愛しさのカタチ

兎乃井メライ

DAY18: 二人きり(脚本)

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〇雑居ビル
  ーー駅前
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
  『今日行かなくてすみませんでした』
  ──送信しました。
三澤梨々花(バイト・・・サボっちゃったな・・・)
三澤梨々花(駅までは来たけど・・・ 足が止まっちゃった・・・)
三澤梨々花(先生怒ってるかな・・・ 着信、何回かあったし・・・)
三澤梨々花(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)
チャラ男1「ねーねー! キミ、1人?」
三澤梨々花「・・・え?」
チャラ男2「高校生? カワイーね❤️ ヒマならおれらと遊びいかない?」
三澤梨々花「い、行かないです・・・ ヒマ、じゃないので・・・」
チャラ男1「えー? ずっと1人でベンチに座ってたじゃん もしかしてカレシにフラれちゃった?」
チャラ男2「ヒドい男だなー! こんなカワイイ子振るなんて」
チャラ男2「そんなヤツ忘れてさ オレたちと気晴らしにいこーよ ねっっ!!」
三澤梨々花「や、やです 来ないで下さい・・・!」
チャラ男1「やっば、マジでカワイイ〜 そんな怯えなくて大丈夫だよ おれら、危ないヤツじゃないから──」
落合はるか「――おい 俺のツレになんか用か」
チャラ男1「・・・なんだよ オトコいんのかよ・・・」
チャラ男2「チッ・・・ ――おい、行こうぜ」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
三澤梨々花「・・・・・・せ」
三澤梨々花「せん・・・せい? なんでここに・・・」
落合はるか「乃梨子さんがお前が行方不明だって連絡してきたから、探してたんだよ」
落合はるか「こんな時間に一人でウロついて なにナンパされてんだ」
三澤梨々花「・・・ごめんなさい あの、無断で休んで・・・」
落合はるか「・・・それは別にいい 来たくない理由があったんだろ」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
落合はるか「とにかく行くぞ 向こうに車停めてあるから、送ってやる」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
落合はるか「・・・お前 里見たちと別れてから、ずっとここにいたのか?」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・(コクン)」
落合はるか「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
落合はるか「・・・・・・・・・・・・・・・(ハァ)」
落合はるか「・・・・・・メシでも食いにいくか」

〇車内
落合はるか「店、紅さんとこでいいか? この時間なら、少し客もハケてると思うし」
三澤梨々花「あ・・・は、はい 大丈夫です」
落合はるか「ん」
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
三澤梨々花(先生の車・・・すごく高そう・・・ あのエンブレム、有名な外国の車のだよね)
三澤梨々花(運転してる姿・・・なんか新鮮 いつもと違う感じがする・・・)
三澤梨々花(そういえば、男の人の車って お父さんと修兄ちゃんの以外ないかも・・・ なんか緊張する・・・)
落合はるか「おいバイト」
三澤梨々花「えっ、あ、はい!」
落合はるか「姉貴に連絡しとけ 警察だの誘拐だのパニクってたから」
三澤梨々花「う・・・はい、すみません💦」
三澤梨々花(とりあえず、大丈夫だってメッセージ送っておこう・・・)
落合はるか「・・・あ、そうだ里見に連絡── まあ、着いてからにするか」
三澤梨々花「里見くん・・・?」
落合はるか「アイツにお前 お前を探すって騒ぐから、迎えにいく途中だったんだよ」
落合はるか「まさか、念のため立ち寄った最寄駅で見つかるとは思わなかったけどな・・・」
落合はるか「アイツに告白されたって?」
三澤梨々花「!!!?」
落合はるか「だからお前がうちでバイトしてるって知って ムキになってたんだな ガキめ」
落合はるか「・・・で、それが原因なのか? お前のプチ逃亡」
三澤梨々花「プチ・・・」
落合はるか「里見が何した?」
落合はるか「しつこく迫られたとか、押し倒されそうになったとか、そのへんか?」
落合はるか「アイツ、爽やかなツラしてるけど 好きなものにはすげー執着する傾向があるんだよな・・・」
三澤梨々花「お、押し・・・!? ち、違います!」
三澤梨々花「里見くんのせいじゃないんです 全部自分が悪くて・・・」
三澤梨々花「・・・・・・っ・・・」
落合はるか「あーわかった、泣くな ・・・メシ食いながら聞いてやるから」

