そうだ、文明を捨てよう

ゆきんこ

#2 川に流されたらラッコになろう。以上!(脚本)

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〇岩山の崖
萌花(モカ)「キャアアアア──本物の熊〜ッ!?」
太郎(タロウ)「熊に出会ったら、身を低くして後退するのが鉄則・・・」
花子(ハナコ)「太郎クン、後ろは崖よ!」
太郎(タロウ)「3人の生存確率を上げるには・・・」
太郎(タロウ)「川に飛び込め──ッ!!」
太郎(タロウ)「以上!!!!!!」
田中後輩「役所センパ~イ!!」
田中後輩「俺を置いていかないでェー!?」

〇白

〇滝つぼ
萌花(モカ)「プハァッ!!」
萌花(モカ)「パパ!ママ!」
「ゴボッ・・・ゴボゴボッ」
萌花(モカ)(スイミングスクール、サボらないでちゃんと通えば良かった!)
萌花(モカ)「私、泳げない・・・」
太郎(タロウ)「萌花、ラッコになるんだ!」
太郎(タロウ)「以上!」
萌花(モカ)「ラッコ!?」
萌花(モカ)「どど・・・どーゆー意味!?」
太郎(タロウ)「頭に力を入れて舵を取り、流れに逆らわずに足を伸ばせ!」
太郎(タロウ)「以上!」
萌花(モカ)「アッ、この姿勢だと顔が浮くんだね」
太郎(タロウ)「しかも、足で漂流物や岩を避けることもできる理に適った姿勢だ」
太郎(タロウ)「そら、流木が来たぞ!足を踏ん張れ!!」
萌花(モカ)「エイッ!」
萌花(モカ)「ヤッタ!流木回避!!」
太郎(タロウ)「ラッコの勝利!!」
花子(ハナコ)「漂流物GET!」
花子(ハナコ)「萌花、お腹にコレを抱えなさい!」
花子(ハナコ)「ラッコが貝を乗せるようにね!」
花子(ハナコ)「以上!」
萌花(モカ)「何故に夫婦でラッコ推し!?」
萌花(モカ)「アレ・・・ペットボトルを抱きかかえると、体が浮いて楽かも!?」
花子(ハナコ)「空のペットボトルは浮き輪代わりになるのよ。丁度良かったわ!」
花子(ハナコ)「萌花はカナヅチだものね!」
萌花(モカ)(ママ、覚えていてくれたんだ)
萌花(モカ)(でも水が冷たくて、手が震えてきた)
萌花(モカ)(ペットボトルにしがみついてるだけで精一杯だよ!)
太郎(タロウ)「よし、流れが緩やかになってきたな 川の中流に来たようだ」
太郎(タロウ)「前方に見える浅瀬まで行ったら、泳いで岸を目指すぞ!」
萌花(モカ)「ブルブルブル・・・」
萌花(モカ)「パパ・・・私もう限界」
花子(ハナコ)「パパとママで萌花を引っ張って岸を目指すわ」
花子(ハナコ)「萌花はそのまま、力を抜いていてね」
「ラッコみたいに!」
萌花(モカ)(なぜ、2人ともそこまでラッコにこだわるのよ・・・!!)

