宝くじが当たっても丸めてゴミ箱に捨てるような女

小松朋喜

うそみたいな出会い(脚本)

宝くじが当たっても丸めてゴミ箱に捨てるような女

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〇テーブル席
店員「相席でよろしいでしょうか?」
雛「律!」
律「雛!会いたかった!」
雛「私達はやはり運命で結ばれていたのね!」
律「二人はこの奇跡に気づいていない」
雛「瞳!陸は未来の夫となる方よ!」
瞳(鳥肌・・・気のせいだよね)
店員「お待たせしました」
律「立っている茶柱を捨てた?」
雛「瞳は運を信じないのです」
律「人はこうして大切な出会いを逃す」
雛「昔は穏やかな娘でした・・・」
瞳(資料完成させて成績上げるぞ!)
雛「今の自分が好きではないと私にはわかる」
律「心は自らの王国だと言うのに抑え込むとは」
瞳(部長のメール)
律「海外赴任の件 会社に戻ったら返事が欲しい?」
雛「出世欲が強い瞳の返答は私達に絶望を生もうとしています」
律「こんなに近くにいて愛が輝かずに終わる!」
雛「瞳を止めてと伝えて下さい!」
律「陸は私の声が聞こえない。友との待ち合わせもここではないと言ったのだが・・・」
律「会議が入ったからすぐに来い?」
律「行かせるな陸!」
雛「行かないで瞳!」
瞳(また鳥肌 出よ)
律「鞄についてるあれは!」
雛「それは瞳が昔・・・」
律「これだ!力を合わせてあれを床に落とすぞ!」
雛「よくわかりませんが律に従います!」
陸(何か落ちた?まぁいいや)
  それをよく見ろ陸!
雛「拾った?強い想いが伝わった?」
陸「これかわいいね」
瞳(ナンパ?)
  違うわ瞳!
瞳「いいでしょ!子供の時祭りで買ったの」
陸「それ俺が作ったんだ」
瞳「マジ?」
陸「全然売れなくてさ。超ブルーで作るのやめたけど。久々にそいつ見て声かけちゃった」
瞳「ウソ・・・」
陸「そんな物捨てないでくれてありがと」
瞳「ゴミみたいに言わないでよ」
陸「おもちゃの出店してた知り合いのおじさんがそれおいてくれてさ。でも売れるかどうか怖くて、俺は友達と祭り楽しんでた」
瞳「残念。ニアミスか」
陸「すれ違ってるかもよ?」
瞳「ありえない。すごい人混みだったし」
陸「そういえばもうすぐ祭りの季節だね 君行く?」
瞳「また売るの?」
陸「遊びに行くだけ。もう作る気力ない」
瞳「え~」
陸「行くなら俺見かけたら声かけてよ」
瞳「それ宝くじで一等当てるぐらい難しいよ」
陸「奇跡が起きるかもよ?」
瞳「いい歳してそういうの恥ずかしくない?」
陸「奇跡を信じない方が恥ずかしくない?」
瞳「行きたいけど・・・」
陸「仕事大変そうだもんね」
瞳「キーボードの音うるさかった?」
陸「気にならなかったよ」
瞳「ここうるさいよね?でも場所がなくて」
陸「喫茶店は静かな方がいいよね」
陸「カフェはコーヒーよりお茶だよね!だろ?」
瞳「当然!」
陸「じゃ、待ち合わせに遅れるから行くね」
瞳(待ち合わせしてるなら早く行きなよ)
瞳(祭りか・・・行こうかな)
瞳(やば!会議の時間!)
律「奇跡はずっと前から起きていた」
雛「私達はちっぽけなおもちゃを落としただけ」
律「だがそれでが大いなる歯車が動き出した」
雛「陸と瞳は再会するでしょうか?」
律「信じよう 二人の軌跡を」

コメント

  • 現界のひとつの恋にも、守護者の位相から見守りヤキモキし、ちょっぴり手を出す、この多元的な様子が楽しいですね。人間の不思議なご縁というものは、守護者のおせっかいによって引き起こされているのかも、ですね

  • 人間のためにあれこれ協力しているうちに、律と雛も恋に落ちたりしないのかなあ。守護霊同士が先に恋に落ちて、一緒にいるために人間を無理やりくっつけようとしたら面白いな、とか。いろんな想像を膨らませて楽しく読みました。

  • 人と人が結びつくまでのプロセスがとても神秘的で興味深く描かれていると思いました。自分自身にもこういう分身みたいな存在がいて岐路を左右させているのかなあと想像します。

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