〇寂れた雑居ビル

〇シックなバー
紅「いらっしゃーい」
紅「あら・・・ユウじゃない」
紅「今日は1人?」
紅「ウフフ、アタシの顔が急に見たくなっちゃった?」
落合はるか「いや、違う ここしかまともに俺がメシ食える店がねえから来ただけ」
紅「ちょっと💢 そういう時はウソでも「そうだよ」って言いなさいよ! 気が利かない子ねぇ」
紅「でも、千里ちゃんと一緒じゃないのは珍しいわね。カレ、仕事?」
落合はるか「緑川はいねえけど、ツレはいる」
三澤梨々花「こ、こんばんは💦」
紅「あらっ、リリーじゃない! また来てくれてうれしいわ🎵」
紅「でもこんな時間に制服姿で・・・ あら、目が赤いわよ どうかしたの?」
落合はるか「あーまあ、ちょっとな」
落合はるか「朱さん、個室あいてる? あとテキトーに何品か頼む コイツもメシ、まだだからさ」
紅「ええ、あいてるわよ」
紅「ふぅ〜ん、イロイロ、ね♡」
落合はるか「・・・そういうんじゃないから」
紅「わかったわ♡お料理はお任せね 飲み物はいつもの?」
落合はるか「いや、今日は車だから炭酸水でいいや お前はどうする?」
三澤梨々花「あ・・・じゃあ同じもので・・・」
紅「オッケー じゃあ奥へどうぞ」

〇レストランの個室
三澤梨々花「・・・先生、ありがとうございます」
落合はるか「ん?」
三澤梨々花「気を遣ってもらっちゃって・・・ すみません、忙しいのに」
落合はるか「別に エッセイが一区切りついたとこだったし」
落合はるか「一応雇い主だしな それに誰かさんが来なかったおかげで メシ食ってなかったし」
三澤梨々花「う・・・ ご、ごめんなさぃ」
落合はるか「冗談だよ ・・・まあ気になってたしな」
三澤梨々花「え?」
紅「ハーイ、おまたせ♡」
紅「本日のオススメ プロシュートの生春巻きと、チキンのトマトチリソース、シェフ特製薬膳ズッパ」
紅「あと今日のデザートは 濃厚プルプルなあま〜いマンゴープリンよ」
三澤梨々花「わ、すごい量! でもおいしそう・・・!」
紅「ウフフ、おなかすいてると思って いっぱい食べてね♡」
三澤梨々花「ありがとうございます」
紅「フフ、ユウが女の子と2人で来るとか 滅多にないから張り切っちゃったわ♡」
紅「ごゆっくり〜 また後でくるわねっ」
落合はるか「とりあえず食うか ハラ減ってるだろ」
三澤梨々花「はい・・・ いただきます」
三澤梨々花(わ・・・このスープおいしい・・・ やさしい味・・・)
三澤梨々花(なんかじんわり体にしみて・・・)
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
落合はるか「・・・話してみれば? 腹ン中に抱えてる時間が長引くと 余計キツくなってくぞ」
三澤梨々花「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
三澤梨々花「私・・・」
三澤梨々花「美森にひどいことしてたんです・・・」

次のエピソード:DAY19:恋なんてしたくない

コメント

  • 梨々花とはるかが2人っきりで話すことはそう多くないので嬉しいです!
    チャラ男達がThe.チャラ男って感じでなんか好きです笑
    もう彼らに出番は無いですか?笑

  • 紅さんだー!!
    作中の空気感を変えるインパクトでありながら、空気を読むのに長けた存在ですので、絶妙の登場ですね!
    そして、今話のはるか先生、ワガママでブッキラボウだけでない、はるか先生ならではの魅力を存分に出していてステキです!

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