サンタ隠匿委員会

なし

どーせ冬なら寒い方がイイ!(脚本)

サンタ隠匿委員会

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〇川に架かる橋
綺鞠 世奈「ひと雨来そうだ」
柳尾 花「先輩、これほんとに着ないとダメです?」
柳 尾花「寒っ──格闘ゲームのキャラみたい」
綺鞠 世奈「フィクション作品を元に開発した戦闘装甲だ」
綺鞠 世奈「蛇の道は蛇、魔を祓うのは魔。虚構には虚構なのさ」
柳 尾花(何言ってんのか全然わかんない)
柳 尾花「すげー」
綺鞠 世奈「ふふ」
柳 尾花「そ、そろそろ現場です」

〇マンションの共用廊下
  ピンポーン
  ガチャ
綺鞠 世奈「サン──」
少女「サンタ? あなた達、サンタさん!?」
綺鞠 世奈「ま、まさか」
柳 尾花「三点倒立、できるようになった?」
少女「初対面で何。失礼な人」
綺鞠 世奈「うちの部下がすみません」
少女「あっいけない、遅れちゃう」
綺鞠 世奈「イブなので、不審者に気をつけて」
少女「お姉さん達みたいな人のこと? ありがとう、いってきまーす」
柳 尾花「サンタってことにしちゃえばよかった気も」
綺鞠 世奈「サンタの実在を隠蔽するのが私達の仕事」
綺鞠 世奈「"サンタはいない"!」
柳 尾花「なぜそこまで嫌うんですか」
  ガチャ
家の人「お待たせしました!」
綺鞠 世奈「サンタ隠匿委員会の綺鞠と申します」
柳 尾花「柳です! ご用件は?さあ、さあ!」
家の人「張り切ってるね」
綺鞠 世奈「初仕事なもので・・・」
柳 尾花「4月から9ヶ月、クイズだけをやらされてきました!」
柳 尾花「頭がどうにかなりそう!」
綺鞠 世奈「よくもってる方だ」
家の人「用件はコレ」
家の人「内容は注文通りだけど、」
綺鞠 世奈「包装紙が近所の家電量販店のものになってない」
家の人「Exactly.」
綺鞠 世奈「これでは、親が買ったと思わせることができない」
柳 尾花「手配します!」
家の人「騙すみたいで、気は進まないけどね」
綺鞠 世奈「だめです。サンタを信じていると、不幸になる」
山田九郎狐「替えの包装紙、へいお待ち」
柳 尾花「早い!」
山田九郎狐「おっと、次は佐賀か あばよ」
家の人「娘が帰るまでに間に合ってよかった」

〇開けた交差点
柳 尾花「この格好の自称公務員が家に来たら、不審者だと思いませんか?」
綺鞠 世奈「夜か」
柳 尾花(無視されちゃった)
柳 尾花「さっきの猫さんは何です?」
綺鞠 世奈「子どもに見つかり隠匿された者」
綺鞠 世奈「賞味期限切れのサンタ」
柳 尾花「なんか残酷〜」
綺鞠 世奈「彼は良い方さ。仕事も信頼もある」
綺鞠 世奈「問題は──」
ツリーツリー・長官「緊急出動!緊急出動!」
柳 尾花「長官から通信!」
綺鞠 世奈「今年も来てしまった」
ツリーツリー・長官「C地区にX出現。急行せよ」
柳 尾花「?」
綺鞠 世奈「実在がバレたサンタは隠匿され、サンタの権能を剥奪される。サンタがこの処置を拒否すると──惨憺たる有様」
柳 尾花「サンタいっぱいでわけがわからない」
綺鞠 世奈「会えばわかる」
柳 尾花「ボスがトナカイって時点でやめとけばよかった〜この職場」