〇山中の川
太郎(タロウ)「た、助かった──」
萌花(モカ)「や、やっと川から岸に上がれたけど、 さ、寒いよぅ〜〜」
花子(ハナコ)「大変!唇が紫色に変色している。 チアノーゼね!」
花子(ハナコ)「すぐにカラダを温めないと」
花子(ハナコ)「火をつけましょう!」
萌花(モカ)「ナイフと本しか無いのに、どうやって?」
花子(ハナコ)「幸い雨が上がって太陽が出てきたわ!」
花子(ハナコ)「古来より人類は太陽を崇めてきたの」
花子(ハナコ)「プロメテウスにお願いするのよ!」
萌花(モカ)「プロのメテウスって誰よ?欧米人?」
花子(ハナコ)「火の神様のことよ!」
萌花(モカ)「ココに来て神頼みなの?? ママ、頭のネジ外れちゃった!?」
萌花(モカ)「詰んだ・・・もうダメ」
花子(ハナコ)「アハハ!冗談に決まっているじゃない!」
花子(ハナコ)「私たちのこと、アタマが固いといつも言うけど、」
花子(ハナコ)「萌花こそカチカチ山のタオパイ●イね!」
花子(ハナコ)「オッパ○飲んでドドン波しな!よ」
花子(ハナコ)「以上!」
萌花(モカ)(ママの冗談を初めて聞いたけど)
萌花(モカ)(モロモロが複雑にこんがらがってる!)
萌花(モカ)(聞きたく無かった!)
花子(ハナコ)「まあ、見ていらっしゃい!」
花子(ハナコ)「太郎クン、火種になりそうなモノを探してきて」
太郎(タロウ)「既に」
太郎(タロウ)「乾いた木をナイフで細く削った、フェザースティックを用意してある!」
太郎(タロウ)「以上!」
花子(ハナコ)「流石ね太郎クン。段取り上手!」
萌花(モカ)「パパスゴい!コレかつお節みたいだね!!」
太郎(タロウ)「小学生の時にボッチだった私は ナイフで鉛筆を削る魅力に取り憑かれ」
太郎(タロウ)「休み時間は問答無用で、クラス全員の鉛筆を尖らせてきたからな!」
太郎(タロウ)「アダ名は『尖ったナイフ』! カッコいいだろォー?」
花子(ハナコ)「太郎クン、それ悲しいエピソードよ」
太郎(タロウ)「以上・・・!」
萌花(モカ)(コッチも複雑!)
花子(ハナコ)「継続」
花子(ハナコ)「まず、川で浮きに使ったペットボトルに水を入れるの」
花子(ハナコ)「それを逆さまに持って、丸みが付いた場所に日差しが当たるようにすると・・・」
花子(ハナコ)「屈折した光が一点に集まって、収れん現象を引き起こすの」
花子(ハナコ)「太陽の光を集めた光線で、火種を作ることが出来るのよ」
萌花(モカ)「小学生の時に虫眼鏡で光を集めて黒い紙を焦がす実験をしたけど」
萌花(モカ)「そーゆーこと?」
花子(ハナコ)「そう、それと同じ凸レンズの効果ね!」
萌花(モカ)「ママの知識スゴい!」
花子(ハナコ)「ママはその虫眼鏡の実験を習った時に」
花子(ハナコ)「真面目に作業しすぎたので、小火(ボヤ)騒ぎを起こしたオンナよ」
花子(ハナコ)「付いたアダ名が『ファイヤーガール』 アメコミヒーローみたいで素敵でしょ」
太郎(タロウ)「花子クンも、真面目すぎてボッチだった説が浮上したな」
萌花(モカ)「ヒーローというか危険人物よね」
花子(ハナコ)「・・・以上」
花子(ハナコ)「それから」
花子(ハナコ)「その一点に集めた光を暫くの間、太郎クンの悲しき発火材に照射し続ければ──」
太郎(タロウ)「ボッチの傷を抉る発言はよせ!」
太郎(タロウ)「以上!」
  ジリジリジリジリジリジリジリジリジリジ
萌花(モカ)「煙!煙が出てきて、木の中が赤くなったよ」
花子(ハナコ)「太郎クン、悲しき発火材に息を吹きかけてちょうだい」
太郎(タロウ)「──了解!」
花子(ハナコ)「コツは細く長くよ」
花子(ハナコ)「アナタの座右の銘のように!」
太郎(タロウ)「承知!」
萌花(モカ)(何このやり取り)
太郎(タロウ)「フーフー」
萌花(モカ)「ウワァ!ついに火が点いた!!」
「大・成・功!」
萌花(モカ)「あったかい!」
太郎(タロウ)「人類は火を発見したことで飛躍し、進化したんだな」
太郎(タロウ)「太陽を神と崇めたのも、今なら分かる気がするよ」
萌花(モカ)「家ならスイッチ1つで温めたり冷やしたりできるけど」
萌花(モカ)「暖を取るのって、こんなに大変なんだね!」
萌花(モカ)(しかも、家族でこんなに会話が続いたの初めて!)
萌花(モカ)(まるで普通の家族みたい!)
花子(ハナコ)「──」
花子(ハナコ)「『ペットボトル』と『大変』のワードで思い出したけど」
花子(ハナコ)「2人とも、ペットボトルのフィルムとキャップは除去してから」
花子(ハナコ)「分別してゴミ箱に捨ててくださいと申し送りしているわよね?」
花子(ハナコ)「今週の火曜日、わが家のゴミ袋だけが収集所に残っていたわよ」
萌花(モカ)「アー」
萌花(モカ)「それ、面倒くさいんだよね〜」
太郎(タロウ)「缶はブルタブがくっついているから良いが、ペットボトルはタイパが良くない」
太郎(タロウ)「ついそのまま捨てがちだな」
太郎(タロウ)「だが」
太郎(タロウ)「そもそも家事は花子クンの仕事だろ?」
萌花(モカ)「だよね〜!」
花子(ハナコ)「ハアッ!?」
花子(ハナコ)「私はアナタたちの妻であり 母親ではあるけど」
花子(ハナコ)「家政婦になった覚えはありません!」
花子(ハナコ)「以上!」
萌花(モカ)「ママ!ドコに行くの!?」
花子(ハナコ)「ペットボトルのフィルムとキャップを外せないような人たちとは一緒にいられません」
花子(ハナコ)「2人でお幸せに!」
花子(ハナコ)「解・散!」

次のエピソード:#3 草笛は意外に高い音が出るから、耳元では吹かないこと 以上!

コメント

  • 最新作を読もうとしましたが、まずは1話2話と読み進めていきますねww
    事務的家族のようで、実は仲の良い思いやり家族でした‼
    キャンプでの危機が家族の結束をより固めていくでしょう。1話の熊のギャグが面白かったですww
    次々出てくるキャンプの知識が目を見張りますね。1話目でスマホ脱却は達成しているので、この後どうなるのか楽しみですね😃

  • ラッコは確かにと思ったけど個人的見解でした😂😂😂😂いざという時のサバイバル技術が、楽しん覚えれるのが良いです。
    しかし家族の絆にヒビが、ママとの修復はできるのかッツ

  • アノベを地で連載にしてるのがすごい。毎回入れ替わるネタがどうなるのか楽しみです。本来20人で知恵出しするところをひとりでやるというのと、この作品の終わらせ方がどうなるのかというところも予想がつきません。(おっと、以上って言いそうになりますね)

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