異世界エイナール・ストーリー 少年コウルと少女エイリーンの旅記

七霧孝平

第4話 マスターの助言(脚本)

異世界エイナール・ストーリー 少年コウルと少女エイリーンの旅記

七霧孝平

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〇兵舎
コウル「・・・」
エイリーン「・・・これからどうします?」
コウル「カーズを追わなきゃいけない。 ・・・けど」
エイリーン「手がかりは何もないです・・・」
コウル「そうだ、 ジンさんの荷物に何かないかな」
コウル「食料、水・・・ これは地図と、この世界のお金かな」
コウル「うん?」
エイリーン「何かありましたか?」
コウル「手紙だ・・・」
コウル「『コウルくん、エイリーンちゃんへ』」
コウル「ジンさん、 いつの間に手紙なんか・・・」
エイリーン「そういえばこの前、 何か書いてらっしゃいました」
エイリーン「この手紙だったのかもしれません」
ジン「コウルくん、エイリーンちゃん。 この手紙を読んでいるということは 私に何かあったのだろう」
ジン「志半ばで倒れるわけにはいかないと 思っているが、 この手紙を残しておくよ」
ジン「まず、 何をすればいいかわからないと思う」
ジン「どの町でもいい。 酒場で『マスター』に会うんだ」
ジン「ああ、酒場のマスターではないよ。 『マスター』という名前だ」
ジン「その人なら、 きみたちが何をすればいいか 導いてくれるはずだ」
ジン「すまないね。 私はきみたちに目的を 押しつけているだろう」
ジン「でもこれからはきみたちの旅だ。 きみたちの生き方をしてもらって 構わない」
ジン「健闘を祈っている。 ジン」
コウル「ジンさん・・・」
エイリーン「まず、 マスター様という方を訪ねれば いいみたいですね」
コウル「うん」

〇怪しげな酒場
コウル「・・・場違いだよね、僕たち」
エイリーン「仕方がないです。 早く聞いてみましょう」
酒場のマスター「ご注文は?」
コウル「あ、えっと、ミルク?」
まわりの客「ワハハ!」
コウル「・・・」
コウル「ええと・・・マスター。 『マスター』さんを お願いしたいんですが・・・」
酒場のマスター「!」
酒場のマスター「明日の朝、またここに来なさい」
コウル「え、あ、はい」

〇城下町
エイリーン「明日会える・・・のでしょうか?」
コウル「すぐ来れるとは思えないけど・・・」

〇簡素な部屋
エイリーン「すー・・・すー・・・」
コウル「・・・」
コウル(ジンさんがいなくなってすぐに こんなこと考えるのも悪いけど・・・)
コウル(よく考えたら、 エイリーンさんと2人きり なんだよな・・・)
コウル(恥ずかしい・・・そして・・・)
コウル(可愛い・・・)
  コウルはエイリーンを眺める。
  流れる美しい銀髪。美しい白い肌。
  輝く瞳。
コウル(うん・・・? 瞳?)
エイリーン「コウル様?」
コウル「!?!?」
  コウルは驚きで、
  ベッドから転がり落ちた。
エイリーン「だ、大丈夫ですか!?」
コウル「いてて・・・」
エイリーン「目が覚めたら コウル様がこちらを見ていらしたので、 何かあったのかと思いまして・・・」
エイリーン「驚かせてしまったのなら 申し訳ありません」
コウル「な、何でもないよ! おやすみ!」
エイリーン「コウル様・・・?」
エイリーン「・・・」

〇城下町
コウル(わりと普通に寝れてしまった・・・)
エイリーン「酒場につきましたね。 入りましょう?」
コウル「うん」
???「どうぞ」
コウル(昨日の酒場のマスターとは違う声だ)
マスター「はじめまして。 コウル、エイリーン」
エイリーン「貴方が、マスター様?」
コウル「なんで僕たちの名前を・・・」
マスター「『マスター』で構わない」
マスター「ジンのことは残念だった」
コウル「えっ」
コウル(ジンさんが消えて、 まだそんなに経ってないのに・・・)
マスター「人の死は魔力の大きな流れになる。 それを察知すればわかることさ」
コウル「はあ・・・」
コウル「えっと、 僕たちはこれからどうすれば いいのでしょうか」
  マスターは仮面を取ると、
  二人をじっと見分し始めた。
マスター「ふむ・・・」
マスター「さて、コウル、エイリーン」
マスター「ジンの志を継ぎ、カーズを止めるならば、 君たちの大きな目標は2つ」
マスター「ひとつ。 コウル、君は東に向かい 迷いの森に行きなさい」
マスター「ある男が、君に力を授けてくれる」
コウル「迷いの森・・・」
マスター「ふたつ。 エイリーン。君はこの世界の中心。 神の塔に向かいなさい」
マスター「君の記憶を取り戻す術がある」
エイリーン「神の・・・塔」
マスター「では、健闘を祈る」
コウル「え、あ?」
酒場のマスター「終わりましたか」
コウル「マスターさんは?」
酒場のマスター「もう行かれました。 あの方も忙しい身らしいので」
コウル「はあ・・・」

〇兵舎
コウル「さて」
コウル「エイリーンさんの場所から行く?」
エイリーン「コウル様の場所から行きます?」
「・・・」
コウル「先にそっちに」
エイリーン「いえ、コウル様の方に」
コウル「・・・じゃんけんで決める?」
エイリーン「じゃんけん?」
コウル「あ、この世界はじゃんけんないのか」
コウル「じゃあくじ引きで」
エイリーン「それなら」
コウル「あっ」
エイリーン「ふふ、コウル様の方からですね」
コウル「わかったよ。 じゃあ、いざ迷いの森へ!」

次のエピソード:第5話 出会いと戦いと

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