〇渋谷の雑踏
三択弄す「ホホ」
通行人「うわ!化け物」
三択弄す「ボクシングデーとは?」
通行人「えっ」
三択弄す「Aクリスマスに働いた人が休む日 Bボクシングというスポーツが誕生した日 C牧師さんの真似をする日」
通行人「Bのボクシングに決まって──いや、それでいいのか?どうしよう」
三択弄す「時間切れ クリスマスを没収する!」
通行人「!? 思い出せなくなっていく、毎年クリスマスに何をしていたのか」
通行人「ゆみがプレゼントにくれた眼鏡も消えて──」
通行人「ゆみって誰だ」
柳 尾花「何ですこれ」
綺鞠 世奈「腐ったサンタのなれの果て」
綺鞠 世奈「あの人は、三択クイズに答えられなかったからクリスマスに関する思い出を奪われた──」
柳 尾花(??)
柳 尾花「ひどい」
綺鞠 世奈「隠匿は表向きの仕事。私達の真の使命は、暴走した元サンタの退治だ」
三択弄す「次は貴様 ボクシングデーとは?」
三択弄す「Aクリスマスに働いた人が休」
柳 尾花「A」
三択弄す「正解──」
通行人「記憶が、戻った」
綺鞠 世奈「やるな柳」
柳 尾花「やらされ続けた意味不明なクイズ、このためだったんですね!」
綺鞠 世奈「ふっ」
柳 尾花「どうして事情を教えてくれなかったの ばか」
三択弄す「次は貴様」
綺鞠 世奈「!」
三択弄す「クリスマスイブ、いつからいつまで?」
三択弄す「A24日0時〜25日3時 B24日18時〜25日6時 C24日12時〜25日0時」
綺鞠 世奈(イブ=evening、夜)
綺鞠 世奈「び、B」
三択弄す「ぐぬぬ」
「次、貴様!」
少女「不審者?」
綺鞠 世奈「さっきの!」
三択弄す「Xmasという略記のXは?」
三択弄す「Aギリシャ文字のχ Bキリストという宗教的要素を削除している C何が起こるかわからない未知数のX」
少女「不審者だ」
三択弄す「時間切れ クリスマスをもらう!」
柳 尾花「うわあああ」
少女「不審者のお兄ちゃん」
三択弄す「何が起こった」
綺鞠 世奈「装甲の効果だ 半径5mの記憶を奪う精神ダメージは、装着者の身体ダメージに変換される!」
柳 尾花「なんだって とんでもない非人道的組織に入っちゃった」
三択弄す「倒れるまでクイズを出し続けよう」
柳 尾花「望むところ」

〇渋谷の雑踏
綺鞠 世奈「何問正解しても退散しない」
三択弄す「麿の恨みは尽きぬのだ」
柳 尾花「ハァハァ、なぜこんなこと」
三択弄す「復讐」
三択弄す「麿はサンタとしてプレゼントを贈った だのに人は、見つかった途端、麿からサンタの地位を奪った」
柳 尾花「一人称がまろ、サンタっぽくない」
綺鞠 世奈「神秘を失ったサンタは変質してしまうんだ」
三択弄す「許せぬ。麿のおかげで得たクリスマスに関する記憶は全て没収する!」
三択弄す「悪いのは?」
三択弄す「A人間 B麿 Cクリスマス」
綺鞠 世奈「私のせいなのか」
柳 尾花「?」
綺鞠 世奈「お前が妖怪になり、多くの人が思い出を失ったのは、私が捕獲したせいなのか?」

〇貴族の部屋
サンタクロウス「ホホ」
  バチッ
サンタクロウス「あばばば痺れる」
綺鞠 世奈「やはりサンタはいた!証明したぞ」
サンタクロウス「このことはどうか内密に まだサンタとして夢を贈りたいんじゃ」
綺鞠 世奈「だめ。論文で発表する。いるいない論争に終止符を打つのだ」

〇渋谷の雑踏
綺鞠 世奈「詳しく憶えていないが、クリスマスを奪われた苦しみはわかる」
三択弄す「貴様あの娘か 麿が最初にクイズを仕掛けた」
綺鞠 世奈「すまなかった」
柳 尾花「サンタのことも、もっと考えていくべきだったのかもしれませんね」
三択弄す「ホホ・・・」

〇渋谷のスクランブル交差点
綺鞠 世奈「0時回ってる」
綺鞠 世奈「記憶も戻らなかったし、この仕事、毎年最悪のクリスマスを更新するな」
柳 尾花「雪だ」
柳 尾花「初めて見た!うまい!」
綺鞠 世奈「ホワイトクリスマスか。珍しい」
柳 尾花「先輩。(もぐもぐ)」
柳 尾花「過去の思い出を失くしても、これから作っていくことは出来るんじゃないですか(もぐもぐ)」
綺鞠 世奈「都会の雪は排ガスと埃を含んでいて健康を害するぞ」
柳 尾花「これ以上ダメージを受けたら、俺の体は──」
柳 尾花「ちょっ待ってくださいよ、先ぱーい!」
綺鞠 世奈「メリークリスマス。ふふ」

コメント

  • 隠匿委員会の存在自体がサンタの実在を強調する役割を果たしているのがなんとも皮肉。闇落ちしたサンタが烏帽子姿で一人称が麿なのがいい感じの狂いっぷりでした。変なベストとクイズ特訓が日の目を見る日が来て尾花もよかったです。

  • いろんなクイズが出てきて楽しかったです。
    サンタさんは、いてもいなくてもいい派の私ですが、どちらにも糾弾されそうですね。笑

  • 独特すぎる世界観とシュールで勢いのある展開が面白かったです🤣
    まさかのクイズ!?も楽しめました😆

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