第5話 出会いと戦いと(脚本)
〇兵舎
コウル「じゃあまず、 迷いの森に行くわけだけど・・・」
コウル「ジンさんの残した地図だと・・・」
コウル「えっと今いる町は・・・」
エイリーン「あ、印が付けられています。 今はこの辺りですね」
コウル「で、迷いの森は・・・」
コウル「そもそも迷いの森なんて載ってるのかな?」
エイリーン「あ、見てください。 ここにメモが」
エイリーンが地図の東の一点を指す。
コウル「遠いね・・・」
エイリーン「遠いですね・・・」
コウルたちは地図の南の方にいた。
一方、迷いの森は東の大陸であった。
コウル「神の塔も確認してみようか」
エイリーン「世界の中心・・・これですね」
コウル「こっちもかなり北だね・・・」
コウル「長い旅になりそうだし、 準備しないとね」
エイリーン「はい」
〇城下町
コウル「食料とかはこれくらいでいいかな・・・」
エイリーン「おそらく・・・」
コウル「じゃあ、出発!」
〇草原の道
町を出てはや数日・・・。
???「ポ・・・ム・・・」
エイリーン「コウル様。 今、何か聞こえませんでしたか?」
コウル「うん。何か鳴き声のような・・・」
エイリーン「あ、あそこに!」
コウル「ちょっと待って」
コウルはジンの遺品にあった
手記をめくる。
コウル「あった。 この生き物は『ポム』だ」
エイリーン「だいぶ弱ってるみたいです」
ポム「ポ・・・ポム?」
エイリーン「大丈夫ですよ。 こちらへ来てくださいな」
ポム「ポムポム!」
コウル「手記に載ってるのより小さい。 ポムの子どもみたいだね」
エイリーン「そうですね」
ポム「ポムー」
コウル「・・・懐いてくれたみたいだけど」
エイリーン「連れていきません?」
コウル「え」
エイリーン「じーっ」
ポム「ポムー」
コウル「いいよ。 連れて行こうか」
エイリーン「ありがとうございます、コウル様!」
ポム「ポムー!」
コウル「ふ、2人とも、離れて・・・」
コウル「ほ、ほら、行くよ!」
〇綺麗な港町
コウル「船が出せない?」
船員「それが、 船長が昨夜から行方不明でして・・・」
エイリーン「コウル様」
コウル「うん、探そう」
酒場のマスター「定期船の船長?」
酒場のマスター「そういえば少し前、 近隣の海賊とゴタゴタがあったが・・・」
コウル「海賊か・・・」
2人は町の人の情報から、
海賊のアジトに向かうことにする。
その時、コウルは考えていた。
海賊と戦いになったとき、
自分は斬れるかと・・・。
〇洞窟の深部
賊「・・・」
コウル「見張りが1人・・・」
エイリーン「どうします?」
コウル「1人なら 隙を付けば気絶させれるかも。 ・・・そうだ」
コウル「ポム。 実は──」
賊「うん・・・?」
ポム「ポム、ポム」
賊「なんだこの生き物は──」
賊「がっ・・・!」
コウル「よし」
コウル「ありがとう、ポム」
ポム「ポム!」
〇洞窟の深部
エイリーン「コウル様、あそこです」
エイリーン「どうします?」
コウル「・・・エイリーンさんはここで待ってて」
海賊「あん? なんだてめえ」
コウル(・・・! ビビるなコウル!)
コウル「船長を解放してください」
海賊「あん?」
コウル「解放してくれないと、 あなた達を斬ることになります」
賊「はははは!」
賊「小僧、なめるなよ! 剣を構えたところで、 怖くもなんともねえ!」
海賊「やっちまえ!」
賊「おらあっ!」
コウル(あの時の感覚を!)
コウル「はあっ!」
賊「ぐあっ!」
コウル(ジンさんもそうだったけど、 この世界では血は出ないのか・・・)
コウル(魔力が吹き出てるみたいだけど・・・)
賊「こいつ!」
コウル「やあっ!」
賊「ぐっ!?」
海賊「てめえ・・・。何者だ?」
コウル「・・・通りすがりの旅人。かな」
海賊「ふざけるな!」
コウル「はっ!」
コウル「終わりです。 船長を解放してください」
海賊「・・・」
海賊「それはどうかな?」
コウル「・・・え?」
???「きゃあっ!」
コウル「エイリーンさん!」
コウル(しまった・・・。 入り口の見張りが起きたのか!)
海賊「隙ありだぜ!」
コウル「ぐっ!」
エイリーン「コウル様!」
海賊「おらおら! さっきまでの勢いはどうした!」
コウル「ぐあっ!」
海賊「とどめだ!」
エイリーン「コウル様ー!」
海賊「な、なにいっ!?」
賊「うわああっ!?」
エイリーン「コウル様、大丈夫ですか?」
コウル「・・・カッコ悪いとこ見せちゃったね」
エイリーン「そんなことありません! わたしが捕まったせいでコウル様が・・・」
エイリーンは涙を浮かべ、
コウルに抱きついた。
コウル「エイリーン・・・さん」
ポム「・・・ポム」
船長「いいかね?」
コウル「うわあっ!?」
エイリーン「きゃあっ!?」
2人は慌てて離れる。
船長「おほん。 君たちのおかげで助かった」
船長「礼を言う。ありがとう」
コウル「あ、はい!」