〇上官の部屋
ローレル・ダンディライオン伯爵「私はアプリコットの領主であるローレル・ダンディライオンです。娘のリリーを助けて頂いき誠にありがとうございます」
マカロン「私はマカロンと言います。盗賊達を蹴散らしたビスケットちゃんは・・・」
　　屋敷に到着すると、ビスケットちゃんは甘い匂いがすると言って姿を消してしまった
リリー・ダンディライオン「お父様、私達を救って下さったビスケット様は、お花を摘みに行かれたのでしょう」
リリー・ダンディライオン「ビスケット様のご友人であり、私達を助けるようにビスケット様にお願いをしてくださったマカロンさんに何か褒美を与えてください」
ローレル・ダンディライオン伯爵「うむ、そうだな。ビスケット様には後でお礼を述べる事にして、マカロンさん娘を救って下さってありがとうございます」
ローレル・ダンディライオン伯爵「マカロンさん、何か欲し物はありませんか？遠慮なさらずにお申し下さい」
マカロン（大金が欲しい。異世界で贅沢な暮らしが出来る大金が欲しい）
　　と私は心の中で思うのだが、口に出す事は出来なかった。
マカロン「いえ、褒美などいりません。わたしは当たり前の事をしたまでです」
マカロン「それに、リリーお嬢様から屋敷に泊めてもらえる約束と、ビスケットを作る為の材料を用意して下さる約束をしました」
マカロン「これ以上望むモノはありません」
マカロン（異世界で安定した生活が出来るお金が欲しい・・・でも言えないわ）
リリー・ダンディライオン「お父様、マカロンさんは長い旅路で路銀がなくなりお困りのようです」
マカロン（ナイス！リリーちゃん。あなたは最高よ！）
ローレル・ダンディライオン伯爵「そうであったか。それならば当面は旅に困らないようにお金を与える事にしよう」
マカロン（やったぁ～これで当分はのんびり生きていけるわ！）
マカロン「いえ、お断りします。これ以上のご厚意は受け取る事は出来ません！」
マカロン（あぁぁぁ～。私は何を言っているのよ！こんなところでカッコつけてどうするのよぉ～）
　　私は心にも思っていない事を言ってしまった。
ローレル・ダンディライオン伯爵「余計な気遣いをしてしまったようで、誠に申し訳ありません」
マカロン（嘘よ！嘘なのよ！一回のターンで引き下がらないでよぉ～もっと積極的に来てよぉ～）
ローレル・ダンディライオン伯爵「そういえばリリー、家宝である黄金の腕輪はどうしたのだ？」
リリー・ダンディライオン「お父様、申し訳ございません。あの腕輪は・・・」
マカロン（やっぱりあの腕輪は大切な物だったのね）
マカロン（でも、あの腕輪はビスケットちゃんがどこか遠くへ投げ捨ててしまったわ）
マカロン（ヤバいわ。このままでは、リリーちゃんを助けたお礼じゃなく、腕輪を放り投げた罰でお叱り受けることになってしまうわ）
　　私は背筋が凍りそうなる
ローレル・ダンディライオン伯爵「大事な黄金の腕輪はどうしたのだ!!」
リリー・ダンディライオン「お父様、黄金の腕輪は盗賊に襲われた時にどこかに落としてしまったようです」
マカロン（ナイスよ！ナイスなのよリリーちゃん。本当にあなたって素敵だわ）
リリー・ダンディライオン「もしかしたら、盗賊達が逃げる際に拾って持ち去った可能性があります」
ローレル・ダンディライオン伯爵「そういうことならば致し方あるまい」
ローレル・ダンディライオン伯爵「しかし、あの黄金の腕輪は、去年の誕生祭で甘美味王家勲章を受賞した際に、国王陛下から賜った大事な記念品だ」
ローレル・ダンディライオン伯爵「すぐに部下に命じて、捜索させることにしよう」
リリー・ダンディライオン「お父様。大事な品を無くしてしまって本当に申し訳ありませんでした」
マカロン（こちらこそ、ビスケットちゃんがとんでもない事をして、誠に申し訳ございません）
ローレル・ダンディライオン伯爵「気にするでない。お前が生きて帰ってきてくれただけで俺は満足だ。本当に無事でよかった・・・」
リリー・ダンディライオン「お・と・う・さ・ま・・・私もとっても怖かったです。怖くて・・・怖くて・・・」
　　２人は抱きしめ合い、無事に帰って来れたことを感謝するのであった。
マカロン（よかったわ。これもビスケットちゃんのおかげだわ）
マカロン（大事な腕輪を投げ捨てる大失態をしてしまったけど、約束のビスケットを作ってあげないとね）
　　めでたし・・・めでたし・・・
　　では、なかった！
兵士「伯爵様！大変です!!!」
　　血相を変えた兵士が、大声をあげて部屋に飛び込んできた！
ローレル・ダンディライオン伯爵「騒がしいぞ！なにがあったのだ」
兵士「伯爵様！大変な事が起こったのです」
ローレル・ダンディライオン伯爵「何があったというのだ！」
兵士「果樹園の倉庫が破壊されて、伯爵様の大事なバナナが強奪されました」
　　そんなバナナ・・・
　　第六話に続く