深呼吸をした)」
生きたいちゃん「うん、だめだ。気分転換しよう」
生きたいちゃん「こんな暗い気分の時はあの曲!!」
生きたいちゃん「・・・」
生きたいちゃん「──!!」

〇女の子の一人部屋
生きたいちゃん「ふわぁ・・・眠いな・・・」
生きたいちゃん「明日も・・・何か起こるのかな・・・」
生きたいちゃん「起こるなら良い事が良いな・・・」
生きたいちゃん「──さんが学校に来たりとか・・・」
生きたいちゃん「素敵な人に出会えたりとか・・・」
生きたいちゃん「そんな・・・素敵・・・な・・・」
生きたいちゃん「事・・・」
生きたいちゃん「・・・」
生きたいちゃん「・・・?」
死にたい君「殺・・・して・・・やる!!」
生きたいちゃん「──!?」
死にたい君「お前なんか・・・!!」
死にたい君「殺してやる!!」
生きたいちゃん「嫌!!貴方誰!?」
生きたいちゃん「何でここに居るの!?出てってよ!!あたしが貴方に何をしたってのよ!?」
生きたいちゃん「嫌!!お母さん!!お父さん!!助けてぇぇぇ!!」
死にたい君「お前が・・・!!」
死にたい君「お前が!!生きてるから!!」
死にたい君「おま・・・え・・・が!!」
死にたい君「・・・」
死にたい君「あぁ・・・もう嫌・・・」
死にたい君「何で・・・殺せないの・・・」
生きたいちゃん「・・・?」
死にたい君「見たくないのに・・・突き放したいのに・・・」
死にたい君「何で・・・何でなの・・・」
死にたい君「何で嫌いになれないの!!」
生きたいちゃん「・・・!?」
死にたい君「もうやだぁ・・・死にたい・・・」
死にたい君「うわぁぁぁん!!!!」
生きたいちゃん「なに・・・これ・・・」
生きたいちゃん「どういう・・・こと・・・?」
生きたいちゃん「・・・」

〇女の子の一人部屋
死にたい君「うぅ・・・ひっぐ・・・」
生きたいちゃん「それで・・・貴方はあの鏡から出てきたって訳ね?」
死にたい君「うん・・・そう・・・」
生きたいちゃん「にわかには信じられないけど・・・貴方があの鏡を通る所を見せられたら信じるしかないわね・・・」
生きたいちゃん「・・・それで?」
生きたいちゃん「何で貴方はあたしを殺そうとした訳?」
生きたいちゃん「その・・・あたし貴方に何か恨まれるような事したかな・・・?」
死にたい君「違う・・・貴方は・・・!!何も悪い事なんてしてない・・・!!」
死にたい君「だって・・・」
死にたい君「だって・・・!!貴方は・・・!!」
死にたい君「「あたし」だから・・・!!」
生きたいちゃん「・・・えぇ!?」
生きたいちゃん「えぇ!?どういうこと!?」
死にたい君「ひっぐ・・・それ・・・は!!」
生きたいちゃん「あぁもう!!泣かないで!!落ち着いてからで良いから!!」
死にたい君「ひっぐ・・・うぅ・・・!!」
死にたい君「・・・」
死にたい君「・・・」
生きたいちゃん「少しは落ち着いた?」
死にたい君「・・・うん」
生きたいちゃん「はぁ・・・それで?」
生きたいちゃん「貴方があたしってどういう事?」
死にたい君「あたしは・・・なんというか・・・」
死にたい君「貴方とは鏡写しなんだと思う・・・」
生きたいちゃん「鏡写し・・・?」
死にたい君「そう・・・貴方があたしの「本音」であたしが「建前」」
死にたい君「詳しい事はあたしにも分からない、だってあの鏡を渡ったのだってさっきが初めてだし・・・」
死にたい君「そもそもあの鏡にそんな力があるなんて知らなかった・・・」
死にたい君「今日までなんの変哲も無い普通の姿見だったし・・・」
死にたい君「それと、貴方の姿はあたしの本音なのよ」
死にたい君「あたしは貴方みたいにピンクの可愛いパジャマを着たいし」
死にたい君「辛くなった時は好きな音楽を聞いていたい」
死にたい君「一人称だってあたしが良い・・・」
死にたい君「でも・・・でも!!」
生きたいちゃん「あぁもう!!分かった分かった!!泣かないで!!」
死にたい君「・・・ごめんなさい」
生きたいちゃん「はぁ・・・それで?続きは?」
死にたい君「・・・あたしの「本音」があたしを苦しめてるのなら」
死にたい君「その「本音」を殺せばあたしは楽になれるんじゃないかって思って・・・」
生きたいちゃん「はぁ・・・あのね?あたしは貴方の本音なんでしょ?」
生きたいちゃん「例えばあたしが生きたいと思ったなら貴方も同じなんでしょ?」
生きたいちゃん「あたしは「幸せになりたいよ」」
生きたいちゃん「こういうのもなんか変な感じするけど・・・あたしのこと大事にしてよ?」
生きたいちゃん「あたしを殺しても何も解決なんてしないよ、貴方を苦しめてるその状況を変えないとだよ」
死にたい君「そうね、そうよね・・・」
死にたい君「あたし、逃げようとしてたんだわ」
死にたい君「今が辛くてそれを変えたいのに勇気が出なかった、だから本音を殺す事で逃げようとしたんだわ」
死にたい君「駄目よね、そんなんじゃ何も変わらないじゃない・・・」
死にたい君「もっと自分を追い込むだけよ・・・」
死にたい君「本当にごめんなさい・・・あたし目が覚めたわ」
生きたいちゃん「そう?なら良かったよ」
生きたいちゃん「じゃあ向こうでも頑張ってね」
死にたい君「えぇ、本当にありがとう」
生きたいちゃん「・・・」
生きたいちゃん「・・・」
生きたいちゃん「ははっ・・・「本音」と「建前」か・・・」
生きたいちゃん「・・・」
生きたいちゃん「・・・あたしが「本音」ねぇ・・・」

〇教室
先生「──」
女生徒「──!?」
  END

コメント

  • 鏡合わせの世界はいつ反転してもおかしくないし、いつ反転するかは本人にもわからないということですね。最後の生きたいちゃんのセリフとナイフ、翌日の学校の様子が意味深でしたね。

  • 人間は誰でも色々と葛藤がありながらも前に進んでいこうとする生き物なんでしょうね。なにかを除外するのではなく、新たに取り込むことで生まれる自分が好きでありますように。

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